昨年に初来日を果たし、単独ライブやさまざまなフェスに出演したシンガーソングライターのUMI。初来日のタイミングで、NEUT Magazineでもインタビューを実施し、UMIのこれまでの生い立ちや、音楽性、今後についてなどさまざまな話を聞いた。
ファンに直接会うことで、私の中にある新たなメロディが奏でられていく
ーまずは、EP『talking to the wind』のリリースおめでとうございます! 1月26日に笹塚ボウルで行われたNEUT magazineの5周年イベントでは、今回のリリースパーティも同時に開催しました。こうして実際にNEUT Magazineの読者や、ファンと会ってみてどうでしたか?日本に来るたびにファンのみんなと一緒に思い出を重ねていけるのがすごくうれしいです。去年は「グリーンルームフェス」での初来日を機に、単独ライブ、「サマーソニック」にも出演させてもらって、ファンの方に会うたびに、「サマソニ行きました!」とか、「ライブ素晴らしかったよ~」と、すてきな言葉をたくさんもらって。今回のリリースパーティも、次の来日のタイミングで、「リリースパーティ楽しかった」と、声が聞けたら幸せだなと思いました。
愛はどんな時間でも、どこにいても送り合えるもの
ー昨年末にリリースされたBTSのVとの楽曲『wherever u r feat V of BTS』は、とても心地よいメロディと二人の歌声が素敵でした。今回はどうしてコラボレーションすることになったのでしょうか?去年の10月くらいにVが私の楽曲をタグ付けしてInstagramでアップしてくれて。これまでもSNSなどでシェアしてくれていることは知っていたんですが、タグ付けされたのはそれが初めてだったんです。そのとき、ちょうど母とハイキングをしているときで、「曲を一緒に作らないか誘ってみたら?」と、母から言われて、勇気を出してDMを送ってみました。その日はドキドキで夜まで連絡が来ているか見られなかったんですが、時間をおいてDMを開いたら、「ぜひ作りましょう!」と、返事がきていたんです。
風との対話で、どんな自分も受け入れられると願いを込めて
ー新しいEP『talking to the wind』について教えてください。「風と対話する」というタイトルがUMIさんらしいなと思いました。2023年は世界的にも社会情勢や、いろいろなことが変わっていく転換期だった気がしていて、みんな何かしらで頭のなかがごちゃごちゃした瞬間が多かったのかな思っています。私にとっても、2023年はレーベルやマネジメントが変わったり、引っ越しがあったり。
ー収録されている楽曲についてそれぞれ教えてもらえたらと思います。まずは、一曲目の『why dont we go』のインスピレーション源になったものを聞かせてもらえますか?この曲の『why dont we go』という言葉は、「考えすぎないで」というメッセージが込められています。私がこの言葉を聞いて思い出すのは、アドベンチャー。例えば、知らない人とデートをすることや、週末の夜、友達とAirbnbを予約してロードトリップへ行くなど、スケジュールで予定してなかった突然のお出かけをイメージして作りました。そういう偶然訪れた時間って、いつもより少しだけ刺激的でワクワクしませんか? その気持ちを楽曲でシェアできたらなと思ったんです。ビジュアライザーも、そういった時間を何度も一緒に過ごしてきた私の友人を呼んで、自由にダンスしてもらいました。ー『happy im』は、パートナーであるヴェロニカさんと過ごす日常の光景や、旅での風景がミュージックビデオに落とし込まれていて素敵でした。観ているだけで幸せな気持ちになる映像ですよね。ビデオはフィルムで撮影しているんですが、そのままの私たちを見せたくて、このようなムードに仕上がりました。この曲を作ったとき、自分のリレーションシップについて考えすぎてしまう時期で、いい状態なのに、逃げたいと思っていたし、なにか悪いことがありそうだと自分で自分に問題を作って、周りの人も自身のことも傷つけてしまっていたんです。だから、この曲を書きながら思っていたのは、「あまり考えすぎずにいることを大切にしよう」ということ。何十年先のことを考えても、どうなるかなんて誰にもわからないし、今がよければ問題ないと自分に伝えたかったから書きました。私もこの曲を歌うたびに「今がよければ大丈夫だよ」と、自分に言い聞かせています。ー『not necessary』という曲は、日本語の「別にいいよ」がインスピレーションだったと聞きました。日本でもそうだと思いますが、アメリカでも、人に対して「別にいいよ」って答えることがあまりポジティブには捉えられていません。けど、私はそんなことはないと思っているんです。例えば、まったく知らない人だったら断ることも、好きな人や友人であれば、「別にいいよ」って言うこともある。それが言葉として面白いなと思っています。『why dont we go』の楽曲に繋がるんですが、突然のお出かけや約束も「別にいいよ」という気持ちの広さがあるからこそだと思っていて、「別にいいよ」の一言で、自分では考えてなかった予定や、出来事につながって、新しい経験になる可能性があるかもしれないなって。だから私はあえて「別にいいよ」という言葉を、この曲を聴いている人に、もっと言ってほしいなと思っています。ちなみに、パートナーのベロちゃんがビートを制作したんですが、フレーズを聴いたときに、これはフリースタイルで作りたいなと思いました。なので、言葉をつないでいくために、ベロちゃんに「この音を作ったとき、なにか思ったことはある?」って聞いたら、「うん、別に~」って(笑)。始まりはそこからです。
ー最後に収録された『SHOW ME OUT』は、ダンスナンバーで、とてもかっこよかったです。もともといつかダンスで表現したいなと思っていたので、今回こうして披露できてうれしいです。今年はプライベートでも友達とよく集まって踊ったりしていたし、私のファンの人たちは、私の曲を使ってSNSでダンス動画をアップしてくれている人たちがすごく多いんです。その姿も日々のインスピレーションにさせてもらっていたから、ようやく形にできてよかったなと思います。ダンスの振りも自分で作りました。みんなにはこの曲でたくさん楽しんでもらいたいです。
UMI
日米をルーツに持ち、R&B、ソウル、ヒップホップ等のさまざまな要素を取り入れ“ヒーリング・ネオソウル”として人々の心に寄り添うような楽曲をリリースしているシンガーソングライター・UMI。2018年にデビューし、初のEP『Interlude』をリリース。その後2019年には2nd EPの『Love Language』、2020年にはメジャーデビューEP『Introspection』、そして2022年5月にはデビューアルバム『Forest In The City』をリリースしている。UMIがリリースする作品には自身が日頃から感じている、「アメリカ生まれ且つアメリカ人でありながら、もう一つのルーツである日本を思いやる気持ち」、「日本人であるにも関わらず日本人として見てもらえない」など自身の複雑な経験を楽曲を通して表現しており、現在若い世代から支持を得ているアーティストの一人だ。