「歳をとるにつれてつまずきやすくなった」と感じている方は、もしかしたら筋肉の柔軟性が低下しているかもしれません。
筋肉が硬くなると関節が動きにくくなるため、転倒やケガを引き起こす恐れがあります。
この記事ではストレッチを行うメリットや注意点、すぐに行えるメニューをご紹介します。ストレッチを行う習慣をつければ、転倒予防につながるでしょう。
ストレッチを行うメリット
ストレッチには、以下のようなメリットがあります。
転倒予防につながる
筋肉の柔軟性を高めるストレッチは関節の可動域を向上させ、転倒の予防につながります。 たとえば、ふくらはぎの筋肉「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」が硬くなって、つま先が上がりにくくなったとしましょう。その場合、歩くときにつま先が上がらないので、地面につまずきやすくなって転倒の危険性が高まります。
しかし、ストレッチによって下腿三頭筋の柔軟性を高めておけば、つま先が十分に上がって安定した歩行が可能となります。このように、ストレッチは転倒予防にとっても大切なのです。
姿勢の改善が期待できる
ストレッチを行って筋肉の柔軟性が高まれば、姿勢の改善が期待できます[1]。これは先ほど説明した「転倒予防」と考え方は同じです。
たとえば、日常生活で座っている姿勢が続くと、股関節の前面についている「腸腰筋(ちょうようきん)」と呼ばれる筋肉が硬くなります。腸腰筋の筋肉が硬くなると股関節が曲がって、姿勢がまっすぐ伸びにくくなり、やがて猫背や円背となるケースもあります。
ストレッチによって腸腰筋の筋肉の柔軟性を高めれば、股関節の可動域が確保されて姿勢改善につながります。
リラックス効果がある
そのほか、ストレッチにはリラックス効果があるともいわれています[3]。ストレッチによって全身の筋肉の柔軟性を高めると、「副交感神経」の活動が優位に働きやすくなるからです。
副交感神経とは、「自律神経」という体の調子をコントロールする役割のある神経の1つです。おもに心身をリラックスさせるときに働きます。副交感神経が優位になれば筋肉も弛緩しやすくなり、さらなる柔軟性の向上につながるでしょう。
また、夜にストレッチを行えば自律神経が副交感神経に切り替わり、質の高い睡眠をとりやすくなります。
ストレッチで注意したいポイント
さまざまなメリットのあるストレッチですが、適切な方法で行わないとかえって逆効果となることもあります。そこで、ストレッチする際に注意したいポイントについてご紹介します。
反動をつけて行わない
反動をつけてストレッチしないように注意しましょう。勢いや反動をつけて瞬間的に伸ばそうとすると、筋損傷や筋断裂を防ぐために筋肉が反射的に収縮するように働きます[2]。この反応を「伸張反射」と呼びます。
伸張反射が起こると、筋肉はストレッチされないばかりか、逆に柔軟性が低下する恐れもあるのです。ストレッチをするときは反動をつけずに、ゆっくりと20秒以上の時間をかけて行うように心がけましょう。
呼吸を止めて行わない
ストレッチ中は呼吸を止めて行わないようにしましょう。呼吸を止めながらストレッチをすると身体が緊張して、筋肉を十分にリラックスできなくなります。また、呼吸を止めていると血圧が高まりやすくなるので、体に負担がかかりやすくなります。
ストレッチをするときは、筋肉をリラックスさせるために、ゆっくりと深い呼吸を意識しながら行いましょう。深呼吸は副交感神経を優位にする働きも期待でき、筋肉の柔軟性の向上につながります。
痛くなるまで伸ばさない
痛みが出るまで筋肉を伸ばさないようにしましょう。痛みが出るまでストレッチをすると伸張反射が働き、かえって筋肉を硬くしてしまう原因となります。また、伸ばしすぎによって筋肉を痛めると、余計に柔軟性が低下しかねません[3]。
もともと体が硬い方がストレッチするときは、痛みが出やすいので注意が必要です。ストレッチの目安としては、「痛くなく気持ち良い」程度がおすすめです。ムリをせず、痛みの出ない範囲で筋肉を伸ばすようにしましょう。
高齢者におすすめのストレッチ法
それでは、高齢者におすすめのストレッチ法を、上半身と下半身に分けてご紹介します。自宅で簡単に実践できるストレッチ方法なので、ぜひ参考にしてみてください。
上半身のストレッチ
【胸郭を広げるストレッチ方法】胸郭の筋肉をストレッチして、呼吸をスムーズにする方法です。
体幹周囲の筋肉をストレッチする方法です。
体幹の横についている筋肉をストレッチする方法です。
身体を丸めて背中や腰の筋をストレッチする方法です。
これらの上半身のストレッチは、立った状態でも行えます。
その際はバランスを崩さないように注意して行ってください。
下半身のストレッチ
【膝裏の筋肉のストレッチ方法】膝裏の筋肉である「ハムストリングス」をストレッチする方法です。
ふくらはぎの筋肉である「下腿三頭筋」をストレッチする方法です。
股関節の前面にある「腸腰筋」をストレッチする方法です。膝を曲げていない側の足は、なるべくまっすぐにしたままキープできるように注意してください。
太もも前面の筋肉である「大腿四頭筋」をストレッチする方法です。うつ伏せの状態がむずかしい方はムリして行わないようにしましょう。
これらのストレッチを行っている途中に痛みが現れたら、ムリせず中止してください。
また、今回紹介した回数や秒数は目安なので、難しい場合は自分にあった内容に調整してみましょう。
ストレッチで身体のコンディションを整えよう
ストレッチは転倒予防だけでなく、姿勢の改善やリラックス効果が期待できます。
しかし、反動をつけたり、痛みが出るまで関節を動かしたりなど、間違った方法でストレッチをすると逆効果となる恐れもあるので注意が必要です。
また、ストレッチ中も無理な姿勢をとらず、安全を確保したうえで行いましょう。
今回の記事を参考にして、ぜひストレッチを習慣化してみてください。
【参考文献】
1.厚生労働省.“ストレッチングの効果”.(参照:2023-07-10)
2.公益財団法人長寿科学振興財団.“ストレッチングの目的・効果・種類”.健康長寿ネット.(参照:2023-07-10).
3.厚生労働省.“ストレッチングの実際”.(参照:2023-07-10)
4.株式会社Rehab for JAPAN.“高齢者のための椅子に座ってできる体操 10選|体幹・太もものストレッチ編”.Rehab Cloud.(参照:2023-07-10).
5.日本生命保険相互会社.“高齢者におすすめのストレッチは?”.100年人生レシピ.(参照:2023-07-10)
6.日本生命保険相互会社.“高齢者のケガ、寝たきり予防に役立つ「基本のストレッチ」”.100年人生レシピ.(参照:2023-07-10)
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