あなたの周りにもいませんか? いつも気の利いた冗談で場を盛り上げる、生まれつき面白いとしか思えない人。その一方で、渾身のジョークがいつも「スベる」…と悩んでいる人もいるかもしれません。
果たして、人を笑わせる「お笑いのセンス」は、親から子へと受け継がれる「遺伝」なのでしょうか。それとも、育った「環境」や経験によって磨かれるものなのでしょうか。
この「生まれか育ちか」という長年の謎に、双子を対象とした世界初の科学的な研究が、驚くべき答えを導き出しました。
日本の「大喜利」そっくり?ユーモア能力の測定方法この画期的な研究は、イギリスのアベリストウィス大学などが主導し、1,300組以上の双子(一卵性および二卵性)を対象に行われました。
研究チームは、ユーモアのセンスを2つの側面から測定しました。
主観的なユーモア
「自分は面白い人間だと思うか?」といった質問で、本人が自身のユーモアをどう認識しているかを調査。
客観的なユーモア能力
実際の「人を笑わせる能力」を測るため、研究チームが用いたのは、日本のテレビ番組でもおなじみの「大喜利」にそっくりな手法でした。参加者には、セリフのないユニークな風刺漫画を見せ、「面白いセリフを考えてください」と指示。その回答を、一般の審査員たちが評価し、客観的な面白さを点数化したのです。
分析の結果は、非常に興味深いものでした。
まず、「自分は面白い人間だ」と自己評価する傾向には、ある程度の遺伝的な影響が見られました。一卵性の双子は、二卵性の双子よりも自己評価が似通っており、「自分は面白い」と思い込む自信のようなものは、生まれ持った性質が関係している可能性が示唆されたのです。
しかし、肝心の「大喜利」の成績、つまり客観的に人を笑わせる能力については、驚くべきことに遺伝的な影響が全く見られませんでした。一卵性の双子も二卵性の双子も、面白い回答を生み出す能力に差はなかったのです。
この結果が示すのは、「自分は面白い」と感じる心と、実際に「他人を笑わせる」能力は別物であり、後者は遺伝ではなく、ほぼ完全に育った環境や人生経験によって決まる、という衝撃的な結論でした。
なぜ知能や創造性とは違うのか?ユーモアの特殊性知能や創造性といった他の認知能力には、遺伝が大きく関わることが定説となっています。では、なぜユーモアだけが違うのでしょうか?
研究者は、その理由をユーモアの特殊性にあると考えています。ユーモアは、数学の問題を解くのとは違い、文化的背景、言葉の選び方、そして何より「間」といった社会的・文脈的な要素に大きく左右されます。これらはすべて、育った家庭や友人関係、受けた教育といった後天的な環境によって培われるものです。
また、「自分は面白い」という自己評価と、「大喜利」の成績が必ずしも一致しなかったことも、興味深い点です。多くの人が、自分のユーモアのセンスを過大評価しがちである、という過去の研究結果を裏付ける形となりました。
「面白い人」になるヒントは、あなたの中にこの研究は、まだ始まったばかりであり、さらなる検証が必要だと研究者は語っています。しかし、私たちに一つ、希望に満ちたメッセージを伝えてくれます。
それは、「人を笑わせる能力は、才能や遺伝で決まるわけではない」ということです。
あなたのジョークが時々「スベる」としても、落ち込む必要はありません。この研究によれば、面白い人になるための可能性は、誰にでも平等に開かれているのですから。どんな人と出会い、どんな経験を積み、どうやって「笑い」を学んでいくか。あなたのこれからの環境こそが、「お笑いのセンス」を育む最大の鍵となるでしょう。
The post ギャグセンスは遺伝しない? 「面白い人」は生まれか育ちか、双子研究が示した意外な結論 first appeared on MOGU2NEWS.