さまざまな理由で全身浴やシャワーができないときでも、足浴や手浴は気持ちよく気分転換にもなって良いですよね。

ただ、バケツや洗面器にお湯を準備して、お湯をこぼさないように手足を洗うのはひと苦労です。

そこで、本記事では足浴や手浴を比較的手軽にできる「シャボンラッピング」という方法をご紹介いたします。

「足浴=お湯に足を浸ける」は古い? シャボンラッピング

「シャボンラッピング」とは、水をほとんど使わず、泡で手や足を包み込んで洗浄する方法です。物品もそろえやすく、場所も選びません。

【用意するもの】
  • ポリ袋30~40L
  • ボディーソープ
  • 60~70℃の湯少量(泡立てている間に温度が下がる)
  • 泡立てネット
  • 蒸しタオル
  • 防水シーツまたはバスタオル
【シャボンラッピングのやり方】
  • ポリ袋にボディソープ10ml程度とお湯30mlを入れる。
  • 泡立てネットなど使用し、きめ細かい泡を立てる。
  • 泡をポリ袋の口から遠い方に集め泡の温度を確認。もし、熱すぎる場合は冷まし、冷たすぎる場合は20秒ほど電子レンジで温める
  • ポリ袋の中に足(手浴なら手)を入れ、ポリ袋の口から泡が出ないよう袋の口を結ぶ。(キツくなりすぎないよう伸縮ベルトで留めても可)
  • 数分おいて袋の上から泡で軽く揉むように足をマッサージする。
  • 皮膚に袋を密着させながら泡をこそぎ落とすように足から外す。(※このとき、少量の湯を使っても良い)。
  • 残った泡などを蒸しタオルで優しく拭き取る。石鹸成分が残ると痒みなどの原因になることもあるので要注意。
  • 看護の分野でも広く用いられており、難しいこともない方法なので、体が不自由になってしまったり、在宅介護をされている方はぜひお試しください。



    重いバケツはもう不要! 全身浴できないときの足浴・手浴法「シ...の画像はこちら >>

    シャボンラッピングのメリット

    これまで、足浴や手浴というと、タライやバケツなどの容器に湯を張り、そこに手や足を入れて洗う方法が主流でした。

    しかし、拘縮や手術、加齢などによって関節可動域に制限があったりすると、容器に手足を入れるだけでも苦痛を伴うことがあります。

    たとえば、手や足を湯に浸けるためには容器の縁を乗り越えなくてはならないため、身体を大きく動かして手足を上げ下げしなければならないうえに、一定時間の同一の体位を保持していただかなくてはなりません。バケツの縁が皮膚が食い込むように当たったりして痛みを覚えることもあります。

    また、お湯に浸かる気持ちよさがある反面、皮膚がふやけるのでケア時に傷ができやすくなるといったリスクも伴います。

    そして、湯を持ち運ぶのでこぼす危険性や、季節によって湯の温度の配慮が必要です。

    一方、シャボンラッピングではポリ袋を用いるので、体位が変化しても周囲の汚染など、それほど心配する必要がありません。また、泡の洗浄効果が高く、また温かい泡でのシャボンラッピングは気持ちがいいと好評です。湯を使用するとしても少量で済みます。

    使用したビニール袋は泡と水分を流して通常の家庭ゴミとして破棄できますのでタライなどの洗浄の手間も要りません。感染対策面からも安全といえるでしょう。

    重いバケツはもう不要! 全身浴できないときの足浴・手浴法「シャボンラッピング」を伝授
    画像提供:photo AC

    シャボンラッピングの主なメリットは以下の通りです。

  • 汚れがよく落ちる
  • 必要物品がどこでも手に入りやすい
  • 必要物品が安価
  • 準備や片付けも負担が少ない
  • 【事例】湯などが飛び散ることを嫌がる人でもOK

    Aさんは脳梗塞後による麻痺が発生している側の母趾(親指)の巻き爪が強いため、ぜひ専門家に切ってほしいとの要望がありました。

    しばらく入浴ができなかったようで、汚れも目立っていたため、足浴後に爪のお手入れをすることにしました。ですがAさんは以前バケツで足浴をしてもらった際、湯などが周囲に飛び散って不快な思いをした経験があり、足浴の提案に積極的ではありませんでした。

    そこで、シャボンラッピングを提案。足部洗浄を行い、皮膚のふやけを最小限にできるよう配慮してケアを実施しました。

    これまでの体験から気乗りしないご様子でしたが、周囲を濡らしたり汚すこともなく準備も片付けもスマートだったため、機嫌よく無事終えられました。

    手浴・足浴というと、馴染みのある方法が頭に浮かびやすいかもしれません。どちらが良いというよりも、環境や体の状態など総合的に手段を選択できることが大事だと考えてます。

    シャワーや全身浴が叶わないときに、手や足を清潔に保つ方法の一つとしてぜひお試しください。

    編集部おすすめ