防災対策を見直す

九州北部の豪雨により被災された方々、ご家族の皆様にお見舞い申し上げます。

記録的な大雨により、九州北部では災害の危険性が高い状態が続いています。「もしも」のときのために、避難体制の見直しや被災時のシミュレーションが重要となりますが、訓練や防災マニュアルはときに形骸化してしまうことも。

今回のピックアップでは、介護付き有料老人ホームを経営するある法人の災害リスク担当者さまに防災対策についてお話を伺いました。

防災対策をいま一度見直したい 老人ホームの避難訓練の重要性の画像はこちら >>

訓練の重要性

―― 防災訓練の実施状況についてお伺いできますか。

2021年より、これまで以上に災害対策への取り組みを全社的に強化しています。昨今多発している水害を鑑みて、水害を想定した防災訓練を毎年七月~八月、地震の訓練を三月~四月に各ホームで実施することを決めました。訓練だけでなく、感染症対策や地震対策などさまざまな観点から、年間防災計画も策定しています。

―― マニュアルや訓練が「形骸化」してしまう可能性もあるのではないでしょうか。

地域によって避難先や経路が異なるだけでなく、入居者様のお身体の状況もみなさまで異なります。各ホームの状況に応じて、それぞれの職員の担当レベルで対策を練っています。

―― 直近の防災訓練の実施状況について伺えますか。

地震を想定した訓練を実施しました。訓練は「入居者様が軽傷を負ってしまった場合」「職員が怪我を負ってしまった場合」「ホームが停電してしまった場合」など、細かなシチュエーションを各ホームで設定しました。訓練の意義は、課題が見えることだと考えています。訓練実施後、「現状の物品では、不十分ではないか」「入居者様の精神的なケアはどうするのか」「夜勤帯に災害が発生した場合の連絡系統を見直そう」といった具体的な対策が上がりました。

―― 入居者の方の訓練の参加状況はいかがでしょうか。

入居者様全員ではありませんが、ご参加いただいております。ご参加いただいた入居者様からは「『いざ』というときのことが想像できた」「常備薬を見直した」といったお声を頂戴しました。改修段階ではありますが、災害時の入居者様のご状況をご家族にHPでお知らせするようなページを制作しております。

―― 避難先次第では、医療機能が十分でない可能性もあります。

ご指摘のとおりです。避難先の医療体制の確認なども各ホームで行う必要があります。ホーム自体の耐震性も高く、ハード面は災害を想定した造りとなっていますが、「最悪のケース」を常に想定することが重要だと考えています。

―― ありがとうございます。おひとり暮らしをされている高齢者の方はともすると防災意識を常に持つことが難しいこともあると思います。防災に対するアドバイスをお願いできますか。

お一人で暮らしている方々は、防災グッズの準備だけでなく、地域の方々と日頃からコミュニケーションを取ることも重要です。

公助はもちろんですが、「自助と共助」の精神で、お互いに連絡を取り合う方法を意識的に確保していくことが大事だと考えます。

訓練を訓練で終わらせないために

「防災対策はまず何をすればいいんだろう?」という方は、「政府広報オンライン」で配信している「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」をチェックしてみてはいかがでしょうか。

非常持ち出し品の例は大変参考になります。日ごとから防災への意識を持ちましょう。

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