今まで介護保険のサービスを利用していた方が、残念ながらお亡くなりになることがあります。

その際、どのような手続きをしていけばいいのかを解説いたします。

介護保険料を納める必要がある人

まず、介護保険料を納めている人について解説いたします。

65歳以上の方の年間所得が18万円以上の場合、介護保険料は年金から天引きされますが、それ以外の方は各市町村役場に直接納付する必要があります。

なお、40~64歳までの方は社会保険料と一緒に給与から天引きされます。

介護保険サービスを利用できる対象者は、第1号被保険者(65歳以上の方)もしくは、以下の特定疾病に該当する第2号被保険者(40歳~64歳までの方)です。

  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症(アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症など)
  • 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症(ウェルナー症候群)
  • 多系統萎縮症(シャイ・ドレーガー症候群等)
  • 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患(脳出血・脳梗塞等)
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫・慢性気管支炎等)
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
  • また、サービスを利用する際は「要介護・要支援認定」を受ける必要があります。

    保険証を確認してケアマネージャーに報告

    もしお亡くなりになった場合は、大きく分けて2つの手続きが必要です。

    まずは介護保険被保険者証に記載されている「要介護・要支援認定」を確認しましょう。

    介護保険被保険者証は3つ折りにできるようになっていて、真ん中のページの一番上に認定結果が記載されています。

    次に、保険証の3ページ目(一番右側のページ)に「居宅介護支援事業者若しくは介護予防支援事業者及びその事業所の名称又は地域包括支援センターの名称」という箇所を確認します。

    そこに担当しているケアマネージャーの所属している事業所名が記載されています。

    その事業所名を確認したら、担当ケアマネージャーに電話をして、お亡くなりになったことや、どんなサービスを利用していたかを確認しましょう。

    もし、サービスを利用していた場合は、ケアマネージャーからサービスを利用していた事業所に対して連絡を入れてもらい、最終的にサービスを利用していた分の請求をかけてもらいます。その際、負担割合に応じた利用料金を支払います。

    負担割合については個人の所得などによって変わってきますので「介護保険負担割合証」を確認する必要があります。

    介護保険サービス利用者の死亡手続き 資格喪失届は14日以内に...の画像はこちら >>

    ちなみに、ケアマネージャーの場合、ケアプラン作成などの料金は、全額介護保険から支給されるので、請求されることはありません(2022年11月7日時点)。

    介護保険料の還付は手続きが必須

    次に、各市区町村役場に行って「死亡届」と「介護保険資格喪失届」を提出します。

    死亡届は、各市区町村役場の戸籍などを管理している窓口へお亡くなりなってから7日以内に提出します。

    介護保険資格喪失届は、14日以内に介護保険の窓口で介護保険被保険者証と一緒に提出します。もし紛失している場合は、その旨も伝えてください。

    それと同時に、介護保険料の還付等の請求を行う必要があります。

    介護保険料は月割りで再計算されます。その後、各市区町村役場より介護保険料に変更があった場合には「介護保険料変更決定通知書」が送付されます。

    このとき、介護保険料を納めすぎていた場合は、相続人に対して還付されます。一方「不足していた場合は、相続人が不足分を納付する必要があるので注意しましょう。

    介護保険料を納めすぎいていた場合は、各市区町村役場より「還付通知書」が届くので、必要事項を記入して返送するか、窓口に行って手続きをすれば還付を受けることができます。

    還付金の時効は2年ですので、もし届いたら早めに手続きを行いましょう。

    介護保険サービス利用者の死亡手続き 資格喪失届は14日以内に

    65歳以上の方の場合は、前述のように年金から介護保険料が天引きされているので、日本年金機構に対しての手続きも必要になります。

    年金の停止手続きは、各市区町村役場の年金窓口で行います。

    介護保険サービスを利用していた方が亡くなると、これだけの手続きが必要になります。

    身寄りがない高齢者の場合

    では、もし身寄りがないなど、事情のある方についてはどのような手続きをすれば良いのでしょうか。

    もし何らかの事情で相続人などがいない場合は、生前に「死後事務委任契約」を締結しておく必要があります。

    これは、もしお亡くなりになった場合、前述のような手続きを行ってもらうための契約のことです。

    弁護士や司法書士などが行っている業務ですので、事前に相談しておきましょう。

    成年後見制度なども弁護士や司法書士が行っていますが、生前の財産管理や契約等代行(身上監護)なので、もし成年後見制度を利用している場合は、別個で「死後事務委任契約」を締結しておかなければなりません。

    以上のように、お亡くなりになった後の手続きはいろいろあります。

    死後の事務は、生前のうちにご家族でよく話し合っておくほか、弁護士や司法書士に相談して成年後見制度を利用するなどの手立てを考えておくことが重要です。

    編集部おすすめ