認知症の方は、2年後の2025年には5人に1人の割合になると推計されています。そうなると近い将来、皆さんの周りに認知症を疑われる人がいても不思議な話ではありません。

そこで今回は先を見据え、そのような人がいた場合にどう対応すればよいかについて3つの例をもとにお話します。

シーン①近所の一人暮らし高齢者の様子が最近おかしい

この場合、その高齢者とどのような関係にあるのかによって対応が変わってきます。ある程度お互い知った関係であれば、まずは話をしてみることが大切です。

とはいえ、いきなり最近おかしいのではと話をするのは良くありません。体調を確認し、何か困ったことはないですかと当たり障りのない話から始めると良いでしょう。

ただ、「ない」との返答があっても、それを鵜呑みにしてそのままにしないことです。話をする中でおかしいと感じたことがあれば正すことはせず、頭に入れておき、介護の相談窓口である最寄りの地域包括支援センターに行くか電話などで伝えてください。

そのことで専門的な立場から気にかけてもらえることになり、必要に応じて適切なサービスなどへとつながるのです。自らが動いて状況の把握などをおこなう民生委員などとは違って、話を聞いてから動くことが多いので伝えておかないと何も始まりません。

なお、近所といっても面識のない場合は、こんな人がいて気になっているということを民生委員か地域包括支援センターに相談しましょう。

シーン②道中パジャマを着たままフラフラしている高齢者がいる

この場合も、まずは声をかけることです。ただ、認知症を疑うかのような声のかけ方をしてはいけません。そうすることで、相手は警戒心を持ち、それ以上話が進まなくなる可能性が大きくなります。

世間話をある程度したうえで、見失わない程度の離れた場所から警察に通報し、状況を伝えましょう。

そして警察がその場に来れば、後はすべてお任せすれば良いでしょう。面識もなくどこの人かわからない人の場合、警察に連絡するのがトラブルになりにくい方法になります。

シーン③久しぶりに会った友人のもの忘れが激しい

友人という間柄であれば、認知症の可能性を指摘する声をかけやすい立場にあるように思いますが、直接指摘すると、その後の関係が悪くなることが考えられます。

そのため、まずは友人の親族に、言動が気になる旨を伝えることです。

ただし、そのうえで何かしらの協力をお願いされることは考えられます。その場合は友人としての強みを活かし、できるだけ協力を惜しまないようにしてあげてください。

認知症になってからの対応にも言えるのですが、身内だからこそ難しいことがあります。そこで第三者である友人としての強みで、身内ではわからない面を引き出すのです。身内、友人それぞれの立場で力を発揮すれば疑わしい本人にとって大きな助けとなることは間違いありません。

以上3つの例を紹介しましたが、共通して言えるのは放っておかないことです。声をかけたり話をしたりするのはどんな立場にあっても勇気のいることだと思います。しかし、その一歩がその人を助ける大きな一歩となるのです。

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