健康のためにウォーキングを習慣にしている人は多いだろう。しかし、ただ歩くだけでなく、その「速さ」が健康寿命を延ばすための重要な鍵を握っていることが、米シカゴ大学の新たな研究で明らかになった。

特に、加齢による「虚弱(フレイル)」のリスクを抱える高齢者にとって、無理のない範囲で少しだけ歩くペースを上げることが、生活の質を劇的に改善する可能性があるという。

曖昧だった「速歩き」に具体的な指標

これまでも、速く歩く高齢者ほど長生きであることは知られていた。そのため、ウォーキングの指導では「歌うのは難しいが、会話はできる程度の速さ」といったアドバイスがされてきた。しかし、この表現は主観的で、実践しにくいのが難点だった。

今回の研究では、高齢者でも簡単に実践できる、より具体的で測定可能な目標を提示している。研究を主導したダニエル・ルービン准教授は、「普段の歩行ペースより1分あたり14歩以上速く歩くことで、健康状態が改善されることがわかりました」と語る。

研究チームは、14の介護付き住宅に住む102人の高齢者を対象に、4ヶ月間のウォーキングプログラムを実施。参加者を「普段通りのペースで歩くグループ」と「安全な範囲でできるだけ速く歩くグループ」に分け、その効果を比較した。

その結果、ウォーキングは参加者全員に良い影響を与えたが、特に1分あたり約100歩のペースで歩いたグループは、研究開始時と比較して虚弱の度合いが最も大きく改善した。

自宅でできる!「+15歩」ペースアップ術

では、具体的にどうすれば自分のペースを「1分あたり10~15歩」速くすることができるのだろうか。ルービン准教授は、自宅で簡単に試せる方法として「メトロノーム」の活用を勧めている。

普段のペースを測る:まず、メトロノームを使い、自分の楽な歩行リズムが何BPM(1分あたりの拍数)に合うかを確認する。

目標ペースを設定する:次に、その数値に「+10」や「+15」をしたテンポにメトロノームを再設定する。

新しいリズムで歩く:設定した新しいリズムに合わせて歩く。これを目標のウォーキング強度とする。

研究チームは現在、スマートフォンで歩行速度を測れるアプリも開発中だという。

◆ 安全第一で、健康寿命を延ばす

もちろん、ペースを上げることが重要だからといって、無理は禁物だ。ルービン准教授は、「転倒しそうになったり、胸の痛みや息切れ、めまいを感じたりした場合は、すぐに中断してください」と強く注意を促す。安全が確保できる範囲で行うことが大前提だ。

「この研究が、高齢者の皆さんがウォーキングの強度を管理するための実用的なガイドとなり、より長く、自分らしく活動的な生活を送る一助となることを願っています」と、研究チームは期待を寄せている。

日々の散歩に「少しだけ速く」という意識を取り入れる。この小さな工夫が、健康で自立した生活を長く続けるための、大きな一歩になるかもしれない。

The post 長寿と健康の秘訣は「歩く速さ」にあり! いつものペースに“プラス15歩/分”がカギ、米大学が新研究 first appeared on MOGU2NEWS.
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