全国で増える介護保険還付金詐欺
全国各地で6月以降、特に60代女性が被害に遭った介護保険の還付金詐欺が増えています。明らかになっただけでも、札幌市、福岡市、浜松市、いわき市など被害は全国に広がっています。
警察によると、詐欺師は自治体や金融機関の職員を名乗り「保険料の払い戻しがある」「介護保険の還付金がある」などと電話をかけてくるといいます。
そして、ATMで操作を指示し被害者の口座から大金を引き出させるのです。
被害者は金が引き出された後で初めて気づく
多くの場合、被害者は金が引き出された後で初めて詐欺に気づきます。
ATMでの手続き後、親族や警察への相談で詐欺だと発覚するケースも多く、「自分だけは大丈夫」と思わないことが重要です。鳥取県の60代女性が49万円の被害に遭ったケースでは、被害者女性は「手口を知っていたのえ、だまされないと思っていた」と語っていたと報道されています。
頭で分かっていても、いざ電話がかかってくると適切な判断が難しくなってしまうことが予想されます。
煽ることで騙しやすくなる
みんなの介護では、実情について把握すべく富津市天羽地区地域包括支援センターの藤野雅一氏と町田市医療と介護の連携支援センターの長谷川昌之氏に話を聞きました。
【長谷川氏】
60代はもう高齢とは言わないような状況になりつつありますが、その年代でも詐欺に遭ってしまうということが伺えます。私が担当した方で、リフォーム詐欺と地震による被害地支援の詐欺のケースは経験がありますが、還付金詐欺とリフォーム詐欺に共通していると感じるのは、“煽る”事です。
還付金は「今だけ」「今日だけ」「今から取りにお伺いします」など、リフォーム詐欺は、「トイレの配管が詰まっていていつ壊れてもおかしくない」「壊れたら取り換えより何倍も費用がかかる」「床下にシロアリが発生していてすぐに除去しないと大変な事になる」などと煽ってきます。この煽る行為が詐欺をする方は本当に巧妙なのだと思います。
そのような電話や訪問があったら、一人で対応しない事を覚えておいていただきたいです。
上記のような煽られた場合でも複数人でいることにより。あれ?おかしいな?と感じることができますし、詐欺する方も基本的には一人の方をターゲットにして考えさせない、相談させないように仕向けているような気がします。
警察からも知らない番号は基本留守電対応にしてくださいと指導をいただきます。
【藤野氏】
60代、高齢者だから判断能力が低下してだまされやすいとばかりは言えません。そもそも人の脳は一度に複数のことを同時並行して処理することが難しいです。ですから、詐欺犯がいくつもの情報を次々にインプットされると正常な処理判断ができなくなってしまうことが予測されます。
さらに詐欺犯は対象者の不安を煽ったり、逆に還付金でお金が入るといった情報で正確な判断がし辛い状況をつくり出してくるのです。
相手はだまそうとしているのですから都合の良い情報を次々に流しこんできます。これは怪しいな?なんか変だな?と少しでも思ったら一人で判断せずに警察や家族と言った第三者に状況を把握してもらうことが被害にあわないための予防策として有効です。
詐欺に対する警戒心を持つことが重要
警察は自治体の職員や金融機関などの職員を名乗り、ATMを操作させるのは特殊詐欺の手口だとして、警察に相談するよう呼びかけています。還付金があるという電話があった場合、すぐに信じず、まずは家族や警察に相談することが重要です。
また、警察庁は還付金詐欺についての詳細な説明と対策を特殊詐欺対策ページで提供し、以下のような注意点を挙げています
- ●電話でお金の話が出たら、家族に相談する
- ●常に留守番電話機能を設定しておく
- ●迷惑電話防止機器を利用する
- ●公的機関の名を出されても信用しない
還付金詐欺は巧妙で、一度だまされると大金を失う可能性があります。また、自身の口座情報を他人に教えることは絶対に避けましょう。詐欺に対する警戒心を持つことが、自身の財産を守る最初の一歩です。