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自閉症の少年が、「ポケモンGO」を通して他者との関わりを持ち始めたというニュースは、素晴らしいと思った。大いに有り得ることだし、他者とのバトルや、交換を通した関わりを持つこのゲームは、良いインターフェイスとなるだろう。
自閉症(autism)は病気ではなく、一つの脳の個性である。他者とのかかわりを持つことが苦手で、一方、規則性のあることなどには興味を持つ。自閉症スペクトラムという言葉があるように、実際の状況は、人によって随分差異がある。
自閉症の子の一つの特徴として、「心の理論」(theory of mind)、すなわち、他者の心の状態を読み取ることが苦手、ということが言われる。他者の心は、私たちが出会うものの中で最も予想が難しく、不確実なものであり、向き合うことに苦痛を感じてしまうのである。
【参考】「ポケモンGO」が海外でも大ブーム[茂木健一郎]
自閉症の子が、人間よりも、たとえばロボットを通してコミュニケーションした方が本人にとっても、他者にとっても楽でうまくいくことがあるのは、ロボットという、ある程度動作が予想できるインターフェイスが間に入るからである。そのことによって、負荷が減る。
「ポケモンGO」におけるポケモンの種類や、属性、その出現場所やバトルのアルゴリズムは、自閉症の子が得意とする、具体的で定型的な情報である。そのような得意な情報の世界を、自信を持ってインターフェイスとすることで、他者にもよりらくな気持ちで関われるようになるのだろう。
一般に、ゲーミフィケーションは、ルールが明確で、報酬の構造も規則性があるため、自閉症の子がコミュニケーションを学ぶ際に有力な方法の一つとされる。「ポケモンGO」の場合は副産物かもしれないが、今後、この特性に注目したARゲームが出てきたら、素敵なことだと思う。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
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