皆さんの周りで定年を迎えても再雇用、起業、ボランテイア活動などを行っている方がいるのではないでしょうか。シニア世代は就労意欲が高く、さまざまな場面で活躍しています。
アクティブシニアを雇用している企業や地域活動を行っているボランティア団体だけではなく、介護施設でも「社会参加活動」を導入する施設が増え、認知症の方でも働いているケースが増えています。
今回は、シニア世代の就労とその効果について解説いたします。
アクティブシニアは職場や地域で大切な存在
日本アクティブシニア協会によると、アクティブシニアとは「介護を受けていない65~75歳の前期高齢者」だとされています。アクティブシニアが社会参加をする理由は収入、社会との繋がり、健康維持といったものが多くなっています。
こうしたアクティブシニアを求める機関は多く、一般企業だけでなく福祉施設、ボランティア団体からも「即戦力になる」「世代を超えた交流ができる」「若い人に仕事の大切さを教えてくれる」と評価されています。
就労や社会参加することで得られる効果
シニア世代の就労や社会参加には、次のような効果が考えられています。
生きがい定年を迎えると、仕事を生きがいにしていた人は家にいる時間が長くなり、人との交流も減りやすくなります。新たに生きがいを見つけようとすると時間がかかってしまうものです。
しかし、今までの仕事や長い人生経験を活かし、別の仕事や地域のボランテイア活動に参加することで、新しい友人を見つけたり役割を果たすことにつながります。
プレフレイルの予防プレフレイルの予防には、次の3つが大事だとされています。
- 栄養:バランスの良い食事
- 社会参加:趣味やボランテイア活動
- 身体活動:運動
就労やボランティア活動をすると、自然と体を動かすことができ、活発になることで食欲も湧きやすくなるのです。
認知症予防プレフレイルと同様に認知症予防でも次のようなポイントが大切だとされています。
- 運動
- 認知トレーニング
- 栄養
- 睡眠
- 社会参加
認知トレーニングというと、特別なことのように思われるかもしれませんが、何か単語を覚えたり、数字を数えるといった簡単な行為でもトレーニングになります。
仕事やボランティア活動ではこうした活動を行う場面が多いので、自然と認知トレーニングになるのです。
さらに、心身が活性化され、人と会うことや社会での役割が果たすことにつながり、自分の居場所を生み出すことができます。
介護施設でも行われている社会参加活動
介護施設では、地域交流事業として文化祭や夏祭りなどを企画して、積極的に地域住民との交流を行います。
とはいえ、毎日行うわけではないので、地域とつながる時間が少ないのが現状です。そこで、最近では利用者が施設外で農作業やエコバックづくりといった就労を行う介護施設が全国的に広がりつつあります。
私の地元である新潟県内でも実施している介護施設がいくつかあるので、その中から地域との連携を図っている事例を紹介いたします。
あるデイサービスセンターでは、平日の10時~11時30分で古新聞を利用したエコバッグづくりを行っています。毎回10名程度が参加し、エコバッグはできあがり次第近くのコンビニや図書館、道の駅にスタッフが納品しています。
利用者の方々は、当初エコバッグづくりに戸惑いを見せていましたが、回数を重ねるたびに自主的に行うようになり、職員と一緒に施設の草取りや掃除にも参加するまで活発になりました。
また、自分の居場所や役割を見出せたことにより、笑顔が多くみられるようになりました。
参加者の声- 若いころの仕事を思い出して楽しく生きがいになった
- スタッフと同じ仕事ができ役に立ててうれしかった
- 仕事を通して新しい友人ができた
利用者だけでなく、スタッフも「達成感が味わえた」「仕事の大切さを改めて教えてもらった」「地域住民との交流の場ができた」と効果を実感していました。
ボランテイア活動で認知症予防
認知症を発症すると、ご本人は少し前のことを忘れやすくなり、ご家族や職場の方はうまく対応できなくなります。
その一方で、認知症になった本人は、心の中では「仕事がしたい」「誰かの役に立ちたい」「自分の居場所を見つけたい」という気持ちもあります。
私が運営しているオレンジカフェドリームでも、認知症の方が何人か来店されていますが、コーヒーの準備やイベント終了後の掃除など自分のできる仕事を積極的に行って自分の役割を果たしている人もいます。
認知症を発症してもやりたい仕事をすることで、誰かの役に立っているという思いが認知症の進行予防になるのです。

高齢者は社会参加が生きがいとなることも少なくありません。現役世代とは異なる役割を担えるので、社会的なメリットも大きいのではないでしょうか。