高齢者の外出はメンタルの安定や意欲の向上、身体機能維持などメリットが多いといわれています。
しかし、高齢者自身が外出に消極的であると、なかなか外出することができません。
本人が本当に外出することを望んでいない場合であれば無理に勧める必要はありませんが、「本当は行きたいけど、不安要素が多くて行けない」と思っているのであれば、その不安を払拭して外出に誘いたいものですよね。
そこで、この記事では、高齢の親を外出に誘う方法やおすすめ旅行スポットなどを紹介していきます。
外出に誘ってみよう!
「高齢である親を外出させたいけど本人が行きたがらない」という場合には、本人に不安があり、誘いに乗り切れない可能性があります。
本当は行きたいのに不安で行けないのだとしたら、切ない話ですよね。
筆者が介護施設で出会った高齢者にも、不安を理由に外出を断る方がいました。高齢者が外出で不安を感じやすいのは、次のようなことです。
- トイレが不安(失禁したらどうしよう)体の負担が心配
- 迷惑をかけたくない
- 朝気分が優れないかもしれない(約束しておいて迷惑をかけたらどうしよう)
上記のような気持ちがあるものの、本当は「行きたい」と思っているかもしれません。
そんなときは、なぜ外出に乗り気ではないのかを考え、不安を払拭できるような外出プランを提案してみるのをおすすめします。
不安を払拭するためには、連れていく人が外出の注意点を把握していることも大切です。そこで、次の章では高齢者との外出時に注意すべきことを解説していきます。
高齢者との外出時における注意点
高齢者と旅行や観光をするなら、安全に楽しみたいものですよね。
そこで、ここからは高齢者と外出するときに気を付けたいことや着目したいポイントを解説していきます。
①バリアフリー設備は整っているか
外出先を選択する際に着目したいのはバリアフリー設備です。
特に食事する際や移動時、トイレなど、車イスでも過ごせるようなバリアフリー設備が整った場所や施設が望ましいです。
観光地を探す際には、トイレや食事処はどのようになっているか、上りにくい階段はないかなどを確認するようにしましょう。
②本人の体調は良いか
当日の体調にも配慮したいところです。疾患や症状などを再確認し、注意点や緊急時の対応をメモしておくのも良いでしょう。
疾患の影響が心配な場合は、予め主治医に旅行のことを相談しておくのがおすすめです。
③持ち物の確認
出発前は体調が良好にみえても、旅行先では気疲れして、普段よりも体調を崩しやすくなっていることもあります。
緊急時にスムーズに医療機関で受診ができるよう、高齢者の保険証やお薬手帳などは必ず持っていくようにしましょう。
また、薬やオムツ、ウエットティッシュなど、本人の介護度や状態に合わせ必要な持ち物を事前にメモしておくと安心です。
旅行を思い切り楽しむためにも、必要な持ち物はしっかりと確認しておきましょう。
おすすめの外出スポットは?
高齢者との外出先としてどのような場所であれば、安全に楽しむことができるのでしょうか?
ここからは、外出先の選択に迷ったときのためのおすすめのスポットを紹介していきます。
神社
高齢者が好む観光地としては、神社やお寺などは人気が高いです。神社は、広範囲を歩くことが必要な可能性もあります。
大きめの神社やお寺であれば、駐車場が複数あることが多いため、車で行く場合は比較的歩かずに済む駐車場を探しておきましょう。
また、神社内の階段やトイレについても、高齢者向けであるか確認しておくと安心です。
植物園
高齢者がゆっくりと外の空気を吸いながら眺めて楽しめるような観光地といえば、フラワーパークなどの植物園です。
植物園は、子供から高齢者まで幅広い年齢層の来客を想定して、誰でも過ごしやすい環境を整えていることが多いです。
のんびりとした時間を過ごしたい場合には、ゴールデンウィークなどの繁盛期は避けたほうが良いかもしれません。
また、植物園への外出を検討する際には、バリアフリー設備であるかをチェックするようにしましょう。
バリアフリー対応の旅館
遠方への旅行は、観光地の時間を短くして旅館でゆっくりと過ごす選択肢もあります。
バリアフリー対応であることはもちろん、お土産売り場やギャラリースペースなど、楽しめるようなお店が揃っていると外出して疲れることなく旅館内で完結させることができます。
体の状態によって、温泉などへの入浴が心配であれば、室内に浴室のついた部屋を選ぶと良いでしょう。
高齢者向けおすすめ観光地は?
高齢者と行ける観光地は、実際どこにあるのかと思っている方もいるかもしれません。
ここからは、日本各地のおすすめ観光地を紹介していきます。高齢者との旅行先に迷った際には、ぜひ参考にしてみてください。
東北:国営みちのく杜の湖畔公園
宮城県柴田郡川崎町にある、国営みちのく杜の湖畔公園は広々とした敷地にキャンプ場や自然が楽しめる6つのエリア、東北の古民家を見ることができるエリアなどが集結した公園です。
老若男女問わずさまざまな人が楽しめる観光地であり、家族で行っても満喫できます。
階段も一部ありますがほとんどの場所がフラットであり、車椅子での移動可能。
その他、車椅子貸出サービスや多目的トイレが各所にあるため、高齢者でも安心して過ごせます。
関東:小田原駅周辺
小田原駅付近は、周辺に商業施設やレストラン、お土産屋さんが集結しており、歩き疲れることなく観光を楽しむことができます。
また、有名な小田原城へは路線バスなどを利用し、比較的簡単に行くことができるため、余裕があれば行ってみるのもおすすめです。
歴史を感じる観光やショッピングなど、簡単に楽しむことができる高齢者向けのスポットです。
中部:河口湖温泉富士レークホテル
山梨県南都留郡富士河口湖町にある、河口湖温泉富士レークホテルには、バリアフリー対応の部屋があり、車椅子のままでも入室ができます。
車椅子のまま入れる広いタイプのトイレが備え付けられているため、介護者が一緒に入り介助を行うことも可能です。
不便なく安心して利用するために、バリアフリー対応が必要な場合には予め旅館に連絡しておくと良いでしょう。
その他、河口湖と富士山の絶景が望めるだけでなく、レストランや露天風呂などが楽しめます。
近畿:京都御所
歴史的で由緒ある建物が多いことが魅力の京都ですが、高齢者と一緒に行くなら京都御所がおすすめです。
ユニバーサルデザインが採用されており、トイレや施設設備などは、体が不自由な方でも使用しやすいつくりとなっています。
また、フラットで歩きやすい散歩路で、季節の植物を楽しむこともできます。
電動アシスト機能付き車イスやバルーンタイヤ型車イスの貸し出しも無料で行っているため、足が不自由な方も安心して楽しむことが可能です。
高齢者対応の外出支援サービスの利用も検討してみよう!
「高齢者を旅行に連れて行ってあげたくても付き添いまではできない・自信がない」という場合でも旅行を諦める必要はありません。
そういったときには、旅行の付き添いを行ってくれる高齢者対応の外出サービスの利用を検討してみましょう。
業者によってサービス内容が異なることもありますが、介護に慣れたプロのスタッフが旅行に同行してくれるだけでなく、旅行の手続きやさまざまな介助まで全面的に高齢者のサポートをしてくれる場合もあります。
今の状況や高齢者の想いに応じた旅行プランを立て、必要な準備は余裕をもって行いましょう。
しっかりとした準備や適切な旅行先であれば、なお、高齢者と一緒に楽しむことができるでしょう。