人間とは文字通り、人と人との間に生きています。その集合体を「社会」と呼んでいるわけですが、昨今のコロナ禍は老若男女問わず社会参画のあり方に大きなブレーキをかけることとなりました。
特に、高齢者は新型コロナウイルス感染症が重篤化しやすいことが広まると、高齢者の社会的活動は激減しました。これが大きな問題として取り上げられています。
社会参加の意義
高齢者の社会参加の意義について代表例を大きく3つ列挙してみます。
健康上の必須条件
WHO憲章の前文に出てくる健康の定義をご紹介しましょう。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう」
この定義によると、健康の条件には社会的に満たされていることが欠かせません。その点で、社会参加や社会活動が大幅に制限されたコロナ禍はまさに不健康といえるでしょう。肉体、精神、社会、どれが欠けても相互に健康を損ないます。
また、運動を一人で行っていると、自分ではわからない異変に気づいてくれる人がいません。事故や事件もそうですが、ちょっとした動作や顔色の変化は誰かに指摘されないと気づかないものです。
関係性の強化・補充
社会参加は、人間関係自体の強化・補充・補完するうえでも大切です。「遠くの親類より近くの他人」といいますが、近所付き合いも立派な社会参加になります。
高齢になるほど人間関係は急速に減少します。私たちを含めたソーシャルワーカーにとって、課題解決が困難になる代表的なケースに「頼れる人がいない」があります。「別に困っていないから」は「困ったときには時すでに遅し」となります。
すり減っていく人間的な関係性を維持・補完するためにも社会参加は欠かせないのです。
経済活動の支援・増進効果
社会活動がない状況が、いかに深刻な経済的打撃を与えることになるか、私たちはこのコロナ禍で深く実感しました。高齢を理由に社会参加を減らすと、子や孫の社会に経済的な打撃になります。
いうまでもなく、高齢者の割合は過去最大となっており、今後も増え続けます。現役時代にはできなかった社会活動や、町内会などの活動、コミュニティに参加する大切さは次代の経済を支えるうえでもとても重要なのです。
大切だとわかっていてもできない理由
とはいえ、高齢者の多くも社会活動は大切だと認識しています。しかし、わかっていてもできない、面倒くさい、どう取り組んだらいいかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
私は、社会参加を妨げている原因の一つとして「日本的な労働のあり方」そのものにあると考えています。
特に男性の場合は、昼間に社会参加する機会が「労働以外にない」方が多いからです。仕事が忙しくて余裕がなかった方は、空いた時間の使い方を知りません。
現役時代から社会参加をしていた方は、引退後でも何らかの社会参加の機会や社会活動を継続できているケースが多いのですが、そうでない方は、会社以外の社会参加自体が未知の領域であり、恐怖の対象になりがちです。
さらに、会社以外の人間関係がないという方も決して少なくありません。これは雇用関係が終了した後に何かに誘ってくれる人が激減し、最悪の場合まったくいなくなります。
今はスマホで何でも調べることができますから、近所での社会参加の機会や社会活動などその気になればすぐに見つかります。しかし、大半はそこまで。
また、会社における業務や課題は上から与えられるものであることが多く、自主性を欠いています。ところが、定年後に「した方が良い」「やった方が良い」といわれても、そこには強制力がなく、自主性がないとなかなか腰が上がらないのです。
社会参加への壁はあまりに高いかのように感じてしまうかもしれません。
実際、国や政府・自治体も社会参加を促すために巨額を投じているのですが、それでもうまくいかないのは先に上げたようなできない理由が幾重にも積み重なっているためではないでしょうか。
まずは知り合いとの関係強化から
では、実際に社会参加におっくうになっていたり、二の足を踏んでいる高齢者をいかにして促していけばいいのでしょうか。
例えば、ご家族や親族が促したら参加するようになるでしょうか。そんな簡単なことなら問題にはなっていないはずです。
個人的に最も効果が高いと感じているのは、同級生や先輩・後輩といったすでに関係性が希薄になっていたり、ほとんど連絡も取れていなかった友人との関係性を復活させることです。
現役時代にどんなに多忙でも、関係性を断つことができなかった思い出の中にいる存在は、アイデンティティの形成に大きく関与したこともあり、再び何らかの影響を与えてくれる可能性は非常に大きいと感じています。
そういった存在が近隣にいれば理想的ですが、多少遠くても連絡がとれるのであれば手紙でもメールでも構いません。「今さら連絡なんて…」とブレーキを掛けてしまうところをそっと後押ししてみましょう。
社会参加は「すでに持っている」関係性を強化し、そうした存在から促されることで広がっていく可能性が高いと思います。
急がば回れではありませんが、今連絡しないと関係性が切れてしまうほどにか細くなった関係をまずは太く強化することから始めてみてください。
懐かしさとともにこみあげてくる青春の残り香が社会参加に誘うきっかけとなることは十分に期待できると思います。
高齢者介護に身を置く関係者にとって、身寄りがない方はケアをするのも難しいことがあります。家族との関係が切られていたり、不幸な事件事故・災害などにより社会的なかかわりが見つからないからです。
実際、そうしたケースの相談を受けたときでも「今はほとんど連絡を取っていない」「昔連絡を取っていた」など、かつての人間関係の掘り起こし作業を行います。
私たちのような他人が提案しても微動だにしない方が、かつての知人に一言、「そちらの方々にお世話になってみたら?」と口添えしていただいただけで「じゃあ…」と一歩を踏み出すきっかけになる場面も実際にあるのです。
社会参加という言葉には、新しい取り組みであるかのような誤解を招きやすい要素が含まれています。
そもそも「社会参加します」「社会参加しています」と大げさに言う方はいません。何かに参加している先が社会である、というのが本当の社会参加です。
これまでの人生の中にある、人と人との関係性を拾い見直して、旧友が何に取り組んでいるのかを知れば自ずと「じゃあ、私も…」となるのもごく自然な流れとなるのではないでしょうか。
少なくとも強要された社会参加よりは長続きしそうですし、健全な動機づけになると思います。
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