寝ている間にふくらはぎの筋肉が急につった、なんて経験はありませんか?
これは「こむら返り」と呼ばれる現象で、筋肉の柔軟性が低下したり、同じ姿勢でいる時間が長かったりして筋肉の緊張が高い状態が続くと起こりやすいとされています。
介護ベッドなどで常に同じ姿勢を保っている高齢者の方は注意が必要です。
そこで、今回はこむら返りの原因や対策についてご紹介します。
繰り返し起こる場合は受診を!
こむら返りとは、ふくらはぎなどの筋肉が急につって激痛が走る症状で、医学的には有痛性筋痙攣のことをさします。なお、「こむら」とはふくらはぎのことです。
こむら返りは健康な若い人でも起きますが、歳を重ねるごとに増加していきます。また、女性に起こりやすい傾向があります。
就寝中や運動中、運動後に起きやすく、症状は数分以内に治まることがほとんどです。一度起きただけではほとんど心配する必要はありませんが、繰り返し起こる場合にはほかに病気が隠れている可能性もありますので、医師に相談しましょう。
薬の副作用で起こることも
こむら返りの主な原因は脱水、ミネラル不足、血流不足などとされていますが、そのほか運動神経障害、内分泌・代謝疾患などの病気などに起因することもあります。
また、薬の副作用が原因となることもあります。
例えば、高血圧症治療剤、利用剤、抗がん剤、制吐剤、骨粗しょう症治療剤などでこむら返りが起こったとの報告例があるため、気になる方は医師、薬剤師に相談してください。
こむら返りの予防には次のような行動が推奨されています。
- 食後にすぐ運動をしない
- 運動前や就寝前にストレッチをする
- 運動後は十分に水分を補給する
- 刺激物(カフェイン、ニコチン、エフェドリン、プソイドエフェドリン)を摂取しない
- 禁煙
脱水もこむら返りを誘発する原因の一つです。夏場などは特に注意して水分補給をしましょう。
また、冷房がききすぎて足の筋肉が冷えてしまうと、筋肉は硬くなるので収縮しやすくなります。
こむら返りの対処法
こむら返りの対処法として、足のつま先を頭側に反らせてふくらはぎの筋肉を伸ばすことで改善するケースもあります。ふくらはぎ以外の場所がつった場合でも、痙攣をおこしている筋肉のストレッチを行うことで症状が軽減されることが多く、スポーツ選手も試合中に痙攣を起こしたときには、この方法で対処しています。
つっている場所を伸ばすのは勇気のいることですが、思い切って伸ばしてみるとすぐに痛みが治まるので試してみてください。
また、薬で治療することもできます。
保険適応の漢方薬芍薬甘草湯は数分で効果が出るほど即効性があります。また、頻繁に起きてしまう方は事前に服用しておくこともおすすめです。
例えば、運動中に足のこむら返りが起きやすい人は、運動前に芍薬甘草湯を一包服用しておくと、こむら返りが起こる頻度を下げることができます。就寝中に発症しやすい場合は、寝る前に飲んでで発生頻度を下げることも可能です。
ただし、芍薬甘草湯には副作用報告のある甘草という生薬が含まれており、偽アルドステロン症と呼ばれる症状(むくみ、血圧上昇、低カリウム血症など)が起こる可能性もありますので常用はおすすめできません。
また、ほかにも薬を服用されている人は飲み合わせにも十分注意する必要があります。お薬手帳を活用して、医師、薬剤師に併用薬を確認してもらいましょう。
そのほか、筋弛緩薬や抗てんかん薬なども治療薬として報告がありますが、それぞれ副作用もあるので、ご自身の症状や併用薬などを医師と相談して治療薬を選ばれると良いでしょう。
痛みを緩和する予防法や治療薬があるので、症状に悩まされている人は医師、薬剤師に相談してみましょう。