今、さまざまな食品に大豆ミートが使われるようになっています。肉類に変わる新しい形の食品として若年層を中心に注目を集めていますが、実はシニア世代とも相性が良い食品です。

今回は、なぜ大豆ミートがシニア世代におすすめなのか、どんなメリットがあるのか紹介し、食べやすくするための方法も解説します。

健康維持のためにたんぱく質を確保したい方は、ぜひ大豆ミートを試してみてください。

大豆ミートとは?

大豆ミートとは、その名の通り大豆からつくられ、肉のような食感が味わえる食品です。大豆から油脂を取り出し、残ったタンパク質を加工することで、繊維感を生み出しています。

牛・豚・鶏など、肉類を飼育するには、たくさんの飼料や水を必要としますが、大豆は肉類よりもエコに栽培できるとして、世界中から注目を集めています。

肉よりも質が劣るのではと思うかもしれませんが、大豆ミートの原料である大豆は、アミノ酸スコア※が100になっています。

※アミノ酸スコアとは、食事からしか摂れない必須アミノ酸9種類を、どれだけ含んでいるのか数値化したもの。アミノ酸スコアが100ということは、必須アミノ酸種類をすべて含んでいることを意味している。

肉や魚などの動物性タンパク質はアミノ酸スコアが100ですが、植物性タンパク質の中では大豆だけです。そのため、大豆ミートは良質なタンパク質が摂取できるといえるでしょう。

シニア世代に大豆ミートをおすすめする理由

管理栄養士としての観点から、シニア世代には積極的に大豆ミートを食べてほしいと考えています。その理由は4つあります。

1.低脂質で食べやすい

大豆ミートは脂質を取り除いてからつくるので、脂質含有量が少なくなっています。

大豆ミートと肉類の脂質 品目 脂質
(100gあたり) 大豆ミート 1.0g 牛もも肉・脂身つき 18.7g 豚もも肉・脂身つき 10.2g 鶏肉もも肉・皮つき 14.2g

大豆ミートは3倍水戻しの場合

肉類と大豆ミートの脂質量を比べると、1/10~1/18程度しかありません。

肉を食べてタンパク質を補給したくても、脂で胃もたれして量が食べられないというシニア世代にピッタリな食材といえます。

2.タンパク質量が多い

大豆ミートは、肉類よりもタンパク質を含まないと思われがちですが、実は肉類と同等です。

大豆ミートと肉類のタンパク質 品目 タンパク質
(100gあたり) 大豆ミート 15.3g 牛もも肉・脂身つき 19.6g 豚もも肉・脂身つき 20.5g 鶏肉もも肉・皮つき 16.6g

大豆ミートは3倍水戻しの場合

大豆ミートは鶏もも肉100gのタンパク質の量とほとんど差がありません。そして肉類よりも脂質が少ないので、同じ量を食べるのであれば、あっさりとした大豆ミートの方が量を確保しやすいでしょう。

3.食物繊維が含まれている

大豆ミートには食物繊維が含まれているのもメリットのひとつです。肉類は食物繊維を含みませんが、大豆ミート(3倍水戻しの場合)は100gあたり約5.8gも含んでいます。

シニア世代は食欲の低下から野菜類の摂取量が減り、食物繊維の摂取量も減るケースが多くあります。そのため、便秘になりやすいのですが、大豆ミートを食べれば自然と食物繊維が摂れるので、一石二鳥です。

また、大豆ミートに含まれる食物繊維には、血糖値上昇をゆるやかにする効果も期待できます。食物繊維を含む食品を先に食べると血糖値の上昇を抑え、健康維持に役立ちます。

4.イソフラボンが体調維持に役立つ

大豆ミートの原料である大豆には、イソフラボンという女性ホルモンに似た働きをする成分が含まれています。

シニア世代の女性は閉経により、女性ホルモンのバランスが崩れ、更年期障がいを起こしやすくなります。

イソフラボンを摂ることで、女性ホルモンの働きをサポートしてくれるので、更年期障がいを和らげる効果が期待できます。また、骨粗しょう症予防にも効果があるとされています。

大豆ミートは高齢者にこそ有効か? プロ直伝・おいしく食べるコ...の画像はこちら >>

大豆ミートをおいしく食べるためのポイント

大豆ミートは肉に負けない栄養素を含む優れた食品ですが、大豆独特の臭いや食感が気になって食べにくいと感じることもあります。そこで、大豆ミートをおいしく食べるためのポイントを紹介します。

1.水洗いをする

大豆ミート特有の臭いは、水洗いをすることで和らぎます。特に乾燥タイプの大豆ミートは、お湯で戻したあとに水で洗って、水気を絞るという工程を2~3回繰り返すことで、臭みがグッと減ります。

洗って水気を絞ったあと、臭いが気にならないようになればOKです。

2.香りの強い食材と調理をする 水洗いをしても大豆特有の臭いが気になる場合は、香りの強い食材と合わせて調理をしましょう。にんにく、しょうが、カレー粉、ハーブ類などと合わせると、臭いが気にならなくなります。 3.水気を飛ばす

大豆ミートに水気が残っていると、べちゃべちゃとした食感になります。大豆ミートを戻したら、しっかりと水気を切ってから調理をはじめましょう。

また、煮込んだり炒めたりする場合は、肉類よりも時間を長めに加熱することで水気が飛び、プリっとした食感になります。

大豆ミートは高齢者にこそ有効か? プロ直伝・おいしく食べるコツ
大豆ミートの臭みを取る方法

大豆ミートは肉類よりも脂質が少ないにもかかわらず、タンパク質の量やアミノ酸スコアは同等の優れた食品です。

さらに、肉類には含まれない食物繊維やイソフラボンが摂れるのは、シニア世代にとってうれしいポイント。調理の際に食べやすくなる工夫をして、上手にタンパク質を摂取しましょう。

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