自宅で高齢者の入浴が上手くできず困ったら、介護サービスを検討されると思います。
そこで知っておきたいことが、特徴や疾患によって適切な入浴サービスが異なること。
ただ、入浴介助が受けられる介護サービスにはどのような種類のものがあるのかわからない方もいると思います。
そこで、高齢者の状況や疾患により、受けられる適切な入浴サービスを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
デイサービスで入浴介助を受けてきてほしいのに…
家族の思いとは裏腹に、高齢者が入浴サービスを受けたくないと訴える場合もあります。
今回は、デイサービスの入浴介助を拒否する方の事例を紹介していきます。
事例:Aさん(50代・女性)の場合
Aさんは、義父(89歳)と同居しています。
義父は、要介護度2でデイサービスに通っていますが、毎回デイサービスで入浴はせずに帰ってきます。
通っているデイサービスには入浴介助のサービスもあり、Aさんとしてはデイサービスで入浴をしてきてほしいのですが、義父はそれを断固として拒否するのです。
義父は、大勢のスタッフに介助されながら入浴をするのに抵抗があるとのことでした。
それに加えて、家で入浴したいとも言うのです。
義父は歩行が不安定であるため、一人で入って浴室で転倒する危険があるのではないかとAさんは心配する毎日。
なんとかして、入浴介助を受けてほしいと思うのですが、方法がわからず困り果てるのでした。
Aさんのように高齢者の入浴に悩むご家族は多いものです。
デイサービスの入浴を拒否する場合は、他の介護サービスを検討するのも一つの方法です。
そこで、次の章では、高齢者の状態別に利用できる入浴サービスを紹介していきます。
さまざまな入浴サービスとその特徴
介護保険が適用される在宅介護向けの入浴サービスと特徴を紹介します。
デイサービスの入浴介助
基本的に要介護1から利用できるデイサービスでは、利用時間の一部を使って入浴介助を行います。
施設により入浴方法は異なりますが、大型のデイサービスであれば大浴場や機械浴などで入浴するのが一般的です。
訪問介護の入浴介助
訪問介護は、介護スタッフが自宅に訪問し提供する介護サービスのことです。
訪問介護サービスには身体介護と生活援助の2種類があり、入浴介助は身体介護にあたります。
基本的には介護スタッフが一人で高齢者に付き添い、1対1で入浴介助を行います。
訪問看護の入浴介助
訪問看護は訪問介護サービスとは違い、介護スタッフではなく看護師が高齢者の自宅へ訪問しサービスを提供します。
看護師が対応するため、疾患による急変リスクがある高齢者であっても、入浴することが可能です。
ただし、訪問看護の利用は医師の判断が必要です。
福祉用具貸与
福祉用具貸与サービスは、介護保険を使って福祉用具をレンタル・購入ができるサービスです。
介護保険適用の福祉用具であれば自己負担額1~3割でレンタルや購入が可能。
入浴関連の福祉用具に関しては、介護保険適用であってもレンタルはできず購入になる場合が多いです。
状況に応じて入浴サービスを選ぼう
さまざまな入浴サービスを紹介しましたが、具体的にどのサービスを使ったらいいのかわからない方もいると思います。
そこで、状態別に適切な入浴サービスを紹介していきます。
自立度が高い場合:訪問介護かデイサービス
歩行ができ、要介護度が低い場合はデイサービスか訪問介護の入浴介助がおすすめです。
事例のようにデイサービスの入浴を拒否する場合は1対1の訪問介護サービスを受けるのが望ましいですが、介護スタッフが1人で対応できないような浴室のつくりであったり、疾患があったりする場合には他のサービスが適切です。
なお、訪問介護の入浴介助は、要介護度1から受けることができます。
心臓などの病気がある・急変リスクが高い場合:訪問看護か訪問入浴
疾患により、看護師のサポートが必要であれば、訪問入浴か訪問看護で入浴介助を受けるのが適切でしょう。
訪問看護は訪問入浴と同様、基本的にスタッフが1人で介助を行う形となります。
自宅の浴室で入浴はできるけど、疾患などにより急変が心配な場合には訪問看護で入浴介助を受けるようにしましょう。
ただし、寝たきりのように、自宅の浴室での入浴が困難な場合には、訪問入浴サービスがおすすめです。
訪問入浴は、基本的に看護師1人と介護スタッフ2人の計3人で提供するサービスです。
自宅に浴槽を持ち運んでの介助であるため、自宅の浴室が狭かったり、寝たきりであったりしても、入浴介助を安心して受けることができます。
浴室のつくりに不安がある場合:福祉用具貸与
浴室に手すりがない、滑りやすいなど、自宅の浴槽で入浴することに不安がある場合には、福祉用具貸与のサービスを利用してみるとよいでしょう。
介護保険を利用して購入できる入浴グッズは、以下のようなものです。
- シャワーチェア
- 浴槽内椅子
- 浴槽手すり
- バスボード
- すのこ
- 入浴介助ベルト
- 簡易浴槽
入浴に関する福祉用具は、衛生面から基本的にレンタルはできないため、購入となります。
介護保険を利用すれば、自己負担額1~3割で購入可能です。
自己負担額は本人の収入などにより異なります。
また、保険内の福祉用具には、手すりなど高齢者が使うものだけでなく、介助者が使う入浴介助ベルトなどもあるため、介護者の負担軽減にも役立ちます。
簡易浴槽やバスリフトなども介護保険適用であるため、今まで自宅での入浴が困難だった方も、入れるようになる可能性もあります。
要支援の方でも条件によって訪問入浴が受けられることもある
要支援の方は基本的に訪問入浴のサービスを受けることができません。
ただし、以下のような条件が揃えば訪問入浴を受けられることがあります。
- 自宅に浴室がない
- 感染症などの理由によりデイサービスや施設などで入浴ができない
要支援の方が入浴サービスを受ける場合には、要介護者のサービス名とは違い「介護予防訪問入浴」となります。利用を希望する場合は地域包括支援センターやケアマネージャーに相談してみましょう。
入浴サービスを受けて高齢者の快適な生活に繋げよう
性格や疾患、特徴は人それぞれです。
今の介護サービスの中での入浴を拒否しているとしたら、他の入浴サービスを試してみることをおすすめします。
まずは入浴できない理由を探し、それを解決してくれるような入浴サービスを検討してみましょう。
入浴は、生活の質向上や清潔保持、メンタルケアなど多くのメリットをもった生活行為です。
ぜひ、記事を参考に、高齢者が快適に入浴ができるような環境を整えてあげてください。