高齢者の介護予防や健康維持に関心が高まるなか、フレイル予防や改善に注目が集まっています。
フレイルとは、病気ではないものの加齢によって心身の機能が低下した状態を指します。
フレイル予防や改善において、大切なのが食習慣です。なかでも筋肉量を増やすためには、肉料理が有効です。
そこで本記事では、高齢者におすすめの肉の部位やレシピをご紹介いたします。
フレイル予防にはタンパク質の摂取が重要
人が必要とする栄養素にはさまざまありますが、主に炭水化物・タンパク質・脂質は身体を動かすエネルギー源となるほか、骨や血液をつくるうえでも重要な役割を果たしています。
これらの栄養素は主に食べ物から摂取しなければなりません。特にタンパク質には「筋肉や臓器、爪や髪の毛を形成」「免疫力の向上」「ホルモンや抗体など体の機能を調整する」「脳の発達や動きを助ける」といった、生きていくために大切な働きがあります。
タンパク質はフレイル予防のために大切な栄養素です。しかし、高齢になってくると食べる量が減少し、タンパク質の摂取量も減って、そのほかの必要な栄養量も不足することがあります。
仮にフレイルの状態になると、食べる気力が起きなくなり、さらにタンパク質の摂取量が減り、筋肉量も低下して、次第に介護が必要な疾患などにつながるといった悪循環に陥るリスクが高まります。
必要なタンパク質を摂るためにはどの食品がおすすめ?
タンパク質を多く含むのは、動物性の肉類や魚類です。肉類などを多く摂取するのは健康に悪いと考える人も少なくありませんが、身体の衰えが顕著になる高齢期には積極的に摂取してほしい食品です。
では、どのぐらいの量を摂取すればいいのでしょうか。
厚労省が公表している「日本人の食事摂取基準2020年度版」によると、65歳以上のタンパク質の推奨量(健康な状態が維持できると考えられている量)は、男性65g・女性50gと記されています。
肉類に含まれるタンパク質量(100gあたり)
- 鶏ささみ:23.9g
- 豚ヒレ肉:22.2g
- 牛ヒレ肉:19.1g
- 牛もも肉:21.3g
- ラムもも肉:20.0g
魚類に含まれるタンパク質量(100gあたり)
- うなぎ(かば焼き):23.0g
- さば:20.6g
- さんま:18.1g
- ぶり:21.4g
- アジ:19.7g
- イワシ:19.2g
- 鮭:22.3g
- かつお刺身(春):25.8g
- かつお刺身(秋):25.0g
- イカ刺身:19.8g
- タコ刺身:16.4g
このなかで、日常的に購入しやすく、効率的に摂取しやすいのが鶏肉やさばなどの青魚類です。タンパク質は加熱しても栄養価が変わりにくいので、食べやすい料理で摂取しても構いません。
必要な栄養を摂るための簡単レシピ
では、簡単につくれて、高齢者でも食べやすいおすすめレシピをご紹介いたします。
①鶏肉と豆腐のスープ材料(1人前)
- 鶏むね肉:1/2枚
- 絹豆腐:1/2丁
- 長ねぎ:1/2本
- しいたけ:1個
- ごま油:小さじ1
- にんにく・しょうがチューブ:少々
- 水:カップ2(400m)
- 酒・みりん:各大さじ1
- 鶏がらスープの素:小さじ2
- 醤油:小さじ1
つくり方
ワンポイント
鶏むね肉だけでなく、豆腐のタンパク質も一緒に食べられます。特別な調理が必要ないので、誰でも簡単につくることができます。
②ささみのさっぱりポン酢和え材料(1人前)
- 鶏ささみ:2本
- 白ネギ:1/2本
- キャベツ:3枚
- 酒:少々
- ポン酢:大さじ1/2~1
つくり方
ワンポイント
肉類のなかでもタンパク質を多く含むささみをおいしく食べられる料理です。ポン酢をかけずに冷蔵保存してもOK。
③豚肉のトマト煮

材料(2~3人前)
- 豚ひれ肉:300g
- 水:100㏄
- しめじなどのきのこ:1袋
- 塩コショウ:少々
- トマト缶:1缶
- コンソメ:キューブ2個
- バター:1かけ
つくり方
ワンポイント
豚ひれ肉のタンパク質に加え、ビタミンも一緒に摂取できる料理です。肉類が苦手な方はさばやぶり、鮭などに代えてもOKです。
肉類や魚類が苦手という方は、卵のほか豆腐などの大豆製品を積極的に摂取するとタンパク質を効率的に摂取できます。
もちろんタンパク質だけでなく、炭水化物や脂質もバランス良く摂取することが大切ですので、偏りのないようさまざまな食品を食べられると良いですね!