最近、ニュースなどで「PFAS(ピーファス)」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、それが具体的にどのような物質で、私たちの体にどんな影響を及ぼすのか、正確に理解している人はまだ少ないかもしれません。

PFASは、自然界でほとんど分解されないため「永遠の化学物質」とも呼ばれる人工の有機フッ素化合物の総称です。その特徴から、焦げ付きにくいフッ素加工のフライパンや防水ジャケット、食品の包装紙、シャンプーなど、驚くほど多くの日用品に使われてきました。

これまでの研究で、PFASはホルモンの働きを乱したり、肝臓にダメージを与えたりする可能性が指摘されてきましたが、この度、私たちの健康、特に若者の身体に関する、新たな、そして見過ごせないリスクが明らかになりました。

肥満手術後の「リバウンド」、原因は体内のPFASだった?

南カリフォルニア大学医学部の研究チームが注目したのは、肥満治療のために消化器系の手術(減量手術)を受けた後の「体重の再増加」、いわゆる「リバウンド」の問題です。手術で一度は減量に成功しても、多くの人が再び体重を戻してしまう原因は、長年の謎でした。

研究チームは、手術を受けた186人のティーンエイジャーを5年間にわたって追跡調査。その結果、衝撃的な相関関係が浮かび上がりました。

血中のPFAS濃度が高い若者ほど、手術後の体重リバウンドが大きかったのです。

この研究の筆頭著者であるブリトニー・バウマート博士は、「減量のための医療介入が世界中で増えている今、PFASと体重管理の成功との関連を理解することは極めて重要です」と、この発見の意義を強調しています。

なぜPFASが体重に影響?私たちの知らない「見えざるリスク」

PFASがなぜ体重の再増加に影響を与えるのか、その詳細なメカニズムはまだ解明されていません。しかし、この発見は、PFASが私たちの想像以上に、身体の基本的な機能に干渉している可能性を示唆しています。

アメリカの調査では、国民の約97%の体内からPFASが検出されたというデータもあり、これは他の先進国でも同様の状況にあると考えられます。

知らず知らずのうちに、私たちの体はこの「永遠の化学物質」に汚染されているのです。

そして、その影響は人間だけに留まりません。世界中の野生動物からも高濃度のPFASが検出されており、イルカの慢性的な炎症などを引き起こしている例も報告されています。

私たちにできることは?PFASから身を守る第一歩

現在、研究チームは、PFASが減量薬の効果や、2型糖尿病の発症リスクにどのような影響を与えるか、さらなる調査を進めています。

この見えざる脅威に対し、私たちがすぐにできることは限られているかもしれません。しかし、身の回りのリスクを少しでも減らすための第一歩として、専門家は「調理器具の見直し」などを挙げています。例えば、古いフッ素加工のフライパンを、PFASフリーを謳う新しい製品に買い換える、といった選択です。

今回の研究は、PFASが単なる環境汚染物質ではなく、私たちの体の中に入り込み、健康に静かな影響を及ぼしている可能性を改めて突きつけました。日々の生活に潜む化学物質とその影響について、私たちはもっと関心を持つ必要があるのかもしれません。

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