「家族が脳出血を起こしても在宅生活を送ることはできる?」

「脳梗塞になってしまったけど、自宅で生活したい」

このような不安を抱く方も多いのではないでしょうか。

脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患を患ってしまっても、デイサービスや通所リハビリ、訪問介護や訪問看護、福祉用具貸与(レンタル)などのサービスを利用しながら自宅で生活を送っている方もたくさんいます。

今回は、脳血管疾患の方の味方になってくれる訪問看護について解説をしたいと思います。

脳血管疾患を患ってしまっても自宅で生活できるということをぜひ知っていただければと思います。

訪問看護を利用している方は脳血管疾患が多い

脳血管疾患とは、脳の血管(脳動脈)に異常が起きることを原因とした病気の総称です。

脳血管疾患にはさまざまな種類があります。その中で有名なものが脳卒中で、さらに脳卒中からもいくつかに分類されます。代表的なものが以下の通りです。

  • 血管が詰まる(脳梗塞、一過性脳虚血発作)
  • 血管が破れる(脳出血、クモ膜下出血)

いずれも脳の血管に異常が起こることによって生じる病気ですが、脳の血管の位置や異常の種類(詰まる・破れる・膨らむ・腫瘍があるなど)によって分類されています。

厚生労働省が実施している『2019年の国民生活基礎調査』によると、2019年6月時点で介護が必要となった主な原因の上位に脳血管疾患(脳卒中)がランクインされています。

  1位 2位 3位 要支援1 関節疾患 高齢による衰弱 骨折・転倒 要支援2 関節疾患 骨折・転倒 高齢による衰弱 要介護1 認知症 脳血管疾患(脳卒中) 高齢による衰弱 要介護2 認知症 脳血管疾患(脳卒中) 骨折・転倒 要介護3 認知症 脳血管疾患(脳卒中) 骨折・転倒 要介護4 脳血管疾患(脳卒中) 認知症 骨折・転倒 要介護5 脳血管疾患(脳卒中) 認知症 高齢による衰弱

この調査結果からも、脳血管疾患の発症がきっかけに介護が必要になった方が多いことがわかります。中でも要介護5(介護が重い状態)に近づくほど多い傾向があることもわかります。

また、厚生労働省による『令和元年介護サービス施設・事業所調査』によると、訪問看護ステーション利用者の最も多い疾患が脳血管疾患で、全体の12.9%を占めます。次いで、認知症(アルツハイマー病含む)が8.9%、悪性新生物が8.5%、筋肉骨格系が8.4%と続きます。

この結果から脳血管疾患に患ってしまった多くの方が訪問看護を利用されていることもわかります。

脳血管疾患の在宅介護の難しさ

脳血管疾患は種類がとても多く、症状もさまざまです。ほとんど障がいが残らない方から重度の障がいが残る方まで多岐にわたります。

障がいが残らない方については、介護を要せずに日常生活を送ることができます。一方で、障がいが残ってしまった方は介護が必要な状態となる方が多いです。

脳血管疾患は脳の障がい部位により、症状も異なります。

症状 特徴 運動麻痺(片麻痺) 一般的には右の脳が障害されると左側、左の脳が障害されると右側の片麻痺が現れる 構音障がい 口、舌、喉などの発声発語器官の運動障害によって上手く話すことができない状態になる 高次脳機能障がい 脳の損傷によって現れる障がいで、損傷された部位によって症状が異なる。
・失語症
【例】言葉ができにくい
・半側空間無視
【例】左側に注意が向かない
・失行症
【例】ハサミなどの使い方がわからない
・失認症
【例】顔形だけでは誰かわからない
・感情の障がい
【例】ちょっとしたことで感情が爆発する
・病識欠落
【例】自分ができなくなったことを自覚できない
・記憶障がい
【例】繰り返し同じことを尋ねる 感覚障がい 手足や顔面などにしびれが生じたり、温度や痛み、触られている感覚が鈍くなったり消失する症状 嚥下障がい 食べ物や飲み物を飲み込みづらくなる障害です。食べられないことによって経管栄養(胃ろうや腸ろうなど)になる場合もある めまい 体がふらふらし、場合によっては吐き気がともなう場合もある 視野障がい 視野が狭くなったり、目が振るえたり、二重に見えたりする うつ病などの精神症状 ショックを受け、不安な気持ちになったりする。重い症状が出てしまった方ほどうつ病になりやすい傾向がある

このような脳血管疾患の症状で、生活が不自由になることもあります。では、どんな事例があるのか簡単にご紹介いたします。

【日常生活で不自由になる例】
  • 歩行ができなくなり、家の中の移動が一人ではできなくなってしまう
  • 体が不自由になり、一人でトイレやお風呂ができなくなる
  • 服の着脱方法や電話をする方法などがわからなくなってしまう
  • 構音障がいや失語症によりコミュニケーションがうまく取れない
  • 外出するための能力(屋外歩行、自動車運転など)が低下して買い物などに行けない
  • 薬を正しく飲むことができない
  • 再発防止のための規則正しい生活を送ることができない
  • 飲み込みが不自由であるため、しっかりと栄養をとることができない
  • 定期的な痰の吸引、胃ろうによる栄養などの管理が大変になってしまう

在宅生活で困ったときには、介護サービスの利用をおすすめします。デイサービスや通所リハビリ、訪問介護、福祉用具貸与(レンタル)などを活用することで、在宅生活を継続したり、少しでも良い生活が送られるようになります。

「脳血管疾患でも自宅で過ごしたい…」 訪問看護で在宅療養も可...の画像はこちら >>

脳血管疾患の方への訪問看護

訪問看護における脳血管疾患の方への具体的なサービスには以下のようなものがあります。

【訪問看護の主な内容】
  • 全身状態の把握および指導
  • 生活状況の把握および指導
  • 服薬管理指導
  • 栄養管理指導
  • 介助方法指導
  • 心理的支援や相談
  • 医療機器の管理方法指導
  • 外出練習
  • リハビリテーション

では、実際のサービス事例を見ていきましょう。

訪問看護サービスが提供された事例

ケース①

脳血管疾患は再発するリスクが高いともされています。

そのため、再発予防のために、普段から血圧や全身状態を管理して必要に応じて主治医への報告をします。また薬を正しく飲めているか、栄養を正しく取れているかなども看護師の視点で把握や指導をします。

ケース②

脳血管疾患により片麻痺(体の一部が麻痺すること)を患ってしまうことがあります。そのため、身体機能が低下して日常生活が不自由になってしまうことも。そのような方には訪問看護で看護師や理学療法士・作業療法士などがかかわり、主に以下のようなリハビリテーションを実施しています。

  • ベッドからの起き上がる練習
  • ベッドからトイレまでの移動練習
  • 自宅でできる自主練習の運動指導
  • トイレ動作、入浴動作、更衣動作、食事動作などの練習
  • 身体機能に合った福祉用具や住環境の提案
  • 外出練習
ケース③ 脳血管疾患では、痰の吸引が必要だったり、口から飲み込むことができずに胃ろうなどを使って栄養をとるケースがあります。そのような方には訪問看護師が吸引や胃ろうの管理方法を家族に指導しています。利用者本人だけでなく、家族への介助方法指導や医療機器の使用方法の説明なども実施します。
「脳血管疾患でも自宅で過ごしたい…」 訪問看護で在宅療養も可能に

まとめ

今回は、脳血管疾患に対する訪問看護サービスについて解説しました。

脳血管疾患による障がいや症状は人それぞれです。訪問看護を利用することによって在宅生活を継続することが可能になる場合も少なくありません。

脳血管疾患を患っても自宅で生活をしたいと考えている方や不安がある方は、まずは担当のケアマネージャーに相談することをおすすめします。

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