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学習指導要領の改訂等に伴い、学校でも金融教育が盛んな昨今。「東証マネ部!」では、教員経験を持つ作家の乙武洋匡氏をレポーター役に、金融教育の最前線を追っていく。



今回は子ども向けプリペイドカード「シャトルペイ」にスポットをあて、仕掛け人のシャトル株式会社・見原思郎氏を直撃。お小遣いの管理を可視化することで得られる気付きや成長について語り合った――。

金銭管理の振り返りから感じる子どもの成長

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※一部画面は開発中のものであり、変更の可能性があります

乙武 子どもはプリペイドカードを使って金銭の収支を管理し、親はアプリを通してチェックできる「シャトルペイ」。リリースからここまでの3年強、ユーザーの皆さんからはどのような声が届いていますか?

見原 嬉しいコメントとしては、「親子関係が良くなった」というご意見がありますね。たとえば実際に「シャトルペイ」を使ってみて、「我が子がこんなにしっかりしているとは思っていませんでした」という声があるのは、金銭管理が可視化されていればこそだと感じています。

乙武 なるほど、ある程度お子さんの自主性に任せてみたからこその気付きなわけですね。

見原 そうなんです。お子さんにある種のチャレンジの機会が与えられた、とも言えると思います。そのうえで、「こんなにちゃんとやれるなら、もっと早くからお小遣いの使い道を任せてあげればよかった」という声が聞けたのは、本当に嬉しいです。

乙武 実際のところ、どのくらいの年齢の子どもたちが「シャトルペイ」を使っているんですか?

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見原 下は小学校低学年から、上は主に高校生まで、意外と幅広いです。ある中学生のお子さんは、月初にもらったお小遣いの残金を見て、自然に「昨日、コンビニで◯◯を買ったのは無駄だったかも」といった言葉が出るようになったようで、そういう成長について親御さんから喜びの声をいただいたりもしています。

乙武 それはいいですね。お金の収支だけでなく、金銭管理を通して子どもの成長までもが可視化されるわけだ。



見原 まさにおっしゃる通りで、自分のお金の使い方を振り返るうちに、月初に受け取ったお小遣いをすぐにいったん貯金に移して、月末にそれを引き出すような工夫をし始めるお子さんもいます。そういった気付きや成長のきっかけの部分を担えたのは、僕としてもすごく喜ばしいですね。

乙武 親子関係が良くなったというのも、なんだか納得ですよね。何よりそういう感覚を早めに身につけた子どもは、将来、給料日に気持ちが大きくなってうっかり使い過ぎてしまうようなこともなくなるでしょうから、こんなに安心なことはないですよ。

必ずしも正解がない、金融教育の難しさ

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乙武 ところで、お金について学ぶというのは本来、すごく難しいことですよね。浪費癖は絶対に良くないし、そうかといって単に貯金をするのが趣味みたいな子に育ってほしいのかと言われれば、そうでもないような気がしますし。

たとえば、月に1万円の収入があるとした場合、2万円使うような生活は絶対にアウトですけど、かといって1000円しか使わないことが必ずしも正解かというと、そうとは限らないわけです。

見原 まさにそこはいまも苦労しているところなんです。仮に貯金が趣味というお子さんがいたとして、それに対して肯定したり否定したりするのは良くないので、的外れにならない範囲の助言をしながら、いかに自分で考えてもらうかが大切だと思っています。

乙武 そうですよね。RPGゲームのように、“ガンガンいこうぜ”みたいなタイミングもあれば、堅実性を重視すべきタイミングもあるはずで、それもすべて個々の状況や考え方次第。絶対的な正解があるわけではないので、第三者が一概に押し付けるわけにもいきません。

見原 また、監視ツールのようになってしまっても良くないと思います。

とくにお子さんの側からすれば、どこでいくら使ったのかすべて見張られるのは面白くないでしょうし、それで親子関係が険悪になるのは避けなければなりません。

乙武 なるほど、たしかにそうですね。ただ、別の見方をすれば、「シャトルペイ」がどうという以前に、それまでにどのような親子関係が構築されているのかが大きい気もします。ある程度、お互いの信頼関係と利害が一致していれば、やはり「シャトルペイ」はいろんな成長を促すツールになり得るはずですよ。

見原 ありがとうございます。そう言っていただけると、ホッとします(笑)。

「シャトルペイ」が親子間のコミュニケーションツールに

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乙武 ところで、今回こうして「シャトルペイ」について知る中で、金融教育におけるキャッシュレスの是非というのは、気になったポイントのひとつなんです。我々の世代はどうしても、現金でこそ感じられるお金のありがたみのようなものがあるのではないかと思ってしまうので。

見原 それは僕も世代的に同感です。

乙武 子どもの頃からキャッシュレスで育ち、現金の手触りを知らないまま消費を行うことで、極端な話、お金とはいくらでも使えるものだという誤った感覚に陥ることはないでしょうか。

見原 お金に触れる最初の瞬間は、現金がいいと私も思います。たとえば100円玉を手にした時に、それが相応のお菓子と交換できる力を持つものだと実感するのは大切ですし、使ったら物理的にも手元から無くなることを肌身で感じる体験も必要でしょう。このあたりは現金ならではの強さですから。



乙武 そうですよね。最初のステップとして現金さえ経験しておけば、より安心してキャッシュレスの利便性を活用できるようになるはず。

見原 その意味で、現金との合わせ技というか、なだらかにキャッシュレスに移行するようなプロセスを意識すべきなのでしょうね。

乙武 だからこそ、「シャトルペイ」には金融教育ツールの側面とは別にもうひとつ、親子間のコミュニケーションツールとしての側面が重要だと思うんです。そういった現金の取り回しを通して学ばせることは、リアルな親子関係の中で行われるべきですし。

見原 興味深いのは、実際に「シャトルペイ」を使っているユーザーの中に、お小遣いは渡していないけど、お仕事機能(報酬としてお金を支払う機能)は使っているという人もいることです。シンプルに言えば、家のお手伝いをしたり、良い習慣を守ったりした分だけお小遣いを入金するやり方ですね。ちゃんと明日の学校の準備を済ませてから寝る、とか。

乙武 面白いですね。そういった教育ツールとしての用途はまさに、親子間のコミュニケーションツールとして「シャトルペイ」が機能している証しですよ。

「シャトルペイ」のさらなる進化に期待!

乙武 教育の方針ややり方は各家庭それぞれの形があっていいと思うのですが、こうしてお話を伺っていると、私の場合はやはりお小遣い制で良かったのかなと感じます。何か欲しいものができた時に、そのつど親におねだりするやり方では、お金の使い方が身につかないですから。



見原 そうですね。我が家の話で恐縮なのですが、次男がいま4歳なのでまだお小遣いは与えていなくて、「あれが欲しい」「これが欲しい」と言われるたびに、適宜判断するやり方をしていました。しかし、このやり方はやっぱりこちらも疲弊するので、少し早いと思いつつ、物理的なコインを導入してみたんです。

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乙武 それは具体的にどのようなシステムですか?

見原 お手伝いや躾の範疇で、与えたミッションをこなすたびにコインを1枚渡すようにして、「何枚貯まったら好きなものを買ってあげるよ」とやったんです。すると、4歳にしてすぐにこの仕組みを使いこなすようになり、一切おねだりをすることがなくなったばかりか、「次にコインが貯まったら何々を買うんだ」と言うようになりました。

乙武 へえ、それは素晴らしい成長じゃないですか。

見原 親としてもこれは大きな転換で、まさにこういうことを「シャトルペイ」を通して起こしていければいいなと痛感しています。

乙武 そういえば私の母も、そのあたりのやり方が実に巧みでした。小学校の低学年の頃の話ですが、当時はテレビゲームをやりたい盛りで、いかにその時間を許してもらうかというのが重要事なわけです。

そこで母が考え出したのが、1日の中でゲームをやった時間とテレビを見た時間の合計が、勉強した時間と本を読んだ時間の合計と同じでなければいけないというルールだったんです。私としてはいっぱいゲームをやりたい一心で、めちゃめちゃ勉強や読書をしましたから、大成功ですよね(笑)。

見原 それもまた素晴らしいアイデアですね。

やはり設計が大切なんだと、思い知らされました。

乙武 だからこそ、「シャトルペイ」のようなツールにも大きな可能性があるということです。引き続き、さらなる進化と発展に期待しています。

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