江崎グリコは9月3日、都内で「Glico食と健康の科学セミナー」を開催した。「健康維持・増進における腸の働きと乳酸菌の可能性」と題して国立研究開発法人医薬基盤栄養研究所ヘルス・メディカル微生物研究センターの国澤純センター長を招き講演を行った。
第1部では腸内環境を良くすることで健康維持や増進に繋がることや、日々どのような食材を取り入れると良いかなどを発表した。また食べ物の消化や吸収をする上で大切な腸の蠕動(ぜんどう)運動を動画で解説し、蠕動運動は便秘予防になったり、多くの免疫細胞を強化する役割があることなどを説明した。
国澤純氏は「発酵性食物繊維を食べると短鎖脂肪酸を作ることができます。腸内細菌を活かすには、良い菌を作るビフィズス菌や乳酸菌や納豆菌と、良い菌を増やすオリゴ糖や食物繊維を一緒に摂取するとより効果的です」と話す。


腸内環境を整える食材は、ヨーグルトのほかにも納豆やこんにゃく、きのこ類やごぼう、キャベツなどが効果的だという。
研究センターでは、腸内細菌を調査する調査キットを開発しており、現在開催中の大阪万博でも紹介している。調査キットは、個人の腸内細菌を数日で調べることができる。「調査代金も以前は2万円ほどの費用がかかっていましたが、現在は数千円で調査が可能となったので、腸内細胞がきになる方はこのような調査キットを使って調べてみるのもいいと思います」(国澤純氏)

第2部では、グリコ商品技術開発研究所微生物機能活用グループの上杉泰介氏が「Glicoの研究と乳酸菌GCL1815の活用」について発表した。
GCL1815株は、同社が保有する菌株約1万株の中から見出した最有力の乳酸菌で、2024年12月に日本農芸化学会の英文誌のオンラインで公開された。


GCL1815乳酸菌は、2種類の樹状細胞を活性化し、異物を攻撃しslgA抗体を産生し、後方を支援する役目を果たす乳酸菌で、これらの活動によって粘膜免疫のバリアを強化する。2025年5月には、GCL1815乳酸菌を継続的に摂取することによって、風邪の自覚症状である倦怠感や疲労感、鼻づまりなどの発症日数が低減することがわかった。現在では、同社のロングセラー菓子「ビスコ」に投入している。


「ビスコにGCL1815株を活用した理由は、「つよさうみだす乳酸菌」のキャッチコピーでもある、子供の健康を守るという同社のブランドとマッチしていたために製品化しました。今後は様々な製品への活用に繋げていきたいと考えています。他の商品で活用する可能性もあるかもしれませんのでご期待ください」(上杉泰介氏)。


健康を維持し増進するには、良い乳酸菌を取り入れて腸内環境を整えることで、健やかな毎日を送ることができる。
国澤純センター長は「ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌も取り入れて、免疫を下げることなく上げ過ぎることもなくバランスの取れた免疫を作ることも重要です。どのようなヨーグルトが自分に合っているのかを知るためにも、スーパーなどのヨーグルトの特売品を狙って購入すると、毎週違う商品のヨーグルトの乳酸菌を取り入れることができるので、このような取り入れ方もおすすめです」と話した。





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