病気や障害を患っても、できる限り住み慣れた自宅で過ごしたいと考える人は多いでしょう。そのような人や家族の味方になってくれるサービスの一つが訪問看護です。
訪問看護は、主に「訪問看護ステーション」と呼ばれる事業所から看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士などの専門職が自宅を訪問してくれるサービスです。
ですが、一口に訪問看護ステーションと言っても、さまざまな種類の訪問看護ステーションがあることをご存知でしょうか?
その一つに「機能強化型訪問看護ステーション」というものがあります。名前の通り機能が強化されている訪問看護ステーションです。
この記事では、機能強化型訪問看護ステーションが一般的な訪問看護ステーションと何が違うのかをわかりやすく解説します。
訪問看護について理解を深め、もし訪問看護が必要になったときに良い選択ができるようにしましょう。
機能強化型訪問看護ステーションとは?
訪問看護ステーションは、主に介護保険と医療保険の2種類でサービスを提供しています。
2022年度時点では、全国に1万4,000を超える訪問看護ステーションがあると言われています。そして、そのほとんどの事業所が介護保険と医療保険の両方の保険で訪問看護を行っています。
今回説明する「機能強化型訪問看護ステーション」は、医療保険による訪問看護になります。
医療保険の訪問看護ステーションは、以下の3つの機能強化型訪問看護ステーションの種類があります。
- 機能強化型1(機能強化型訪問看護管理療養費1)
- 機能強化型2(機能強化型訪問看護管理療養費2)
- 機能強化型3(機能強化型訪問看護管理療養費3)
機能強化型訪問看護管理療養費の届出を行っている訪問看護ステーションを『機能強化型訪問看護ステーション』と言います。
2020年7月時点での機能強化型訪問看護ステーションの届出数は以下のとおりです。
- 機能強化型1→325事業所
- 機能強化型2→246事業所
- 機能強化型3→131事業所
3つを合わせても702事業所しかありません。
機能強化型訪問看護ステーションになるには条件を満たす必要があります。
ちなみに機能強化型1に近づくほど条件が厳しくなります。2022年度診療報酬改定後の機能強化型1~3のそれぞれの条件を解説します。
機能強化型1 機能強化型2 機能強化型3 月の初日の額 1万2,830円 9,800円 8,470円 看護職員の数、割合 常勤7人以上、6割以上 5人以上、6割以上 4人以上、6割以上 24時間対応 有 重症度の高い利用者の受け入れ 月10人以上 月7人以上 精神科重症患者または複数の訪看STが共同して訪問する利用者、10人以上 ターミナルケア 有 無 介護・障害サービスの計画作成 必要 不要 地域における人材育成 実施 一部条件つきで実施 医療機関との共同 無 一部条件つきで実施 専門の研修を受けた看護師の設置 必要機能強化型訪問看護ステーションには、訪問看護ステーションと異なる次のような特徴があります。
機能強化型1と2は、「ターミナルケアの実施や、重症児の受入れ等を積極的に行う手厚い体制を評価」され、機能強化型3は「地域の訪問看護の人材育成等の役割を評価」されています。
機能強化型訪問看護ステーションになるためには、このようなさまざまな条件をすべて満たす必要があります。

項目を見る限り、とても質が高い訪問看護ステーションであることがわかると思います。
一般的な訪問看護ステーションと比較して少しだけ料金が高くなるというデメリットもありますが、質が高いサービスを受けることができるため料金以上の価値はあると思います。
また、介護保険の訪問看護を利用する人は、直接は料金は変わりませんが、医療保険の制度上でさまざまな条件を満たしている訪問看護ステーションのケアを受けることができるという点はとても安心できますよね!
まとめ
今回の記事では「機能強化型訪問看護ステーション」について解説をしました。
機能強化型訪問看護ステーションは、さまざまな厳しい要件を満たした事業所だけ名乗ることができるものです。
できれば、そのような訪問看護ステーションからの質が高い訪問看護を受けたいですよね。
まだ全国的にも希少な施設ですが、誰もが安心して在宅療養ができる地域づくりのためにも機能強化型訪問看護ステーションの数が増えると良いですね。
【参考文献】 一般社団法人全国訪問看護事業協会 国立保健医療科学院 厚生労働省