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2025年2月、金融庁の公式キャラクターである「ワニーサ」が参事官に就任した。参事官とは、同庁の幹部職の1つ。

以来、ワニーサは全国を飛び回り、さまざまな活動をしているという。東証マネ部!では、その内容を探るべくワニーサに直撃取材。話を聞いてみると、予想以上に“本気”の活動が明らかになった。

7年の月日を経て、今年から“三次元”の活動を開始

新たに金融庁の参事官となった「ワニーサ」を直撃! 金融経済教育を日本で広めるヒントを聞いた


――ワニーサさん、今日はよろしくお願いします。まずは読者の方に向けて、簡単な自己紹介をお願いできますか。

ワニーサ 金融庁で、安定的な資産形成の促進と、金融経済教育の推進を担当している総合政策局 参事官のワニーサです。「ワニー参事官」とも呼ばれています。チャームポイントは尻尾で、金融資産が右肩上がりに成長していく様子をイメージしています。

今日は、部下である金融経済教育推進室長の藤岡由佳子さんにも同席してもらっています。

藤岡 参事官のもとで、金融経済教育や資産形成の促進をチームで行っている藤岡です。よろしくお願いします。

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――「参事官」という役職がついているんですね。先ほど名刺もいただきました。


ワニーサ はい。今年(2025年)の2月13日、いわゆる「NISAの日」に、当時の加藤勝信金融担当大臣から参事官に任命していただきました。私が普段どのような業務をしているのか、その様子を載せた「ルーティン動画」も公開しているので、よろしければぜひご覧ください。

――マスコットキャラクターにとどまらない活動ですね。

ワニーサ 私はもともと、2018年に金融庁が「つみたてNISA」の制度を創設した際、その普及・促進のために誕生しました。「つみたてはNISA」、つまり「つみたてワニーサ」です。その後は、資産形成を広げていこうと地道な活動に取り組んできました。

――2018年に誕生して、2025年に参事官になられるまで、7年の月日があったんですね。

ワニーサ そうですね。最初の7年ほどは“二次元”に限定された活動で、皆さんと対面することはできませんでした。今年の2月から、ようやく“三次元”の世界に進出しています。今年度は、北海道から沖縄まで、さまざまな場所に伺う予定になっており、活動の幅が格段に広がっています。



――どのようなことがきっかけで参事官になったのですか?

ワニーサ 2024年1月から、抜本的に拡充されたNISA、いわゆる「新しいNISA」が始まりました。その後、NISAの口座開設者数は増え、いまや国民の成人の方の4人に1人が口座をお持ちです。NISAを通じた買付額も増加し、政府目標である56兆円を2年以上も前倒しで達成しました。国民の皆さまの資産形成への関心の高まりを感じているところです。

このように、私の役目であった「資産形成の促進」に進展が見られたことから、それらを評価され、参事官に任命していただきました。そしてこのタイミングで、今後は資産形成の促進に加えて「金融経済教育の推進」も行うようにとのお話があったのです。

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――金融経済教育の推進も担うようになったのは、どんな狙いからでしょうか?

ワニーサ 私たちの大きな目的は、国民の皆さまが経済的に自立し、幸福を実現する「ファイナンシャル・ウェルビーイング」の達成です。そのためには、金融リテラシーを高めることと、安定的な資産形成を進めていただくことが、車の両輪のようにどちらも欠かせない関係にあると考えています。

つまり、お金に関する判断力を高めていただき、金融商品の特性やご自身の状況をしっかりと理解した上で、可能な範囲で安定的な資産形成に取り組んでいただくことが大切です。このような考えから、資産形成の促進と金融経済教育の推進の両方を担当することになりました。

藤岡 人生100年時代といわれるように、長寿化が進み、ライフスタイルも多様化しています。その中では、個人のライフプランやステージに合わせて、資産形成に取り組む重要性が高まっており、金融リテラシーを高めるための学びの場、金融経済教育を受けられる場の提供が必要です。

そのような考えから、参事官とともに日々奔走しております。

ワニーサ 金融経済教育は「投資教育ではないか」というお話をされる方もいらっしゃるのですが、私たちが考えている金融経済教育はもっと幅広いものです。家計管理の仕方に始まり、金融トラブルから身・財産を守るためのリテラシーの習得も含まれます。それらを身につけた先に、貯蓄も含めた資産形成があると思っています。

――普段のワニーサさんのSNSを見ていると、もっと柔らかな受け答えをされるのかと思いました。

ワニーサ 確かに意外かもしれません。今日は公式な取材の場ですから、私たちの考えを正確に伝えられるよう、丁寧にお話ししています。

政府目標「20%」達成に向けて、知事を表敬訪問

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――参事官に就任してからは、具体的にどのような活動をされているのですか?

ワニーサ 今年の春から、全国キャラバンというプロジェクトを展開しています。これは、大きく2つの柱からなります。1つは、全国の都道府県知事を表敬訪問して、その地域での金融経済教育推進に向けた連携をお願いすることです。

もう1つは、さまざまな地域で実施する親子向けの金融経済教育イベントです。各地の財務局と共催しており、今年は全国10か所程度での実施を目標にしています。すでに福岡、岡山、札幌、宮城、愛知などで行い、12月には埼玉で開催予定です。



――いろいろな地域へ足を運ばれているのですね。まずは知事への表敬訪問について、詳しく聞かせてください。どのような目的からこうした活動をされているのでしょうか。

ワニーサ 金融リテラシーを高める機会や、安定的な資産形成に取り組む機会は、地域の差なく提供されることが重要だと考えています。日本で「金融経済教育を受けた」と認識している人は、2024年時点で7%であり、2028年度にはその割合を米国並みの20%に引き上げるという政府目標がありますが、これを達成するには全国各地で取り組みを進める必要があります。そのために知事を訪問し、金融経済教育推進に向けた連携強化のお願いに上がっています。

今年4月に東京都の小池百合子都知事にお会いして以降、これまで24(11月末時点)の都道府県を訪問しており、さらに10件程度を今年度中にお伺いする予定です。

藤岡 今後、都道府県とどのような連携ができるかについては、さまざまなレベルでお話をさせていただいていますが、その1つとして、昨年、金融庁が設立した認可法人 金融経済教育推進機構(J-FLEC)の活用が考えられます。J-FLECは、全国に中立的な講師を無料で派遣する事業を行っております。ぜひ、各地の学校や職場などでJ-FLECの講師派遣をご活用いただければと思います。

金融庁としては、あくまでそういった学びの場の提供の先に、安定的な資産形成を応援するものとしてNISA制度をご用意しています。

――実際に知事を訪問した印象はいかがですか?

ワニーサ お会いした知事の方々は、皆さん金融リテラシーを高める重要性についてのご理解があり、とても心強く感じています。

特に、「お金に関する判断力を高めることが、投資詐欺や金融トラブルから身・財産を守るために大事」とおっしゃる方が多く、我々としてもまったく同じ気持ちです。

地域の金融機関と“一体”で教育を行いたい

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――全国で金融経済教育を推進するために、どのようなことが大切になると思いますか?

ワニーサ 各地域のステークホルダーが連携して、学びの場を提供していくことです。たとえば長崎県では、県内の金融機関や関係団体等が「ALL長崎 金融リテラシー向上プロジェクト推進協議会」を組成し、県内の高等学校に講師を派遣して金融経済教育を行っています。こうした取り組みが各地に広がると、日本全体の金融リテラシーの底上げにつながるのではないでしょうか。
私たちも知事を訪問した際に、可能な限り地方銀行の頭取の方々とお会いしています。多くの頭取の方が、地域における金融経済教育の重要性や、地方銀行がその推進役になることへの期待についてご認識されており、我々金融庁やJ-FLECと連携しながら進めていくとお話しいただけることをうれしく思っているところです。

――地域の金融機関と協力して、この取り組みを推進していきたいということですね。

ワニーサ そうですね。もちろん、J-FLECも全国への講師派遣に尽力していきますが、やはりその地域で知名度があるのは圧倒的に地元の金融機関です。J-FLECだけですべての地域のニーズに応えていくこともできません。20%という政府目標の達成に向けては、さまざまなステークホルダーが学びの場を提供していくことが不可欠となります。

藤岡 地方銀行の中には、金融経済教育の推進を「地域への貢献」と捉えるだけでなく、行員を講師として学校へ派遣する中で、若い世代の方々に銀行や金融に関心を持ってもらい、将来的な人材獲得につながることを期待しているケースもありました。

経営上の重要な取り組みとして位置づけられていることが印象的でした。

ワニーサ 教員の方がいらっしゃる学校の場において、金融機関から派遣された講師が個別商品を売り込むことは想定しがたいですが、中立的な講義になることを期待しています。地域の金融機関においては、引き続き、若い世代への学びの場の提供に積極的に取り組んでいただければうれしいです。

――都道府県知事の表敬訪問についてよくわかりました。もう1つの活動の柱である「親子向けの金融経済教育イベント」については、次回の記事で詳しく聞いていきます!

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(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2025年12月現在の情報です

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