車椅子は家用と外用の2台使っている

車椅子は、ボクにとって体の一部。車椅子がなければ、移動はほぼ困難だ。今回は、レンタル車椅子の話をしようと思う。

ボクの場合の。

最初の頃は「あなたの体にはこの車椅子がいいですよ」と言われたものをレンタルで借りて乗った。乗ってみてちょっと違うなあと思えば、違う車椅子を試した。

電動だって何種類も試した。タイヤの小さいものや段差に強いもの、やっぱり軽いものがいいなどと思って、何台乗り換えたことか。

旅に出るときは「長時間歩くところだから電動がいいかも」と福祉用具の担当者に要望を伝えると「ではこれがいいかもしれないです」と提案して持ってきてくれる。

我が家には福祉用具の業者が3社も入ってくれている。ベッドや車椅子、お風呂のリフト、外階段のリフト。あと、吸入器、吸引機もお借りしている。どれも今の生活ではなくてはならないものだ。

車椅子も、家用と外用で2台。家の中で使っているものは、もう長年気に入って変えることもなく使用している。

家用はタイヤが小さく完全に介助してもらうタイプだ。段差は乗り越えづらいけど、座面や背もたれのクッションはかなり厚い。もちろん折り畳むこともできるのだけど、クッションが厚いためちょっと折り畳みづらい。あとちょっと重い。

まあ、家の中専用なのでその3点はいいとする。逆にちょっと重量があるので安定感がいいと言った印象だし、小回りも効いて家の中では重宝している。

そして、座面は合皮のような素材で水にも強い。だが、液体をこぼしてしまってクッションに浸透してしまうと乾きづらいのが難点かも。

でも座り心地はいい。長く使っているので、お尻の形にクッションがくぼんでしまっているがまあ、それが座り心地をよくしているのかもしれない。

以前は同じタイプの大きい車輪のものを外でも使っていたことがあったが、家の中で快適だとしても外で使うとなると違う。まず重い。

先ほども話したが、ある程度重量があったほうが安定感もあって座りやすい印象だが、外で使う場合、妻が車のトランクにしまったり、取り出したりする。

毎回毎回重い車椅子は大変なのだ。車を買い換える時、それがネックとなっていた妻は迷わず福祉車両を購入したくらい。

家族を乗せられる7人乗りという条件も諦めきれなかったので、車の後ろからスロープで車椅子に乗ったボクをそのまま乗せられるタイプの車は断念。

助手席が回転してボクが乗りやすいもの、そしてトランクに車椅子を釣り上げるリフトがついている車を購入。妻の「車椅子が重くて持ち上げるのが大変すぎる」というこの頃の悩みがうかがえる。

普段は5人乗りで、トランクに折り畳まなくても車椅子を収納できるようにして使用している。いざというときは7人乗りもできる。ボクも乗り降りが楽だが、一番は妻が楽だということ。その車になってもう3年は過ぎたかな。

ボクには憧れている車椅子がある

外用の車椅子は数台変えてみた。状態に応じて変更できるのもレンタルの良いところだ。

そこでまず、問題になるのは電動か手動のどちらにするかということ。

基本、介助用の妻が押すタイプの介助用を使っている。

みなさんは、WHILLの車椅子を知っているだろうか。初めて開発者が世にようやく50台出したというときに、鶴見の事務所へ取材に行ったことがある。

そのときからボクの憧れの車椅子だ。ボクは視野にも障害が残ってしまったので、どうも真っ直ぐに走れない。だから自分で運転するタイプのWHILLを使うのは、どう転んでも難しい。

毎回新機種が出るたびに乗ってみるのだが自分には合わない。

「車に重過ぎて乗せられないよ」

そう思っていたら、分解して乗せられる機種が出たりと、ずいぶん近づいてきてくれている気のするけどまだ乗れない。

ぜひ後ろでも操作できる機種(介助用)をつくって欲しいと思っているが、あちらのコンセプトと違うのでなかなかそうはいかない。そのうち出してくれることを期待している。

かっこいい車椅子に憧れているボクは、もちろん作ってもいいと思ってあれこれ会社に出向く。

でもかっこいい車椅子は、大体自走式なのだ。

介助用でかっこいい車椅子には、なかなか出会えない。もしこれを読んでいて「あるよ」という方はぜひ紹介してほしい。

あと、スウェーデンのペルモビールの車椅子は本当にいいと思う。介護保険でレンタルもできるけど、やはり電車で移動する階段のない家に住んでいる人向けだろうなあ。と除外。

余談だが、同社のスマートドライブというパワーアシスト、これもいいと思う。手動車椅子に、必要に応じて電動車椅子になるように取り付けるアタッチメント。まあ、結構な重量はあるけど、これがあれば必要な時だけ電動ということができる。

介助用ではないけれど、ここのT Seriesって車椅子も、ものすごく好きだ。

レンタルするまで大変だった

それともう一つかっこいいと思うのが、モルテンのWheeliyだ。

以前取材にお邪魔したことがある。電動も手動もあったが、やはり介助用はなかった。

何とか乗れないかと探ってみるが、ボクの場合は介助用ブレーキがないと絶対無理だからと、諦めるしかなかった。

半年前ぐらいだろうか、ネットニュースで、そのWheeliyが介護保険レンタルを始めたという記事を見た。

「え?レンタル始めたの?」と驚いた。しかもパンフレットには介助用ブレーキがオプションで付けられると書いてあるじゃないか。しかもしかも、1万円台で。「わ!ボクにも乗れる!?』以前取材したモルテンの担当者に早速電話しようと思った。「ブレーキが付けられるなら買える!」と思ったからだ。

だが、想いがよぎって止まった。

「介護レンタルできるんだよね?それでやってみよう」そう思ったからだ。あんなかっこいい車椅子がレンタルできるの?かっこいい車椅子のレンタルは皆無と言って等しい。

先ほど出たWHILLもレンタルできるので、最近はかっこいい車椅子という括りでもレンタルできるものは出てきた。嬉しい限りだけど、まだまだ少ない。

まず、妻がケアマネさんに電話。

「あの、モルテンのWheeliyっていう車椅子がレンタルできるようになったんだけど借りたいんです」

ケアマネさんも心得ている。いつも変なことを言う神足家。

「聞いた事ないけど…」と言うケアマネさんに、「パンフレットに書いてあるのを裕司が見つけて」と話し、WEBパンフレットを送る。

「ほんと書いてありますね、探してみます。」と答えてくれた。

ケアマネさんは、我が家に出入りしている福祉事業所はもとより、いろんな会社に声をかけて探してくれたらしい。1ヵ月ほど経って返ってきた返事は「やっぱりレンタル見つかりません。本社に問い合わせても、らちが明かなくって」とのこと。

それから2週間ほど経って「なんか、神奈川ではレンタルできるみたいなんですよね。東京に一件あるだけらしいです。」また振り出しに戻ってしまった。

さらに2週間後「神奈川で一台見つけました、借りられるみたい」と連絡があった。

今まで付き合いがなかったけやきパートナーという福祉用具事業者が見つけてくれた。執念である。

「みんなほんと一生懸命になってくれてありがたい」とケアマネさん。

それからまもなくWheeliyが我が家にやってきた。台湾に乗っていきたいと納品まで急いでもらった。が、なんとブレーキがない!!!

ブレーキがないと介助用として使うのは流石に無理だ。

「ああ、ブレーキがない…」そう伝えると

「そうだったんですね、早速代理店に聞いてみます。車椅子はお試しで置いていきますから」

その姿はかっこいい。さすがのフォルム。

2、3日後にブレーキはないと連絡があった。

「自費で買ってもいいからブレーキを取り付けられないかな?」

「いや、レンタル用品に勝手に取り付けられないんですよ、安全面の保険とかの関係で」

「そうなのか…。こんなに苦労して探してもらったのにこれでは乗れない、残念ながら」

諦めようかと思っていたらけやきパートナーが「モルテン本社に聞いてみましたが、在庫がひとつもないんですって、できたらすぐ取り付けるんでもいいですか?レンタルとして」と言ってくれた。

レンタルのカスタマイズなんて聞いたこともないが、ボクの体に合わせてブレーキを取り付けてくれるという。「ほんとに?ぜひお願いします」こうしてモルテン本社に送られた車椅子は10日ほどでボクの元に戻ってきた。

皆様にはご苦労をかけた。存在しているはずなのに、現実にはお目にかかれない福祉用具って結構あるらしいってことを今回初めて知った。

まあ、レンタルはオーダーメイドでないから、自分にはここは合っていないなってことはあるかもしれないのだが、とにかく、かっこいい車椅子をレンタルで使うっていうミッション成功である。

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