◆大森元貴&菊池風磨主演「#真相をお話しします」
ミステリー界の超新星・結城真一郎が2021年に発表し、第74回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した短編『#拡散希望』。そして翌2022年に『#拡散希望』を含む、現代日本の<いま>とミステリーの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録した『#真相をお話しします』(新潮文庫刊)が発売。現代を象徴するような身近に感じるストーリーの中に、日常に潜む「何かがおかしい」を描いた“新感覚”どんでん返しの5連撃が話題を呼び、2023年本屋大賞にノミネートされるなどブレイクを果たし、発行部数は累計77万部を突破した。
4月に公開された同作は、現在の日本のエンタメ界を背負う2人が主演を務めることへの話題性はもちろん、ヴェールに包まれた作品内容に話題が集まり、興行収入は18.9億円を突破した。
◆「#真相をお話しします」大森元貴の狂気・菊池風磨の表現力…
今作で俳優デビューとなった大森だが、善人か悪人か判別不能な鈴木を見事に怪演。人懐っこい笑顔が一瞬にして冷酷な狂気へと変貌するさまは、観る者を戦慄させる。さらには、華やかな過去を捨て、荒みきった生活を送る桐山を、菊池がヒリヒリするようなリアリティで体現。絶望の淵から希望を見出し、再び奈落へ突き落とされる瞬間の絶望的な表情は圧巻だ。
桐山の語った過去は果たして真実なのか。そして鈴木の真の目的とは何なのか。配信画面という現代的な装置を通じ、観客の倫理観を揺さぶるストーリー構成はスリル満点。ラスト数分、これまでの物語が音を立てて崩れ去る衝撃が走ることだろう。
◆「#真相をお話しします」大森元貴が自ら解説 主題歌「天国」&鈴木のリンクが話題に
Mrs. GREEN APPLEによる主題歌「天国」も本作の世界観をグッと引き上げるエッセンスの一つとして強く作用しており、大森が制作した歌詞やメロディからは、聴くだけで気持ちが揺さぶられるような“暗さ”がにじみ出る。エンドロールまでスキップせずに作品の余韻を楽しんでほしい。
映画公開時に行われたヒット御礼舞台挨拶で大森は、そんな「天国」が示す意味について、ファンからの質問に答える形で解説。鈴木という人物は、家族・恋人の有無など、生活面においてなにも情報がないミステリアスな存在であるが、「天国」の歌詞には「いっそ忘れちゃえばいい? そうだ 家に帰ってキスしよう」といった人間味溢れる歌詞が登場することについて「そうした表現があるからには鈴木には家族、または恋人の存在がいるのでは?」と疑問に思う声が届いた。
これに対して大森は「『天国』ってそもそも目の前にある自分のためにある幸せを、自分のためだけに使い古そうと人々は奮起するっていうことの愚かさと愛しさみたいなものを描いてる」とテーマについて言及。そして「世の中はどうもうまくいかないし、どうしようもないことばかりだけど、まあそんなことは置いといて、家にいる大事な人に会えればいいやみたいな、そういう投げやりな歌詞だと思うんですよね」と家族や恋人の有無に関わらず、人間の投げやりさを描いた末でのチョイスだと背景を解説していた。
◆「#真相をお話しします」
かつて一流商社のエリート営業マンだった桐山(菊池風磨)は、友人の裏切りによって多額の借金を背負い、現在はビルの警備員として孤独に食いつないでいる。心を閉ざし、人との関わりを断っていた彼を変えたのは、ビル内に事務所を構える不思議な雰囲気の男・鈴木(大森元貴)との出会いであった。
屈託なく話しかけてくる鈴木の存在に、桐山はいつしか救われ、3年ぶりに「友人」と呼べる絆を築く。しかし、その友情こそが、破滅へのカウントダウンだった。
(modelpress編集部)
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