日本の高齢化は年々進行しています。高齢化することによって同時に問題になるのが認知症です。

予防や早期発見が重要とされている認知症ですが、その予防に効果的な「ながら動作」に焦点を当て、自宅で簡単にできるトレーニング法を紹介します。

年齢を重ねた家族や知人が身近にいて心配な方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

ながら動作=デュアルタスクとは?

「ながら動作」は専門的には“デュアルタスク”とも呼びます。このデュアルタスクは、2つの異なるタスクを同時に行うことを指します。言い換えると「ながら作業」や「二重課題」とも呼びます。簡単に説明すると、「〇〇をしながら△△をする」ということです。

日常生活の場面でもデュアルタスクはさまざまな場面で自然に行われています。例えば、以下のような場面です。

  • 歩きながら話す
  • 洗濯物を持ちながら歩く
  • 音楽を聴きながら勉強する
  • 料理をしながらテレビを見る
  • コーヒーを飲みながら新聞を読む
  • 車に注意をしながら外を犬と散歩する

認知機能が低下すると、このようなデュアルタスクがしづらくなるとされています。

例えば、歩きながらバランスをとることができなくなると転倒につながりますし、歩きながら周囲に注意を向けられなくなると、屋外での交通事故にもつながる危険性があります。

しかし、トレーニングとして意識してデュアルタスクを行うことにより、脳の神経回路が刺激され、認知機能全体を向上する可能性があります。

特に、加齢に伴って認知機能が低下することを防ぐために、デュアルタスクトレーニングが推奨されることがあります。

このようなトレーニングは、記憶力、注意力、言語能力、視空間認知などの脳の機能を維持・改善する効果が期待できます。

日常生活においては、自然にデュアルタスクを行うことがよくありますが、意識的に取り組むことで、さらに効果を高めることができるでしょう。

自宅でもできるデュアルタスクトレーニング方法

それでは、自宅でできるデュアルタスクトレーニング方法の例を紹介します。

これは一例ですので、工夫をしながら種類や難易度を調整しながら実施してみましょう。

歩行しながら数を数える

部屋や外を歩きながら、3つずつ数を数えます(例:3、6、9…)。可能な人はこれを逆順に行ってみましょう(例:100、97、94…)。歩行に加えて、難しい計算を行うことで、認知機能を鍛えます。

話しながらジグソーパズル

友人や家族と話しながら、ジグソーパズルを組み立ててみましょう。パズルを解くことで視空間能力を鍛え、会話をすることで言語能力を向上させます。

認知症予防に有効な「ながら作業」とは?自宅で楽しく・無理なく...の画像はこちら >>

音楽を聴きながらクロスワードパズル

音楽を聞きながらクロスワードパズルに取り組むことで、集中力や言語能力を高めます。異なるジャンルの音楽を試すことで、新しい刺激を与えることもできます。

ボールをキャッチしながらアルファベットを言う

片手でボールをキャッチしながら、もう片手でアルファベットを言いながら指で空中に書くことで、協調性や運動機能を鍛えます。

読みながらバランスを取る

本や雑誌を読みながら、片足立ちをすることで、バランス感覚と集中力を向上させます。安全のため、壁や家具に近づいて、支えが必要な場合に備えましょう。

しりとりをしながら足踏みをする

しりとりをしながら座った状態(もしくは立った状態)で足踏みをするトレーニング方法もあります。また、しりとりではなく野菜の名前を挙げていきながら足踏みをするという方法もあります。

デュアルタスクトレーニングの注意点

はじめから難易度が高いデュアルタスクトレーニングを実施すると、過度にストレスがかかったり、注意散漫になったり、長続きしないことがあります。まずは簡単な課題から少しずつ難易度を上げて実施することをおすすめします。

デュアルタスクトレーニングの効果を最大限に引き出すためには、定期的かつ継続的な実践が重要です。毎日少しずつ取り組むことで、脳の機能が徐々に向上し、認知症予防に効果が期待できます。

個々の能力に合わせた難易度で取り組むことで、効果的な脳の刺激が得られます。また、同じトレーニングばかりでは飽きてしまうため、さまざまなバリエーションを試すことが推奨されます。個々の健康状態や運動能力に応じて無理をせず、自分に合った方法で取り組むことが大切です。

まとめ

今回は認知症予防に効果的と言われているデュアルタスクトレーニングの基本と具体的な方法について説明しました。

自宅で簡単にできるトレーニング法を継続的に取り組むことで、認知機能の向上や認知症予防に役立つことが期待できます。

また、デュアルタスクトレーニング以外の認知症予防法も併用することで、さらに効果的な予防が可能です。

認知症予防には、ほかにも以下のような予防方法もあります。

  • 健康的な食生活
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • ストレスの管理
  • お酒を控える

まずは健康的な生活習慣を維持し、積極的に認知症予防に取り組みましょう。

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