暮らす、働く、散歩する、買い物する、交流する、発信する、作り出す、破壊する…。365日何かが生み出されたり、壊されたりしながら、さまざまな人・もの・情報が入れ替わり立ち替わり、“生きている”ように新陳代謝をしている街、東京。一見、以前と変わらぬ平穏な空気が流れているかのように見える街は今、移動や行動が制限され、経済的にも、社会的にも、国際的にも一つの答えがないさまざまな問題に直面している。この難しい局面で、息苦しささえ感じる都市・東京はどこに向かうのか。そして私たちと都市の関わりはどのように変化していくのか。 コロナ禍で外出困難となった人や、障がいや疾患、育児や介護などを理由に劇場や展示などの芸術鑑賞から遠ざかる人たちに対して、誰もが好きなとき、好きな場所から文化に親しめる場の実現を目指した日本初のアクセシビリティに特化したオンライン型劇場「THEATRE for ALL(以下、TfA)」。配信中の作品のなかに、アートコレクティブ「SIDE CORE(サイドコア)」が夜の街を歩きながら、ストリートアートにフォーカスし、表層に現れない東京を解説して行く『MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020』(アクセシビリティ:バリアフリー日本語字幕、英語・中国語字幕付き)がある。今回、NEUT MagazineはアーティストでありSIDE COREのディレクター・松下徹(まつした とおる)、そして映像のなかで作品がフィーチャーされ、以前から松下とともに都市を観察批評する視点で活動してきたストリートアーティストBIEN(びえん)と、都市から読み取れるこれからの東京について考えていく。
左が松下、右がBIEN時間のコラージュから街の価値を再定義する
深夜。15分で歩ける距離を3時間かけて。外苑前のワタリウム美術館、外苑西通り、青山キラー通り商店街から竹下通りを抜けて明治通り、渋谷のセンター街まで。「地面師に注意してください」の看板や、今はなき地名「原宿一丁目町会」の表札。
ー街を観察者の視点で捉えながら、ストリートアートと現代美術の間を繋ぐような活動をするお二人にとって、表現のキャンバスでもある街・東京の現状をどうお考えですか。『MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020』を通じて見えてきたことも含めて教えてください。松下:街を捉えるといってもいろいろな見方がありますが、今は集まることもできない、面白いことが起きづらい、都市で生きていくことの意味自体変わっていく“間の時間”。そんな変化の過渡期だからこそ、時間や歴史という観点から都市の文脈をひもといて、街を再解釈・再定義する、ドキュメントを構築していくことが必要なのではないかと考えています。大きな流れでいえば東日本大震災以後、2011年から現在に至るまで人が集まる場所、コミュニティが必要だという思想が高まり、その概念自体がマーケティングや再開発に利用されてきた。だから人が集まることができなくなった今、ある意味街の中で何をしていいか分からない状況が生まれているとも言えますよね。ストリートでも、今までは街のど真ん中でいろいろなことが起きてきましたが、それも変化して行くのだと思います。ところで今回BIENが発表してくれた作品も、時間のクレパス、つまり街の変化のなかで置き去りになった場所にアプローチする内容でしたが、作品の内容について話してもらっていいですか?。BIEN:そうですね。
カケラが問いかける“考えさせる言語”の可能性
ー映像作品中、制度設計の失敗と思しき場所や、曖昧な要素など、普段は意識しなければ気がつかないうえに、説明が難しい「分からない」要素が多く登場します。BIENさんの作品でも、具体的なモチーフではなく抽象化されたライン(線)を用いた表現が多いと思うのですが、「分からなさ」についてお二人が考えていることがあれば教えてください。松下:例えば落書きが多く消されない場所というのは、さまざまな原因で管理が行き届いていない場所だと思います。配電盤って(落書きが)消されないじゃないですか。あれはあえて消してしていない(一時的に落書きを残している)のだと思いますよね。。
BIEN:今まで見ていたもの、こうだと思っていたものが実はそんなにガッチリと固まったものではなくてとても不安定なもので、ただ自分がそう思い込んでいるだけだったり、教育に影響されてそう認識していただけだったりすることがありますよね。作品を作ることでそういったことに気がつけたら面白いなと思っています。一枚の絵を描いたときも、一枚で終わりではないというものを作りたいんですよね。欠けている部分を埋めるという方法も、ない部分を想像する作業で、自分でも知らなかった見え方が発見できたりする。
一人一人が都市を「見る」方法を見つけることで新たな文化がつくられる
ー変化の渦中にありながら、今もなお人と集まって話したり、行動を起こしたりすることが難しい状況が続いている街で、今私たちにできることは何だと思いますか?これからの都市での生活を見据えて、時代のコラージュを読み解いたり、街を「見る」方法についても教えてください。松下:街の中でアクションを起こすという視点においてやっぱり今東京って難しいなと思います。街の中のルール設計がすごく強固ですよね。相互監視の力も強いし、不確定要素は排除されていく。地価が高騰しているし不動産は高いので、場所自体へのアプローチは難しいと思うんですよ。でも、「時間」というレイヤーや街を見てみるといいのかもしれない。
アーティスト/SIDE COREディレクター1984年神奈川県生まれ、東京藝術大学先端芸術専攻修了。化学実験や工業生産の技術によって絵画作品を制作。高電圧の電流によるドローイング、塗料の科学変化を用いたペインティングなど、システムが生み出す図柄を観測・操作・編集するプロセスにより絵画作品を制作。またストリートカルチャーに関する企画を行うアートチームSIDE COREのディレクターの1人でもあり、国内外のストリートカルチャーに関するリサーチ/執筆をおこなっている。展示歴2021 「水の波紋」ワタリウム美術館 東京2020 「Long Circuit」HARUKAITO by island 東京2019 「Cutter」 SNOW CONTEMPORARY 東京2019 「Reborn-Art Festival 2019」石巻市 東京2019 「un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング」戸田建設 東京
1993年東京都生まれ、ドローイング表現を基礎とし絵画や彫刻など多様なメディアで作品を制作。アニメのキャラクターなどフィクションが生み出す形、文字や記号などの表象に着目し、それらがもつ形や意味を解体/再構築する抽象表現を展開している。またロックミュージックやストリートカルチャーなど、多様なサブカルチャーに精通しており、多様な文脈をミックスしたアプローチもBIENの表現の特徴である。 主な個展に、18年「WOOZY WIZARD」(BLOCKHOUSE、東京)21年「DUSKDAWNDUST」(PARCEL、HARUKAITO by island、東京)など。 ▷Instagram
SIDE CORE「MIDNIGHT WALK tour / TOKYO 2020」 配信期間:2021年6月23日(水)~8月23日(月)視聴料金:¥1000(視聴可能期間は購入から10日間)上映時間:88分アクセシビリティ:バリアフリー日本語字幕、多言語字幕(英語・中国語) 視聴:https://theatreforall.net/movie/nightwalk/
株式会社precogがオープンした、日本で初めて演劇・ダンス・映画・現代アートを対象に、日本語字幕、音声ガイド、手話通訳、多言語対応などのバリアフリー対応を施したオンライン型劇場です。 現在、映像作品約30作品とラーニングプログラム約30本を配信。さまざまなアクセシビリティに対してリサーチ活動を行う「THEATRE for ALL LAB」の活動も行っており、障がい当事者やその他さまざまな立場の視聴者、支援団体などと研究を重ねています。また、作品の配信に加え、鑑賞者の鑑賞体験をより豊かにし、日常にインスピレーションを与えるラーニングプログラムの開発に力を入れています。▷THEATRE for ALL 公式サイト
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