突然ですが、山羊の乳で作ったチーズを食べたことがありますか?なじみのあるプロセスチーズやカマンベールチーズ、モッツァレラチーズなどとは違いちょっとクセがあるのが山羊の乳のチーズです。かく言うわたしもそのクセが大好きなのですが、なんとギリシャから移住した女性が沖縄で山羊の乳のチーズを作っているというのです。
しかもなんと国際大会に出品して金賞を受賞したのだとか!これは見過ごせません。さっそく食べてみました!

【沖縄・奇跡の珈琲】普通に淹れた一杯から【ラムの甘い香りふわり】 何コレ!?豆を泡盛に漬けて焙煎した!?

パメラさんの「マリネードギリシャ風チーズ」を食べてみた!

10代の頃に父親のおつまみだったプロセスチーズをくすねて食べたのがわたしとチーズとの出会いだったと記憶していますが、当時は今のようにフレッシュチーズなんてものが食卓に上がるはずもなく、プロセスチーズがわたしにとってのチーズでした。

20代の初めに働いていたバーはしっかりフルコースも提供できる店で、大きなワインセラーの中にはいつもワインと一緒にチーズも結構な種類が入っていたものです。接客のためにはお客様に提供する飲み物や食べ物はしっかり説明する必要があり、そのため店にあったチーズは全種類試食することができました。今から思うと、かなりの役得です。

バーテンダーになる前のわたしは、生意気にも白ワインに生牡蠣が最高と言っていた若造でしたが、この試食の際にチーズと赤ワインのマリアージュに出会ってしまったことで考えが一変したのです。よく1+1が2以上になると言いますが、その相乗効果にはすごい衝撃を受けた記憶があります。そのときに食べたチーズのひとつが酸味のあるフランス産のシェーブルチーズで、それ以来わたしはクセの強い山羊乳のチーズのとりこになりました。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


表のラベルに書かれている「Little Island(小さな島)」は沖縄で作っているという想いからつけたもので、「tyri」はギリシャの伝統的なティリーというチーズの名称のようです。ギリシャのチーズと言えば有名なのはフェタチーズですが、ギリシャ内の限られた地域で育てられた山羊の乳でないとフェタチーズとは名乗れない決まりになっていますので、沖縄で作る以上はフェタチーズとは呼べないということかもしれません。

たまたま沖縄に遊びに行った友人から今回お土産にもらったこのチーズは、沖縄市のプラザハウスにある「チーズアニスタ」というチーズ・ヨーグルト工房で売られているものだそうです。プラザハウスは創業70年にもなるいわゆる昔のショッピングモールで、最近増えてきている大型のショッピングモールとは違った雰囲気を持つ場所とのことです。
アメリカ出身のパメラさんが当時住んでいたギリシャから2012年に沖縄に移住した際に「山羊がいっぱいいるからチーズやヨーグルトが作れるんじゃないか?」と思ったことがチーズ作りのきっかけだそうですが、確かにギリシャも海に面してますし、山羊が多いという点では沖縄と共通点が多いようにも思います。

沖縄に移住してから経営していたレストランでサラダに乗せていたギリシャ風チーズを、持ち帰りできるようにマリネにして瓶詰にしたのがこの山羊乳のチーズですが、最近は娘のピアさんと二人で全て手作りしているとのこと。原料の山羊乳も臭みの少ない嘉手納町の山口栄秀さんのファームのものしか使わないというこだわりです。ちなみに山口さんは薬やアロマオイルの原料にもなる月桃という植物の葉を山羊に与えているので、チーズが白くなるとのことです。月桃はショウガ科のハーブでスパイシーでさわやかな甘みのある香りがするので、きっとチーズの香りにも影響しているに違いありません。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


このラベルは「金賞 OKINAWA CITY INDUSTRY FESTIVAL AWARD」とありますので沖縄市産業まつりで金賞を受賞した際のものですが、2022年にロンドンで開催された地中海料理の審査会でも金賞を受賞しました。世界中からの1500以上の出品の中で沖縄の小さな工房で作っているチーズが金賞を受賞したのですから、これは大変な快挙と言っていいと思います。ちなみにこの金賞受賞のニュースは、沖縄のメディアやSNSにけっこう取り上げられています。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


瓶の裏を見ると、中身の情報がいっぱい書かれています。生山羊乳はもちろんですが、多分本場のギリシャ同様に食塩水の中で熟成させているのか食塩の記載がありますし、植物油の記載は多分オリーブオイルでしょうね。それ以外にドライトマト、ローズマリー、オレガノ、ガーリック、ブラックペッパーなどのハーブやスパイス類の記載がありますので、いい香りが期待できそうです。ということでフタを取って匂いを嗅いでみると、酸味のあるチーズの香りとハーブの香りがちゃんと感じられました。
これは味にも期待ですね。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


まずチーズだけで食べてみると、山羊乳チーズ特有の酸味はありますがハーブが効いていることもあり山羊臭さは全然と言っていいほどありません。チーズ自体は柔らかく、少し硬めのカッテージチーズのような食感です。普段食べている山羊乳チーズほどの分かりやすい臭みがないので、黙って出されたら分からないかもしれません。塩気もあり、そのままで充分においしいチーズです。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


チーズと言えばわたしはワインがないと始まらないので、いつも飲むテーブルワインを用意しました。さほど渋みの強くないチリ産のワインですが、チーズを一口かじってワインを飲むと口の中で混ざり合ってとてもおいしく感じられました。臭みがさほどなく塩気があるので、白ワインでもきっとおいしくいただけると思います。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


チーズを完全に包み込むようにオリーブオイルが入っていますので、食べていくと当然オリーブオイルが残ります。ちょっとオイルだけ舐めてみると、ハーブの香りが移っている上にチーズの風味もプラスされていて、このまま捨てるなんてもったいなくてできません。ということで、まずはシンプルにベビーリーフのサラダにドレッシングの代わりに少しかけて、せっかくなのでチーズも乗せてみました。チーズの塩気と旨味が柔らかいベビーリーフと相性がよく、しつこくないオイルがいい感じのバランスです。
少しだけ塩をパラパラと振りかけてみると、味がくっきりしてよりおいしくなりました。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


次はスモークサーモンにオイルを少しかけ、チーズも添えてみました。スモークサーモンはメーカーによって味に濃淡がありますが、チーズを少しだけ乗せてオイルをつけて食べると燻製の味の中にハーブの香りと味が混ざり合って、普段とは違ったおいしいスモークサーモンが味わえました。チーズ自体に酸味があるので、いつも添えているケッパーなしでも問題なしです。

快挙!【沖縄県産山羊のチーズ】が国際コンテストで金賞受賞!こだわりの「山羊乳チーズ」食べてみた♪


まだオイルが残っていましたので、鮭のムニエルも作ってみました。バターの代わりにオイルを使いましたので、バター特有の甘い香りではなくローズマリーなどの香りがします。食べてみると意外にさっぱりとしていて、身も柔らかくジューシーなムニエルにぴったりでした。瓶の底に残っていたドライトマトやブラックペッパーももったいないのでちょっと乗せて食べてみると、とても楽しい味変になりました。

開封後の牛乳を冷蔵庫に入れておくと、いつのまにか臭くなっていることがあります。これは牛乳が持つ匂いを吸収する性質のせいですが、山羊の乳は牛乳よりも臭いを吸収する性質が強く、牛乳で作ったチーズよりも臭く感じられてしまうのはこのためです。ということは匂いを吸収しないようにすれば臭みは抑えられるということですので、例えばエサににんにくのような匂いの強いものは入れないとか、青臭い牧草ではなくて干し草にするとか、畜舎をきれいに掃除するといった方法などが取られています。もちろんこの臭み自体が山羊乳チーズの特徴で、ファンが多い理由でもありますが、パメラさんが目指しているのは、万人が食べられる山羊乳チーズとのことですので、山羊が多く畜産されている中で、山口さんの山羊乳を探し出せたことは奇跡なのかもしれません。


パメラさんのお店は週休2日ですが、それ以外にも友人たちとのパーティーでよく臨時休業になるそうです。いつか沖縄に行ったら、パメラさんのお店でワインを飲みながら他のチーズやギリシャ料理も食べてみたいものですが、運よく開いていることを祈るだけです。

お取り寄せもできますし、山羊乳以外のチーズもありますので、ぜひ食べてみてください!
編集部おすすめ