ネットで見かけておもしろかった記号クイズを、みなさんにも。アメリカのチョコレートブランド「M&Ms」。
同じくアメリカのヘルスケアカンパニー「Johnson & Johnson」。そして、ミュージシャンがよく口にする「LOVE&PEACE」などに使われている「&」。これ、「アンド」と読んで、並立を表す「~と」という意味で使われますが、実は正式名称は「アンド」じゃないらしいんです!ご存じでしたか?

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「アンド」じゃないなら何と呼ぶ!?

「よく見る記号クイズ」の時間です♪

【問題】
「&」の正式な名称はなんでしょう?

thinking time♪





正解は…

「ampersand(アンパサンド)」でした。

はっ?(笑)

「&」が「ampersand」って、なんでやねん?(笑)

これまでわたしは、「&」は「and」の省略形で、同じように「アンド」と読むものだと勝手に思い込んでいたので、ampersand(アンパサンド)は、ぜんぜんついていけない…。

「&」が「ampersand」…なんで?なんで?なんで?

わたしの頭の中で、なんで?が止まらないので、「&」について調べてみることにしました。

「&」について調べてみた!

【よく見る記号クイズ】え、&の正式な名称は「アンド(and)」じゃないの?では何!?もっと長い英単語でした

画像出典:photoAC

『実用日本語表現辞典(Weblio 辞書・百科事典)』には、こう書いてありました。

「&」とは、「and」を意味する記号で、正式には「ampersand(アンパサンド)」と読むと。

さらに調べると、『IT用語辞典 e-Words』には

欧文(ヨーロッパ諸国で使われる言語による文章)で用いられる特殊な記号のひとつで、「~と」という要素の並立を表すもの。英語では”and”の代替として、他の欧語でも「~と」を表す接続詞(ドイツ語の”und”など)の代替として用いられる

とも。

「&」は「記号」なんですね。確かにスマホの記号欄には、「?」「!」「#」などと一緒に並んでいます。

そして、英語圏だけでなく、他のヨーロッパ諸国の言語でも使われているというのも、ちょっと気になるなぁ。


そこで、「&」の起源について調べてみると、こんなことがわかりました。

「&」はなんと、古代ローマ時代(1世紀頃)のラテン語が、起源なんだそうですよ!

「&」の起源は古代ローマ!?

「&」の始まりが古代ローマまで遡るなんて、ちょっとびっくり。1世紀頃っていうと、今から2000年くらい前ですよね。

なんでも古代ローマの書記官は、文字を書く速度を上げるために、複数の文字を組み合わせて1文字にした「合字」を生み出したとか。「&」も、この流れの中で誕生した合字が、由来になっているそうです。

「&」のもとになったのは、ラテン語で「and」を意味する「et」という言葉。

てっきり、「and」を簡素化するなどして「&」にしたのかと思ったら、「e」と「t」を合わせた形だったんですね。

ですが、古代ローマ時代は、今のような丸みを帯びた「&」ではなく、それとは似ても似つかない、直線を組み合わせたような形をしていたようです(ちょっと「斤」という漢字に似ているような…?)。版権の関係で掲載できませんが、興味のある方は調べてみてください。

これが長い年月を経て、徐々に丸みを帯びた形に変化していったそう。

現代の形に似ている形になったのは、9世紀頃。フランク国王のカール大帝の時代に生まれた「カロリング小文字体」の「&」のようです。


ちなみに9世紀というと、日本では平安時代。漢字を簡略化した日本独自の「かな文字」が使われ始め、征夷大将軍の坂上田村麻呂が東北地方で蝦夷と戦っていたころですね。余談ですけど。

どうやら、「&」は、古代ローマのラテン語の合字を起源とするため、ローマ帝国の拡大とともにヨーロッパに広がり、英語に限らず、欧州諸語で使われるようになったってことみたいですね。

さて、「&」の起源はわかりましたが、なぜ、「&」を「ampersand(アンパサンド)」と呼ぶのでしょう。

なぜ「&」の正式名称がampersand(アンパサンド)?

【よく見る記号クイズ】え、&の正式な名称は「アンド(and)」じゃないの?では何!?もっと長い英単語でした

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調べてみると、ラテン語まじりの英語「& per se and」を短縮したもの…と説明されていました。

…意味がわかりませんよね(笑)。

ここから、けっこう説明が長くなりますが、もしよろしかったらお付き合いください。

その昔(1700年代初期まで)、イングランドの学校では、「I(わたし)」など”一字”で意味を成す文字を読むとき、「per se(それ自体)」というフレーズを付けていたそうです。

例えば、「I invite you」という文を書く際、子どもたちは「”Per se” i、i、n、v、i、t、e」と発声しながら文字を書きます。

”Per se”を付けることで、最初に発声した「i」は「invite」という単語の一部ではなく、単体で意味を成す「I」であると区別できるわけです。

また、これと同時に、「&」は、アルファベットの「Z」の次の”27番目の文字”として教えられていたそう。


そして、アルファベットを復唱する際、「X、Y、Z 、& per se and」と、Zの後に、「& per se and(&という文字はandを表す)」というフレーズを付けていて、それが、短縮されて「ampersand」となったそうです。

「ampersand」は、「”&”という記号(文字)は”and”という意味だよ」と説明するフレーズが、元になっているってことですね。

おもしろいなぁ。

それに、「&」が、アルファベットの27番目の”文字”として教えられていたことも初耳でした。

現代では記号に分類される「&」ですが、ラテン語の「et」という言葉が元になっているため、記号の中でもちょっと”特別”なんでしょうかね?

ということで、今回は、「&」の正式名称やその歴史について調べてみました。

その始まりは、はるか昔の古代ローマであり、また、かつては、アルファベットの”27番目の文字”として教えられていたなど、興味深いことばかりでした。

一番驚いたのは、正式名称がampersand(アンパサンド)ということですけどね(笑)。

ちなみに、”特別”な記号だけあって、欧文には「&」の使い方のルールがあるそうで、「文章、見出し、タイトルでは、アンパサンドをandの代わりとして使わない」とされているそうです。会社名などの固有名詞や、小説、歌、アルバムなどの創作物の題名などに使えますが、アンパサンドの前後にスペースを入れる場合と入れない場合があったりと、なんだか細かく決められているみたいですよ。

あっ、「M&Ms」は&の前後にスペースが入ってないけど、「Johnson & Johnson」はスペース入り。これも欧文ルールに基づいているってこと??どうなんでしょう?

いつも何気なく使っている「&」ですが、奥が深いですね~。

<参考文献>
WEB

『IT用語辞典e-Words~アンパサンド 【&】 ampersand / アンドマーク~』
https://e-words.jp/w/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89.html

『Cherish~『&(アンパサンド)』の書き方は?使い方や歴史も解説!~』
https://cherish-media.jp/posts/7242

『Gigazine~知られざる「&」の歴史、幻の27番目のアルファベットだった~』
https://gigazine.net/news/20171025-history-of-ampersand/

『Spec Aid~アンパサンド:アンド記号「&」を使うべきか、スペルアウトすべきか』
https://specaid.net/misc/when-to-use-ampersand.html

『typeFORUM』 
https://web.archive.org/web/20140703031633/http://www.typeforum.de/modules.php?op=modload&name=News&file=article&sid=41&mode=&order=0

『世界史の窓~カロリング小字体~』
https://www.y-history.net
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