個人投資家が考える株式投資の面白さは「起業せずとも企業のオー...の画像はこちら >>


働きながら株式投資を実践し、4億円もの資産を築いた個人投資家・立川一さん。前編では、これまでの投資経験や立川さんが軸としている「増配銘柄への長期投資」の実践方法について伺った。



今回は、投資初心者がしてしまいがちな失敗や株式投資だからこそ得られる経験など、長く株式運用を継続してきた立川さんならではのお話を聞いた。

失敗から学んだ「分散投資」の重要性

まず聞いたのは、投資初心者がしてしまいがちな失敗。返ってきた回答は「理解できないビジネスモデルの銘柄を保有し、業績の急激な悪化を一時的なものと考えて頑固に保有してしまうこと」というもので、立川さん自身も経験があるそう。

「かつてジェイ・ブリッジという投資会社の株式を買ったことがあります。業績がいまいちな企業の株式を買い取って再生させ、うまくいけば再上場したり株式を売却したりして利益を得るというビジネスモデルでした。なんとなくうまくいきそうだと思って、株式投資を始めた頃に200万円ぐらいで買ったんですが、実際は事業がうまくいっていなかったようで株価が下がり、70万円ぐらいになっちゃったんです」(立川さん・以下同)

「なんとなくうまくいきそう」という感覚では見誤ることが多く、根拠もないまま粘って保有し続けると損を大きくしてしまうことがあるのだ。

「私のなかで一番大きな経験となったのは、ローソンチケットを運営していたローソンエンターメディアへの投資ですね。当時のローソンエンターメディアは保有資産が多く、チケット販売というほぼ独占状態のビジネスモデルだったので、集中投資してもいいかなって考えていたんです。とはいえ、まずは様子見と思って、1単元だけ買いました」

その直後、ローソンエンターメディア幹部による150億円もの不正流用が発覚し、巨額の損失が発生。上場廃止となり、ローソンの完全子会社となる事件があった。

「あのとき、本当に集中投資していたら、資産が半分くらいに減っていたと思います。ただ、幹部が悪さをしているなんて、外野にいる私たちにはわかりようがないですよね。財務諸表などを見て現金をたくさん保有しているという数字が載っていたら、それを信じるしかない。

つまり、開示情報だけでその企業の内情を調べ切れるかというと、そうではないということです」

個人が調べられることはわずかなため、馴染みのない業界や理解し切れていないビジネスモデルに投資するのはリスクが高いというわけだ。立川さんも過去の経験から、「ある程度自信のある投資であっても、集中投資はダメ」と学んだそう。

株式投資の可能性は「残存者利益を得られること」

株式投資の難しさを実感しながらも、長く継続しているのには理由があるという。

「株式投資って、自分が勤めている企業とは異なる業界・業種を保有できるという面白さがあると思うんです。企業に勤めながら副業として事業を始めることもできる場合もありますが、一気に複数の事業を運営することはほぼ不可能ですし、何より会社を起こしたり事業を継続させたりすることが難しいですよね。その点、株式投資はその企業のオーナーになって事業を保有するのと等しく、わずかですが恩恵を受けられる可能性もあります」

自分で会社を起こすとなると、ひとつの事業のリスクをすべて背負うことになる。しかし、株式投資であれば、投資先を分散することで複数の事業を展開するのと同じ効果が期待できるうえ、時代に合わせて投資する事業を変化させていくことも可能だ。

「起業した場合、始めるときだけでなくダメだと思ったときに事業をたたむのも大変ですよね。取引先との関係もあるし、従業員を雇っていたら簡単に廃業するわけにもいきません。一方、株式投資は手元に現金さえあればすぐに買えるし、手放すこともできます。事業を保有するという意味では起業とほぼ同じことをしていますが、ハードルは低いですし、さまざまな業界のオーナーになれる点が面白いですよね」

企業のオーナーになるという部分で、特に立川さんが面白みを感じているポイントは「斜陽産業の残存者利益を得ることができる」という点だ。

「私の投資先のひとつに、塾を経営している企業があります。学習塾業界は少子化のあおりを受けて、斜陽産業だといわれているんです。

生徒が減れば、当然塾も減ります。ただし、子どもが減る速度より、塾が減る速度のほうが圧倒的に速く、生き残った塾は残存者利益を得ることができます。いまのうちから可能性がありそうな塾に投資していれば、恩恵を受けられると考えています」

「残存者利益を得る」は、株式投資ならではの可能性といえる。起業して斜陽産業に乗り込むのはリスクが高く、顧客を獲得するのも難しい。「残存者利益を得るチャンス」と考える人も少ないため、銀行の融資も受けづらいだろう。

裏を返すと、これから伸びる可能性が高い業界への投資は難易度が上がるという。

「勢いがある業界や業種は人が群がるんですよね。新たに参入する企業が増え、投資家もたくさん入ってくるので、うまく業績を伸ばしていく企業を見つけるのが難しくなります。また、供給が増えすぎてしまい、結果として株価が下がるということもあり得ます。時流にうまく乗って、伸びる企業を探す面白さもあるのですが、人より先に見つけ出すのは難しいですよね」

何よりも大切なのは、自分に合った投資手法を見つけること

最後に、株式投資に興味はあるものの一歩が踏み出せないという人に向けて、まず行うべきことを聞いた。

「株式投資の理想は株価が低いときに買うことですが、タイミングを狙っているといつまでも投資できないので、まずはなんでもいいから余裕資金で1銘柄1単元買ってみてほしいです。株式を保有することで、自分が値動きや配当に対してどのような感情を抱くタイプなのかがわかります」

値動きが気になって仕方がない人もいれば、気にせずに放置できる人もいるだろう。

配当に対しても、「保有しているだけで配当金が入るなんてすごい」と感じる人がいる一方、「この金額しか受け取れないなら売買して儲けたほうがいい」と感じる人もいる。

「抱いた感情によって、合う投資手法は変わってくると思います。私みたいにわずかな配当金でもすごいと感じる人は長期投資が向いているでしょうし、もっとリスクをとっても構わないと思う人は積極的に売買するのが合っているかもしれません。個別株を複数銘柄買うのが大変だと感じる人は投資信託やETFでの投資がメインになると思うし、小さなリスクでも負担に感じる人は投資そのものが向いていない可能性もあります。大切なのは、自分に合った手法に早く到達することです。そのためにも、最初の一歩は早いほうがいい」

株式の売買で儲ける手法も長期的に保有して配当金を得る手法も、はたまた投資信託やETFを活用する手法も、どれも間違いではない。自分に合った手法を見つけることで、ストレスや負担を抑えながら資産を築くことができる。

「投資を始めたことによって仕事もプライベートも手に付かなくなるという状態は、もっとも避けたいところです。資産形成をして充実した人生を送るための投資なのに、投資のせいで人生が楽しめなくなってしまっては意味がないですよね。一番の理想は、大事な家族や友人がいて、やりがいのある仕事を持っていて、資産形成もしっかりして、将来の不安がないという状態だと思います。そのためにも、自分に合った資産形成の方法を見つけてほしいですね」

立川さんに合っていた手法は、増配銘柄への長期投資だった。この手法を真似するのではなく、自分に合っているか確認しながら進めることが、成功の第一歩となるだろう。



(取材・文/有竹亮介)

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