高齢者の買い物に新たな風が吹いています。

それは、レジのスピードを意図的に遅くする「スローレジ」の導入です。

一見、効率化に反するように思えますが、実は高齢者の生活を支え、地域経済の活性化にも寄与する可能性があるのです。

最近増え始めたスローレジとは?

スーパーマーケットやコンビニのレジで、困っていたり、戸惑っていたりする高齢者の方を見かけたことはありませんか?

昨今、セルフレジの導入や、タッチ決済の普及によりレジの流れが速くなっています。しかし、高齢者の方々にとっては、レジのスピードが速すぎるとストレスになることがあるのです。

そこで、一部の店舗では「スローレジ」を導入。一見、効率化に反するようですが、実は他にもメリットがあります。レジのスピードを意図的に遅くすることで、高齢者が自分のペースで買い物を楽しむことができるようになるのです。

高齢者だけでなく、初めて来店する人や、お子さん連れの方、持病や障がいのある方にとっても有益だといえるでしょう。

店側のメリットとしては、リピーターの獲得が挙げられます。お客さんが自分のペースで買い物をすることができれば、満足度が上がり、結果リピーターになってくれる可能性も高まります。

また、レジでの混乱やトラブル減少にも繋がり、店舗運営をスムーズにすることにも期待できます。

「買い物」ができなくなると健康のリスクも高まる

高齢者の買い物には、課題がたくさんあります。体力の問題や物忘れなどの認知機能の低下により、自分で買い物に行くことが難しくなる高齢者もいます。

さらには、「レジで戸惑っている姿を見られたくない」といった後ろ向きな気持ちが一度生じると、お店から足が遠のいてしまうことも。すると、「社会的孤立」の状態になってしまう危険性も高まり、負の連鎖となりかねません。

タイパ重視とは逆行!?ゆっくり買い物を楽しむスローレジが高齢...の画像はこちら >>

また、「社会的孤立」の状態になると、ケガや病気の悪化などがあっても周囲の人に気付いてもらいづらくなります。そうすると、さらに外界との接点が減り、活動量が減り、フレイル状態に陥ってしまうこともあります。

こうした状態が続くと、持病の悪化に加えて、認知症の発症等のリスクも高まります。適切な医療・ケアを受けられないまま症状が悪化すると、気付いた時には対処が難しくなるのです。

しかし、自分のペースで買い物ができるような環境が整備されていれば、日常的に買い物を続けられます。買い物には楽しみの要素も多いため、意欲や活力を生み出すきっかけにもなります。

習慣的に買い物ができることは、リハビリや介護予防にも繋がるため、スローレジのような高齢者に配慮した買い物環境の整備は社会的な意義も大きいのです。

キャッシュレス決済は、実は高齢者にも便利!

中には、最近のキャッシュレス決済についていけずに買い物を控えているという方もいらっしゃるかもしれません。まだまだ現金派の方も多いと思いますが、実は、キャッシュレス決済を覚えることで、高齢者の方の買い物もより便利になります。

例えば、クレジットカードのタッチ決済などでしたら、支払いが非常に簡単なことに加えて、家族が履歴を確認できたり、不正利用の恐れがある際にはカード会社が確認してくれることもあります。

高齢者が自分で買い物をする際の負担が軽減されれば、買い物に行くのが億劫ではなくなり、「社会的孤立」状態になることを予防できる可能性があるのです。

 

スローレジの導入は、地域経済の活性化にも繋がる

高齢者の方が日々買い物にも出かけられることは、地域経済の活性化にも繋がります。高齢者の方が社会と繋がりを持ち続けて、自立した状態で長く暮らすことには健康の維持だけではなく、経済的にも意義があります。

スローレジは、そうした高齢者の買い物の支援に繋がる、ある意味では画期的な取り組みといえます。そして、これからも高齢者の買い物に関する取り組みは、介護予防や地域活性化の観点から、さらなる進化を遂げていくことでしょう。

これからの高齢者の買い物のあり方にも、ぜひ注目してみてください。

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