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『最愛』(TBS系、金曜午後10時)をずっと見ている。といっても、リアルタイムの放送を見ているのではない。
その理由は第1話にある。まず、あらすじを見よう。
(以下公式HPに筆者加筆)本作は、殺人事件の重要参考人となった実業家・真田梨央(吉高由里子)と、梨央の初恋の相手であり事件の真相を追う刑事(松下洸平)、そして、あらゆる手段で梨央を守ろうとする(会社の)弁護士(井浦新)の3人を中心に展開するサスペンスラブストーリー。2006年、梨央が青春時代を過ごしていたのどかな田舎町で失踪事件が起きた。15年後、時代を牽引する実業家となった梨央の前に事件の関係者が現れたことにより、当時の記憶とともに封印したはずの事件が再び動き出す。過去の失踪事件が現在の殺人事件へと繋がってゆく…その事件の真相に迫る姿を完全オリジナルで描く。(ここまで引用)
という話なので、物語は2006年と現在がカットバックすることで紡がれて行く。現在の吉高由里子が実年齢と同じ33歳の役設定だとすると、2006年は18歳の高校生なのである。
[参考]<TBS『日本沈没』>第4話にして訪れた「転」で気になる4つのセリフ
セーラー服は断られたのかも知れないが、ベスト型ではこれまた、見た目がOL。高校生は無理だという思いが何度もして、物語の発端となる重要な事件が頭に入ってこない。吉高さんは昔よりふくよかになったなあなどという感想の方が頭を占める。
ドラマや映画などの映像は、時間と空間を自由自在に飛び越えられるという特権を持っている。その特権を持っているからこそ、飛び越えた先のリアリティには徹底的にこだわるべきだ。
もっと小さい小中学生の役ならプロデューサーも思い切って子役をキャスティングできたと思う。ここは確かに迷う処だが、若い新人を使って、ほくろを共通にするとか、違う役者で同一人物の昔と今を示す工夫のしようがあったのではないか。
結果、第1話を見切った人しか、2話以降を見なくなった。複雑なミステリーでは。違うところに気を取られるのは、ちょっと残念。
さて、新井プロデューサーは、今回、11月11日のスポニチで大変、意欲ある宣言をしている。
「今回は何でもかんでも説明するのはやめようと思いながら台本を作っています。説明は大事ですけど、心情が動かない」
同感である、説明ゼリフはやめたい。筆者は放送作家として限りなく説明ゼリフを憎むが、ミステリー制作者としてこれは勇気ある宣言である。説明を省くとわかりにくくなる。分からないと人は離れる。だが、説明をなくしても分かるようにすることは画作りと芝居でなんとかなる。
いずれにしても『最愛』には優れたミステリーとしての大ドンデンをお待ちしています。
(この文章は第6話を見る前に書かれています)