6月下旬、北海道日本ハムファイターズが検討していた鎌ケ谷市の2軍本拠地の移転を巡り、1軍と同じ北海道への移転方針を固めたとする一部報道があった。2024年7月にも報道があったが、そのときと同じようにファイターズ球団は26日に「コメントできることはない」と事実関係への言及を避け、鎌ケ谷市も公式発表がないことで静観するという。
ただ1軍本拠地がある北広島市周辺の自治体はすでに誘致への熱が上がっている。

鎌ケ谷スタジアム(鎌スタ)は1997年に開業以来、多くの選手たちが汗を流してきた。特に1軍が2004年に東京ドームから北海道に本拠地を移した後は地元を始め、首都圏や本州に住むファイターズファンに親しまれてきた。

現在プロ野球で1軍球団を持つ12球団の中で、1・2軍の本拠地間の移動に飛行機が必須となるのはファイターズだけ。シーズン中の1・2軍の入れ替えの不便さや、2軍のデーゲームに出場した後に1軍のナイターの試合に出るという、いわゆる“親子ゲーム”もライオンズ、マリーンズ、交流戦の在京球団との試合以外では困難になっている。

北海道移転、メリットはあるのか?
北海道出身、関東在住のファイターズファンである筆者は、一言で言うと「球団のためになるならどこに2軍がいても良い」と思っている。しかし、北海道に移転することがどれだけメリットがあるのか疑問が残る。

現在、2軍戦も100試合を超える日程で行われており、もし北海道に移転となれば、半分は本州に遠征となる。2軍の球場は屋根がないため、荒天で試合中止になるケースも少なくない。せっかく遠征に行ったのに、雨で試合が中止。こうなれば、選手たちはホテルにいるしかなくなる。鎌ケ谷に拠点があれば、中止になった際は戻ったり、そもそもバスで移動せずに自分たちの施設で練習ができる。
2軍はどこもカツカツの施設で練習しているだろうから、「北海道から来ているので室内練習場貸してください」は通じないのではないか。

また、北海道内に建てる2軍新施設も気になる。2軍施設は室内練習場だけではなく球場も1月から12月まで、試合やチーム練習のほか、選手が自主的にトレーニングを行うために使う。12月から3月まで雪が降る北海道では屋根付きの球場を作らなければならないだろう。そうなると建設費用はいくらかけるのだろうか? そしてそれを何年で回収するのだろうか? エスコンフィールドHOKKAIDOの移転成功で資金力がついたので、いくらでもかけられる、というのであれば要らない心配だが……。

球団が強くなるのであれば、寂しくはなるが2軍施設が鎌ケ谷市や関東を離れても仕方がない。しかし、もし移転するとなれば、そこに対するビジョンをしっかりファンに説明してほしい。プロ野球チーム、プロ野球選手は「野球をやってお金をもらっている」のではなく「野球をやっている姿を見てもらってお金をもらっている」のだから、関東、本州のファンの応援も大切にしてもらいたいと思う。


(Written by 大井川鉄朗)



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