家族や身内が介護施設に入居するときに、どんなものが必要になるのでしょうか。入居前に一通りの持ち物は説明してくれますが、細かい部分まではわかりにくいこともあります。
そこで、この記事では介護施設のおすすめの持ち物や面会時の差し入れなどを紹介していきます。
介護施設の基本的な持ち物
介護施設へ入居する際の基本的な持ち物は以下になります。
- 室内靴
- 歯ブラシ
- コップ
- 洋服
- 肌着
- 必要書類
オムツや紙パンツは施設で用意していることが多いため、必要ないケースがほとんどです。
ただし、介護施設によって用意する持ち物に違いがあるため、まずは入居前のスタッフの説明を聞くようにしましょう。
また、持ちこみ禁止の物も施設によって異なりますので、悩んだらまずはスタッフに相談してみることをおすすめします。
上記のような基本的な持ち物以外で、持ち物として記載されていないけど持っていると便利というものもあります。
そこで、あると施設生活が少し充実するような持ち物を紹介していきます。
メガネケース・入れ歯ケース/h3>
メガネや入れ歯などのケースまで記載されていないことがありますが、壊れ物がある場合、そのケースがあると安心です。
特に大切な物がある場合は、必ずケースを用意するようにしましょう。
鏡
特に女性は毎日鏡を見る方が多いです。施設内は、洗面台にしか鏡がないこともあるため、少し小さめですぐに使えるような鏡があると便利でしょう。
折りたためるタイプやさっと出せる手鏡などがおすすめです。
大活字版の本
読書が好きな方であれば、読みたい本も持っていくと良いでしょう。
最近では、さまざまな本が大活字版として出版されているので、活字が読みにくくなったという方におすすめです。
本人が余暇時間に楽しめそうなもの
テレビやクロスワードなど、本人が家で使っていたものも持たせてあげるようにしましょう。
ポイントは「本人が好むもの」であることです。本人が好きでもないものを持たせても、結局使わないという可能性が高いです。
それだけでなく、好きなものが近くにあることで余暇時間の活動量も増え、認知症の進行予防や残存機能維持も期待できます。
電子式のヒゲ剃り
男性の場合、毎日のヒゲが気になるものだと思います。
剃刀を持参する方も多いですが、毎日ヒゲのケアをしてほしいという場合は、電動のヒゲ剃りを用意するのがおすすめです。
これは筆者の経験談ですが、介護施設の朝は忙しいことが多く、剃刀だとヒゲ剃りに手間がかかるため、結局入浴時しか剃ってもらえなくなることがあります。
しかし、部屋に電動ヒゲ剃りがあれば、毎日確実にケアしてもらえる可能性は高いです。
買い足しが必要になることが多い物
介護施設での入居期間が長くなるほど、買い足しが必要になるものが出てきます。特に以下のようなものは、使用状況に応じて買い足しをしていくことになります。
- 洋服
- 下着
- ひざかけ
- 入れ歯洗浄剤
- レッグウォーマー
- アームウォーマー
- 歯ブラシ
洋服は、3~4枚の替えが必要とされていることが多いですが、状況によってさらに必要になることもあります。
また、内出血ができやすいなど皮膚が弱い高齢者であれば、レッグフォーマーやアームウォーマーが欲しくなることも。
状況に応じて、介護スタッフや相談員から「持ってきてほしい」と連絡があることが多いため、その際に用意するようにしましょう。
歯科衛生士による口腔ケアが実施されている施設の場合、歯ブラシなど口腔衛生に関するものは、必要に応じて衛生士が補充してくれることもあるため、必ずしも替えが必要とは限りません。
持ち物で施設生活を充実させるコツ
持ち込んで良い物は限られていますが、限られた中でも工夫すれば、本人の施設生活をより充実させることにもつながります。
ここからは、施設生活を充実させるための持ち物の工夫やコツを紹介していきます。
小物はトレードマークとなるような柄や色を選ぶ
介護施設の持ち物トラブルでありがちなのが、物がなくなったり、他の人が間違って物を使用してしまったりというケースです。
そのようなトラブルはできるだけ避けたいもの。特に日常的に使うコップやスプーンなどは注意したいところです。
トラブルにならないためにも、本人のものだということがスタッフが認識しやすいような柄や色で小物を統一させることです。
好みそうな色や柄を選んであげると、本人にも喜ばれるかもしれません。
アクセサリーが禁止の場合は、本人が喜びそうなスカーフなどを用意
貴重品としてアクセサリーなどの持ち込みを禁止している介護施設も多いです。トラブルの防止のためではありますが、それではどうやっておしゃれを楽しめばよいのでしょうか。
おすすめなのがスカーフです。スカーフや髪飾りなどであれば、フロアに出るときのお洒落のアクセントとなります。
持ち込み可能な範囲のお洒落グッズを用意することで、「いつまでも綺麗でいたい」という気持ちを持ち続けることもできるでしょう。
差し入れ時の注意
面会時の差し入れには何を持って行っていますか?いつまでたっても、差し入れというのは嬉しいものです。
しかし、ものによっては差し入れに失敗してしまうことも…。そこで、トラブルになってしまったWさんの事例を紹介していきます。
事例:Wさんの場合(50代・女性)
Wさんは、実母が介護施設に入居し、月1回のペースで面会に行っていました。
実母は、軽度の認知症があるものの、意思疎通ができて欲しいものがはっきり言える状態です。
最中のお菓子が好きだったため、Wさんは差し入れとして持っていきました。実母はよろこんでいましたが、次の日、施設から突然電話が。
相談員によると、昨日持っていった最中を喉につまらせてしまったというのです。
幸い、すぐに吐き出し大事には至りませんでしたが、相談員にはキツく怒られてしまいました。
上記のWさんの事例で問題があった点は3つです。
- お菓子をスタッフに確認せず本人に渡してしまった
- パサつきやすいお菓子であった
- お菓子を渡したあともスタッフに報告しなかった
介護施設での本人への差し入れは、禁止されていることはほとんどありませんが、持ってきたときには必ず報告が必要です。
一見、本人が食べられるように感じても、嚥下状態によってはリスキーな可能性もあるからです。
そして、お菓子類など冷蔵保存が不要なものであれば、本人の居室内ではなく、フロアでスタッフが管理することがほとんどです。
そのため、お菓子などを差し入れしたい場合には必ずスタッフに確認し、すぐに食べないものは預けるようにしましょう。
また、差し入れを断られる可能性のあるお菓子もあります。
主に以下のようなものです。
- 最中
- お餅が入ったお菓子
- 飴
- その他、硬くて本人が食べにくいもの
これは施設側の考え方にもよりますが、できるだけリスクの高いお菓子は差し上げたくないのがスタッフの本音です。
そのため、摂取が難しかったり、保存が難しい場合は断られてしまうこともあります。
食べにくいお菓子類は避けるのが基本ではありますが、どうしても本人のために食べにくい可能性のあるものを差し入れたい場合は、事前にスタッフに相談しておくとスムーズです。
逆に、おすすめの差し入れは、プリンやゼリーのようなある程度日持ちもして食べやすいものです。
口腔からの摂取が難しいような高齢者への差し入れとしては、部屋に飾る花や写真などを持っていってあげると喜ばれることが多いですよ。
迷ったらスタッフに相談してみよう
今回紹介したおすすめの持ち物や差し入れはあくまでも一例です。
「本人が好むものを持っていってあげたいけどダメなものかな?」と、差し入れに迷ったら、すぐに諦めるのではなく、まずはスタッフに相談してみましょう。
「昔好きだったからこれを持たせてあげたい・食べさせてあげたい」と思うものであれば交渉次第でOKになることもあります。
介護スタッフも、利用者さんの生活の質向上を目的として仕事をしており、利用者さんが喜ぶものであれば、周りに迷惑がかかるものや保存が難しいもの以外は、「良い」と言ってくれるかもしれません。
介護スタッフと連携しながら、便利な持ち物や本人が喜ぶ差し入れで高齢者の施設生活をサポートしていきましょう。