シンガー、ビジュアルアーティスト、パフォーマーとしてLAを拠点に活躍する実験的なアーティスト「vōx(ウォークス)」が、2020年9月17日に3作目となるEP「This Body」をリリースした。
2016年にKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)のカバーソングで注目を集めて以降、宗教やメンタルヘルスなどとの自身の関係について、アートやSNSを通してありのままさらけ出してきたvōx。

ー表現活動はいつから始めたのですか?15歳から曲を書いていました。コーヒーショップでパフォーマンスを始めたのもその頃からです。自分のキャリアとして表現活動に真剣に取り組むようになったのは、生まれ育ったミネソタからLAに引っ越してから。2013年の終わりの頃から「vōx」としての音楽やパフォーマンスの世界観が固まってきました。そこから実際に世に作品を出すまでに数年かかりました。2016年にアーティストでプロデューサーのDylan Brady(ディラン・ブラディ)と共にKendrick Lamarの「”I”」のカバーを出してから、自分が「vōx」で何を本当に表現したいのかを理解し始めた気がします。
ー今回リリースしたEP「This Body」では何を表現したかったのですか?今回のEPでは自分の身体との関係、繋がりを追求することがとても重要でした。自分の心や精神と身体が完全に分離されていることに気がついたのです。私の場合、過去のセクシュアル・トラウマの対処法としてそうなったんだと思います。

ーセルフイメージ(自分について抱いているイメージ)についてネガティブなこともオープンに発信されていますが、どうして多くの人が自分自信を受け入れることを難しいと感じてしまうのだと思いますか?vōxとしてアートを通じてどのようにこの問題に向き合っていますか?社会、セックス、大企業…この問題にはいろいろな要素が絡み合っていますよね。力のある男性が女性を抑圧しようとするシステムがまかり通っている社会において、特に女性はこの問題を抱えやすいと思います。もし自分に満足できなかったら何かを買ったり消費することでそれを埋めようとする傾向も社会的にあると思っています。

ー新型コロナが広まってからは、これまで以上にメンタルヘルスの問題がオープンに話されるべきだと感じています。コロナ禍でメンタルヘルスとどのように向き合っていますか?今の状況でアート活動を続けることに関してどう考えていますか?この春、自粛生活が始まって数ヶ月間はアート活動ができませんでした。アートを作ることは重要ですが、自分自身をケアしてあげることより大切ではありません。もし創作活動を通して今私たちが体験しているこの困難を吐き出し表現することができるならそれは美しことです。

ー最後に、ありのままの自分を受け入れることが難しいと感じている人にアドバイスはありますか?辛抱強く自分と付き合ってあげてください。今あなたがどんな状態にいようと、あなたはそのままで完璧なんです。私にもとても辛い時期がありました。鬱や不安症、自己否定感に苦しんできました。でも覚えていてください、いつか物事はましになります。もし今日あなたがベッドから抜けられず何もできなかったとしてもいいんです。あなたは愛されています。あなたは必要とされています。
「This Body」 by vōx
9月17日に販売されたEP 「This Body」でvōxは、「更生」に関して追求している。作品には脆弱な歌詞が繊細に織り込まれ、なぜ彼女は“小さく保たれていたのか”を探る。また、彼女の血統を理解する方法や彼女がふさわしいと知る、ふさわしい愛の方法をについて問いかけている。