【かぶオプコラム】
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【格言かぶオプコラム】第5回:頭と尻尾はくれてやれ| 東証マネ部!
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「もう少し下がったら買おう」─誰もが経験する“押目待ち”。けれど実際には、その「押目」はなかなか訪れず、株価はさらに上昇。
今回のテーマは、まさにこの状況を言い表した格言、「押目待ちの押目なし」です。
調整を待っていたのに、そのまま上昇してしまう。買いそびれたまま、ただ指をくわえて見ているしかなかった。そんな悔しい展開を避けるために、今回はかぶオプを使った2つの戦略をご紹介します。
アプローチ1:「買いたい価格」で備えるターゲット・バイイング
2025年6月から8月にかけて、ソフトバンクグループ(9984)の株価は7,000円台から16,000円台へと急騰。わずか3か月で+120%超という驚異的な上昇を見せました。特に6月以降、7月末まで調整らしい調整はなく、買い時を見つけるのが難しいまま株価は一直線に駆け上がっていきました。

たとえば、7月上旬に「10,000円を割ったら買いたい」と考えていたとします。しかし、その押目は訪れず、株価は8月上旬には13,000円台まで上昇してしまいました。
こうした場面で活用できるのがターゲット・バイイングです。たとえば、7月1日時点で、8月限行使価格10,000円のプットオプションを売ると、200円程度のプレミアムを得られたとしましょう。
この戦略の結果は、8月限の満期日である8月7日の株価の終値によって、次のように分かれます
・株価が下がった場合 → 10,000円で株を“押目買い”できる
・株価が下がらなかった場合 → 株を買えなかった代わりに、プレミアム(仮に200円)を獲得
つまり、「買えなくて悔しい」ではなく、「買えなくても利益になる」状態を作ることができるのです。
実際、株価はその後も上昇を続け、10,000円を下回ることはありませんでした。仮にただ押目を待っていたとすれば、何も得られず、機会損失だけが残ったはずです。しかし、ターバイを使っていれば、「待ち時間」を収益化することができたのです。
アプローチ2:「上がってしまった…」でもあきらめないOTMのコールの買い
押目を待っていた銘柄がすでに急騰してしまった場合でも、次の上昇に向けた手段は残されています。それが「OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)コール」の買いです。
たとえば、7月上旬にソフトバンクグループの株価が10,600円付近まで上昇した場面で、「ここで買うのは高値掴みが怖い」と感じるのは自然な心理です。すでに大きく上がった株を、今さら買うのはためらわれる。一方で、さらにもう一段上がったら、今度こそ本当に悔しい思いをすることになりそう…。そんな投資家心理に、OTMコールが効果的に働きます。
たとえばこの時点で、8月限行使価格11,000円のコールオプションを買っておけば、「さらに上がったときの利益」を得る権利を、あらかじめ押さえておくことができます。
実際、7月7日時点でこのコールの清算値段は約360円でした。仮に1枚あたり400円でコールを買うとすれば、100株につき4万円です。
その後、株価は上昇を続け、7月25日には12,000円台に達し、このオプションは1,200円前後まで値上がりしました。コールの価格が3倍以上になったことを見て、転売するという判断も有効です。
また、さらに上昇しそうだと思えば、コールを転売せずに持ち続けることもできます。8月限の最終日のソフトバンクグループの株価終値は12,560円でしたが、コールを行使すれば11,000円で株を買うことができ、8月後半のさらなる上昇からの利益も得ることができたでしょう。
OTMコール買いの素晴らしさは、心理的ハードルを下げてくれる点にあります。「乗り遅れた…」という後悔と、「今さら買って高値掴みしたくない」という恐れ。そして「もう一段上がったら、今度こそ後悔するかも」という焦り。こうした相反する感情に揺れる局面で、OTMコール買いは小さなコストで「次のチャンスに乗る権利」を確保できる戦略です。
OTMコールを買っておけば、株価が上がればオプション価値は上昇し利益に。上がらなければ、失うのはプレミアムだけ。リスクをコントロールしつつ、「もう一度逃したくない」という気持ちに、戦略的な救いを与えてくれる手段なのです。
「押目待ちの押目なし」という格言は、待ちすぎて投資機会を逃す私たちの心理を鋭く突いています。ですが、かぶオプを使えば、そうした機会損失を利益の機会に変えることができるのです。
・ターバイで「押目待ち」の時間を価値あるものに変える。
・OTMコール買いで「乗り遅れた」場面で、低予算でエントリーする権利を確保する。
この2つの戦略を組み合わせれば、「買いたいけど怖い」「逃したくないけど高値掴みも避けたい」という投資家のジレンマを、ロジカルに乗り越えることができます。
2025年9月からは、かぶオプのマーケットメイク対象銘柄が32銘柄に拡大し、さらに活用の幅が広がりました。次回も、相場格言に照らしながら、投資を賢くするかぶオプの活用法をご紹介します。「こういうとき、どうする?」と思ったら、ぜひかぶオプを思い出してください。
(提供元)株式会社シンプレクス・インスティテュート
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