基礎控除とは?2025年税制改正の内容や給与所得控除との違い...の画像はこちら >>


基礎控除は、所得税や住民税の計算をする際に総所得金額から引ける所得控除のひとつです。所得要件を満たせば、誰でも控除を受けられます。



2025年度の税制改正では、基礎控除額の見直しがありました。合計所得金額によって、今までより大きい控除額を適用できる可能性があるため、年末調整や確定申告の前に制度の概要や要件をしっかりと理解しておきましょう。

本記事では、基礎控除の概要や2025年度税制改正による変更点、適用する際の注意点などについて詳しく解説します。

基礎控除とは

基礎控除とは、所得によって「受けられるか・受けられないか」が決まる所得控除のことです。基礎控除を受けられる場合でも、所得によって控除額が異なります。

なお、所得控除とは所得税を計算するにあたって、所得の合計から引ける額のことです。2025年12月11日現在、基礎控除を含めて合計16種類の所得控除があります。

2025年(令和7年)度税制改正による基礎控除の変更点

2025年(令和7年)度の税制改正で、基礎控除額が見直されました。合計所得金額によって所得控除額が引き上げられた部分があるため、2025年の年末調整から今までよりも大きい基礎控除額を適用して税額を計算できる可能性があります。

「給与所得控除の見直し」や「扶養親族等の所得要件の改正」、「特定親族特別控除の創設」も2025年度の税制改正で変わった点です。特定親族特別控除について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

特定親族特別控除(2025年新設)とは?控除額や要件をわかりやすく解説

基礎控除の控除額

2025年度税制改正前後の基礎控除の控除額は、以下の通りです。

基礎控除とは?2025年税制改正の内容や給与所得控除との違いも解説


基礎控除とは?2025年税制改正の内容や給与所得控除との違いも解説


今まで、基礎控除の控除額は最大「48万円」でしたが、2025年度の税制改正で最大「95万円」まで引き上げられています。例えば、納税者の合計所得が「650万円」の場合、2025年は「63万円」を控除可能です。

一方、合計所得が「2,350万円超」の場合は、改正前後で適用可能な金額に変わりはありません。



基礎控除とは?2025年税制改正の内容や給与所得控除との違いも解説


基礎控除と給与所得控除の違い

基礎控除と給与所得控除の主な違いとして、対象者が挙げられます。基礎控除は、所得要件を満たせば基本的に誰でも適用できるのに対し、給与所得控除は会社員など給与収入を得ている人のみが対象の制度です。

また、税金を計算する際に適用するタイミングも異なります。基礎控除は合計所得から引いて計算するのに対し、給与所得控除は給与収入から引いて給与所得を求めるための金額です。

例えば、給与収入が450万円の場合の給与所得控除額は134万円(収入金額×20%+44万円)で、給与所得は316万円と計算できます。このケースで給与所得以外に所得がない場合、合計所得金額は450万円ではなく、316万円です。表から基礎控除を確認する際に、収入金額と合計所得金額を混同しないようにしましょう。

基礎控除・給与所得控除と「年収の壁」の関係

「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する年収のラインを示した言葉です。

従来、基礎控除の最高控除額は「48万円」、給与所得の最低保障額は「55万円」であったため、いわゆる「103万円の壁」が存在していました。「103万円」を超えた収入があると所得税の納税義務が発生することが由来です。

しかし、2025年の税制改正で基礎控除の最高控除額が「95万円」、給与所得の最低保障額が「65万円」に引き上げられたことで、「103万円の壁」は撤廃されました。代わりに、「160万円」の壁が設けられています。

基礎控除に関する注意点

基礎控除に関する注意点は、主に以下の通りです。

・年度によって控除額が異なる場合がある
・税制改正後も住民税の基礎控除額は据え置きされる

それぞれ解説します。



年度によって控除額が異なる場合がある

2025年度税制改正以降も、適用する年度によって控除額が異なる場合がある点に注意しましょう。

合計所得金額が「132万円以下」の場合は、2025年・2026年も2027年以降も控除額は「95万円」で変わりありません。一方、合計所得金額が「132万円超655万円以下」の場合は、2025年・2026年と2027年以降で控除額が異なります。

なお、2027年以降、合計所得金額「132万円超2,350万円以下」の控除額は一律で「58万円」です。

税制改正後も住民税の基礎控除額は据え置きされる

2025年度の税制改正後も、住民税の基礎控除額は据え置きされる点も押さえておきましょう。住民税の計算で適用できる基礎控除額は、以下の通りです。

基礎控除とは?2025年税制改正の内容や給与所得控除との違いも解説


所得税の基礎控除額と住民税の基礎控除額は異なるため、所得税がかからないケースでも住民税が発生する可能性がある点にも注意が必要です。

なお、2025年度税制改正で住民税の計算における基礎控除額の変更はありませんが、「給与所得控除の見直し」「各種扶養控除などに関する所得要件の引上げ」「特定親族特別控除の創設」などはあります。

基礎控除を適用した所得税・住民税の計算例

収入が給与収入のみの会社員が税金を計算する際の一般的な流れは、以下の通りです。

1. 給与収入から給与所得控除を引いて給与所得を計算する
2. 給与所得から各種所得控除を引いて課税所得を計算する
3. 所定の税率をかける

今回は、給与収入が450万円で適用できる所得控除が基礎控除のみのケースを想定し、所得税と住民税の計算方法を紹介します。(※一般的には、社会保険料控除をはじめ、基礎控除以外の控除と併用することが大多数であるため、実際の税額とは大きく異なる点にご留意ください。あくまで計算方法を理解するための例となります。)

所得税の場合

2025年12月12日時点で、給与収入が450万円の場合の給与所得控除額は「収入金額×20%+44万円」で計算するため、今回の給与所得控除額は134万円です。そこで、給与所得は、給与収入から給与所得控除を引き、316万円と計算できます(450万円 − 134万円)。

次に、給与所得から基礎控除を引きましょう。給与収入が450万円の場合、2025年分の基礎控除額は「88万円」のため、課税所得は228万円と計算できます(316万円 − 88万円)。



「所得税の速算表」から、課税所得が228万円の場合の税率は10%(控除額9.75万円)です。そのため、今回の所得税額は13.05万円となります(228万円 × 10% − 9.75万円)。

住民税の場合

住民税の計算でも給与収入が450万円の場合の給与所得控除額は134万円のため、給与所得は316万円です。ただし、基礎控除額は所得税と異なるため注意しましょう。

合計所得金額が2,400万円以下であれば、住民税の基礎控除額は一律で43万円です。そのため、課税所得は273万円と計算できます(316万円 − 43万円)。

住民税(所得割)の税率は、所得に対して一律で10%です。そのため、今回のケースでは一般的に27.3万円の住民税(※)がかかります(273万円 × 10%)。

※今回、住民税の均等割を含めていません。均等割は、一般的に4千円程度の金額がかかります。

基礎控除を適用する方法

基礎控除を適用する方法は、以下の通りです。

・年末調整で申請する
・確定申告で申請する

ここから、それぞれの申請方法について詳しく解説します。

年末調整で申請する場合

一般的に、会社員などの給与所得者は年末調整で基礎控除を適用できます。年末調整で基礎控除に関係する用紙は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」です。

まず、用紙に設けられている「給与所得者の基礎控除申告書」の箇所に、自身の収入金額や所得金額を記入します。

続いて、所得に該当する区分や基礎控除の額を記入しましょう。

例えば、課税所得が228万円であれば、区分は「A」で基礎控除の額が「880,000」です。

確定申告で申請する場合

会社員でも、副業している場合や初年度の住宅ローン控除を申告する場合などで確定申告するケースがあります。確定申告する場合は、確定申告書の第一表にある「所得から差し引かれる金額」の「基礎控除」に該当する控除額を記載しましょう。

例えば、課税所得が228万円であれば、「88(※)」と記載します。

※4桁の0はあらかじめ記載あり

基礎控除とは所得要件を満たせば適用できる所得控除

基礎控除とは、所得要件を満たせば誰でも適用できる所得控除のことです。2024年以前は控除額の最高額が「48万円」でしたが、2025年度の税制改正で合計所得金額によって最高「95万円」まで適用できるようになりました。

基礎控除を適用する際は、2025年・2026年と2027年以降で控除額が異なる可能性がある点に注意が必要です。自身の所得を把握したうえで、2025年にいくら適用できるのか確認しておきましょう。

参考:国税庁「No.1199 基礎控除」
参考:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
参考:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
参考:大阪市「所得控除額の計算」
参考:横浜市「令和7年度税制改正(いわゆる年収の壁への対応)の概要」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。

2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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