前回は、株式投資を始めてから約17年で「資産2億円」という目標を達成した兼業投資家・SammyFebruaryさんに、投資を始めたきっかけやこれまでの経験、実践している投資手法について聞いた。
後編となる今回は、株式投資の魅力やそのほかの金融商品を活用する意味、長期的に運用を継続するコツなどを伺う。
■長期投資のコツは「イヤだなと感じた銘柄は売る」
約25年前に株式投資を始め、銘柄によっては20年以上保有し続けているものもあるというSammyさん。長期投資を継続してきたなかで、大変さや難しさを感じる瞬間はないのだろうか。
「難しいなと思うのは、ひとつの銘柄を長く保有し続けることです。長期的に持つということは“売らない”ということで、売らないで持ち続けるにはそれなりの理由がいるんですよね。そうでないと、急騰したときについ売りたくなってしまうので」(Sammyさん・以下同)
Sammyさんにとっての“売らない理由”は、投資することに納得できていることだという。
「その銘柄を自分が保有していることに対して、少しでもイヤだなって感じたものは売って、残ったものを長期的に持っているイメージです。例えば、値動きが激しすぎてついていけない銘柄やその企業が展開している商品やサービスがあまり好きじゃないなと思った銘柄は、損にならないタイミングで売りました。仮に株価や配当利回りが好調であっても、不安やストレスを感じる銘柄を持ち続けるのは健康的ではないと思うんです」
最初はいいと思って購入した銘柄でも、社会の変化などによってその企業の事業や風土が変わり、自分の考えと合わなくなるケースもある。
「資産との兼ね合いもありますが、とりあえず気になったところを買ってみて、株価や売上、事業などを見ながら取捨選択し、残ったものを長期運用するという考え方でもいいと思っています。売った直後に株価が上がって悔しい思いをしたこともありますが、未来は誰にも予想できないので、そこは割り切るしかないですね」
長期投資を実践するうえで、大切にしてきたことがあるという。ひとつは、定期的に入金し続けてきたこと。
「毎年100万~200万円は投資に回してきて、元本はトータル3000万円ぐらいになると思います。
もうひとつ大切にしていることは、保有銘柄の情報をチェックすること。
「保有している銘柄に関しては、大体毎日チェックしています。といっても、Yahoo!ファイナンスの一覧を見る程度で、詳細までじっくり見ているわけではありません。株価がほとんど動いていなければ何もしませんが、急に上がったり下がったりしていたら、その理由を調べるようにしています。理由によって少し買い足したり、一部を売却したりすることもあります」
「株式」と「投資信託・ETF」を組み合わせて理想の投資スタイルに
株式投資の難しさはあるものの、Sammyさんが長く継続してきたのは、「夢があるから」とのこと。
「株式投資はリスクがある一方で、資産が10倍どころか100倍になることもあります。そう考えると、やっぱり夢がありますよね。そして、持ち続けることで配当金を得ることができ、保有期間が長くなれば配当金だけで元本を超えられる可能性があるところも株式投資の魅力だと思います」
配当金とは、企業が株主に対して分配する利益のこと。株主は、保有株数に応じた配当金を受け取ることができる。例えば、配当利回り4%の銘柄を100万円分保有していると、年間の配当金は4万円となる。配当利回りが変わらなかったとすれば、25年間保有することで配当額が元本と同額となり元が取れるのだ。
「配当金生活って、投資をしていれば誰もが憧れるものですよね。
かつては「資産が2億円に到達したら仕事を辞めて、配当金で暮らそう」と考えていたSammyさんだが、目標を達成した現在も仕事を続けていて収入があるため、配当金を生活費には充てていないそう。
「現時点で、配当金は再投資に回すか貯めたままにしておくかという状態です。以前は生活費にしようと考えていましたが、いずれ家を買ったときの返済に回すのもありだなとか、配当金が増えてきたことでいろいろな選択肢を考えられるようになりました」
一方で、近年は投資信託やETFも購入している。将来を見据え、資産のポートフォリオを変えていっているそう。
「父が亡くなった際に、自分の将来についても考え始めたんです。万が一、たくさんの銘柄を保有したまま亡くなったとしたら、資産を残された家族が大変だと思ったので、株式と比べて投資先を集中させやすい投資信託やETFに変えていくのもありなのかなと」
将来のためだけでなく、より分散した投資ができるというメリットも感じているとのこと。
「前半でも話しましたが、私は逆張りをしがちなので、順張りでの投資が前提となるインデックスファンドを買うことで、いままで得られていなかったチャンスをつかめるのではないかと感じています」
株式投資で資産を築いてきたSammyさんだが、「いまであれば投資信託やETFで運用するのもありだと思う」と話す。
「私が投資を始めた頃はETFはほとんどなく、投資信託の選択肢もそこまで豊富ではありませんでした。でも、いまはいろんな指数に連動する投資信託やETFがあって、業界などで絞り込んでいるものもありますよね。注目されている業界に投資したいものの、ひとつの会社に絞り切れないのであれば、業界全体に投資する投資信託やETFを買うのもいいでしょう。選択肢が増えているので、必ずしも個別株でなくてもいいのかなと思います」
高配当株に絞った投資信託やより大きな利益を目指すアクティブETFなども出てきているため、個々の目的や好みに合う投資を実践しやすくなってきている。
さらに、勤務先で導入されている企業型DC(企業型確定拠出年金)も活用し、退職金代わりとして運用しているそう。
「かつての退職金の運用利回り3%を超えるという目標で運用し、以前は『オルカン(全世界株式インデックスファンド)』に近い構成になるように3つの投資信託を組み合わせていたんですが、『野村全世界株式インデックスファンド』がラインナップに入ったので、いまはその1本に絞りました。1本で分散投資ができて、そのままほったらかしにしておけるのも投資信託やETFの魅力ですよね」
さまざまな挑戦を経て、自分に合う投資手法を見つけることが大事
最後に投資初心者がしがちな失敗について聞くと、意外な答えが返ってきた。
「投資って、同じ手法でも失敗するときもあればうまくいくときもあるから難しいんですよね。ほかの人が勧めている銘柄を買ってうまくいった経験もあれば、失敗した経験もありますし、自分で調べて投資して失敗したこともあれば、うまくいったこともあります」
前編で話してくれたように、初めての株式投資となった富士ソフトは身近な企業で、事業なども理解したうえで買ったが、ITバブル崩壊によって元本割れとなった。自分で調べてもうまくいかなかった例だ。しかし、Sammyさんの妻は身近な企業への投資で成功しているという。
「妻は普段よく使うお店や商品の会社に投資して結構当ててるんで、その姿を見ていると、身の回りのものから出てくるアイデアや勘ってバカにしちゃいけないんだなって思います。ただ、私自身はそういう選び方をして損することが多かったので、スクリーニングして投資先を選ぶほうが合っているのかなと思います。人によって合う投資手法って違うんですよね」
Sammyさんも投資信託を使ったりバリュー投資を行ったりしてきた結果として、高配当株への長期投資という手法にたどりついた。さまざまな経験を積むことも、投資のコツといえるだろう。
「人それぞれ性格も生活環境も違って、その人に合う手法も変わるので、人のマネばかりしているときっと苦しくなりますよね。まずは少額でいいので、いろいろな手法を試してみる、食わず嫌いしないでやってみることが大事なのかなと。
Sammyさんが教えてくれた株式投資のコツは、「ストレスを感じずに保有できる銘柄に絞ること」と「さまざまな手法を試すこと」。決して難しいことではないはずだ。まずはできることから始めてみよう。
(取材・文/有竹亮介)

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