ビジュアルアーティスト・nico itoが4年ぶりの個展《Soft Panic》を6月7日から6月29日まで東京・月極にて開催。ファッション、テレビ番組、広告など多岐にわたるビジュアルを手掛けてきたnico itoは、以前NEUTでインタビューを行ったほか、NEUTオリジナルのシードル 「NEUTON」のラベルのイラストも手がけている。
不気味なのに、かわいい。惹きこまれるnico itoの世界観
「日常で感じる小さな違和感やモヤモヤをできるだけキャッチーに表現したい」という思いが込められた今回の展示。起きた出来事をそのまま描くのではなく、キャラクターやモチーフに落とし込むことで「再構築」された感情は、キャラクター全てに意識された「愛おしさ」によってポップに親しみやすいモノへと昇華される。不思議な不気味さを持つ作風によってポップでありながらも、意図せず醸し出されている不穏さは、感情の複雑さを可視化し、ユーモラスに映し出す。

どこか懐かしい。アナログとデジタルが同居する愛すべきアンバランス
nico itoの作風は、彼女の子供時代に遊んでいたパソコンのゲームやお絵描きソフト、チープなGIFアニメが満載の謎のWebサイトといった1990年後期から2000年初期にあったコンピューターグラフィックにルーツを持つ。デジタルアートで描かれたような立体的な質感の中に、筆跡やレトロな絵本風の構図を落とし込んだアナログ感は、非現実的で幻想的なデジタルアートの表現とノスタルジックを両立する。
