榛葉健[ テレビプロデューサー/ドキュメンタリー映画監督]

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筆者が高校2年の冬だった。1980年12月8日、ジョン・レノンが亡くなった。


午前中の授業の休み時間、同級生のK君が、校舎の3階の中庭に面した窓に、模造紙に黒マジックで大書きした横断幕を貼り出していた。

 「ジョン・レノンは永遠に」

ジョン・レノンの死は、それくらい突然の出来事だった。ファンだったK君だけでなく、教室では同級生も皆、「暗殺」と言うラジオニュースの言葉にざわついていた。

12月8日は、日本が太平洋戦争を始めた日。そして、ジョン・レノンの命が奪われた日。

太平洋戦争では、アジア太平洋地域の推定2300万~3300万人(諸説あり)の尊い人命が犠牲となった。その後も人類は、国家、宗教、民族の違いや経済的利権の対立などを理由に、今も戦い、殺し合っている。

ジョン・レノンが願った「imagine(イマジン)」の世界は、実現していない。

「imagine」はこう歌っている。

国なんて、ないって考えればいい。

殺したり、死んだり、神様だってないって考えればいい。

みんなに優しく暮らしていくことだけを考えればいい。
[高橋秀樹・超意訳]世界が手に入れたのは、「歌」だけか。それとも…?

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