おいしいレストランのまかないは間違いなくおいしいと信じて疑いませんが、まさか家庭で使うような”冷凍のシーフードミックス”をフレンチレストランCIRPASのシェフGeorgeさんが使うとは夢にも思いませんでした!YouTubeで紹介しているそのレシピは「超簡単まかないピラフ」。いつもの軽快な語り口での説明を聞きながら、さっそく作ってみました!

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YouTubeチャンネル『Georgeジョージ』でおいしそうなレシピを投稿しているのは、日本のミシュラン2つ星レストランの元シェフで、現在は東京・白金台でフレンチレストランCIRPASのシェフをしている吉田能さん。

YouTubeの概要欄を見てみると、フランス料理で培った技術をもとに、家庭でも簡単に再現できる料理から、プロ目線の本格的な料理まで幅広く投稿しているんですって。チャンネル登録者数は124万人です。

Georgeさんの「超簡単まかないピラフ」の材料と作り方

まず、炊き込みご飯を作ります。

【材料】※2人分
米…1合
チキンブイヨン…230ml(固形のブイヨンの素を水で溶いたもの)
バター(有塩)…5g
しょうゆ…小さじ1/2

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


【作り方】※調理時間:約50分
1. 炊飯器に洗った米、チキンブイヨン、バター、しょうゆを入れて炊きます。

続いて、まかないピラフを作ります。

【材料】※2人分 
冷凍シーフードミックス…1袋(270g目安)
玉ねぎ…1/4個
にんじん…1/4本
にんにく…2かけ
白ワイン…20ml
バター(有塩)…10g
いしり(魚醤)…小さじ1/2~1(お好みで)
パセリ(生)…適量
塩…適量
黒こしょう…適量
オリーブオイル…適量

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


冷凍シーフードミックスは解凍して、ペーパータオルで水気を取っておきます。
玉ねぎ、にんじん、にんにくはみじん切りにしておきます。
パセリは粗みじん切りにしておきます。

【作り方】※調理時間:15分
1. フライパンを強火にかけてオリーブオイルを引き、塩を振ったシーフードミックスを加えて、動かさずに炒めます。

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


2. 焼き色がついたらワインを加えて全体を混ぜて炒め、バットにあけておきます。

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


3. そのままのフライパンに、バター、にんにく、にんじん、玉ねぎを加えて塩を振り、弱火から中火で炒めます。

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


4. 2のシーフードミックスを戻します。


【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


5. あらかじめ作っておいた炊き込みご飯を加えて炒めます。

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


6. フライパンの端でいしりを煮詰めて、全体と合わせます。

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


7. パセリ、塩、黒こしょうを振って混ぜます。

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


8. 器に盛りつけて出来上がりです。

【2つ星店元シェフのまかない】え、冷凍シーフードで!?「超簡単まかないピラフの作り方」だと!?試してみた


バターが焼ける香りと白ワインが蒸発する香りが漂って、そこに炊き込んだご飯のいい香りがしてきただけでおいしい料理が出来上がる確信がわいてきました。さらにジュッと炒めて凝縮したいしりの香りがしてくると、浜焼き屋で焼きおにぎりを焼いているような錯覚を覚えました。

焼き立てをすぐに食べてみると、バターとしょうゆとブイヨンというおいしさ間違いなしの組み合わせのご飯と、冷凍なのにしっかりとイカやエビの味が感じられるシーフードミックス、そこに深みを加えているいしりの風味と味でとてもおいしいピラフでした。簡単に作ることができるから「まかないピラフ」と呼んでいるのだと思いますが、これはまかないと呼んでいいレベルではないです。しかも最後に加える生パセリが噛んだ途端に味がはじけて、乾燥パセリには出せない風味がたまりません。

いしりは石川県の奥能登で作られる魚醤の呼び名で、いしるとも呼ばれています。秋田のしょっつる、香川のいかなご醤油と共に日本三大魚醤として知られていますが、ナンプラーやヌクマム同様に独特の匂いがあるため好き嫌いの分かれる調味料です。魚醤は魚介やその内臓を塩漬けにして発酵させてできた液体を抽出するという製法は共通していますが、原料の魚介などが違うことで風味の違ったものが出来上がります。
地元では普通のしょうゆ同様に使われていますが、これだけクセがあると他県の人が普段使いするのはさすがに難しいだろうと思います。塩辛やこのわた、酒盗やうるか、あん肝やフグの卵巣など魚介の内臓は、案外と珍味として有名ですし受け入れられています。本来なら捨てられてしまう部位を食べる文化は世界中にけっこうありますが、これほどSDGsなアレンジ?がうまいところはさすが日本だなとも思います。

今では当たり前になった冷凍食品ですが、初めてスーパーで冷凍のシーフードミックスを見たときは驚きました。シーフードと言うものの中身はたいていエビ、イカ、アサリで構成されていて、それ以前は別々に買う必要がありました。しかも足が早いので使い切る必要がありますし、単体でこの3つを買うとけっこうな価格になるのでなかなか手が出せなかったのですが、必要な量だけ使える上に、ひとつ買えばいいという簡便さは圧倒的に家庭向きな商品だと思います。これも一般家庭に冷凍庫付きの冷蔵庫が普及したからですが、本当に便利な世の中になったと思います。冷凍を使うと匂いが気になるという話もよく聞きますが、このレシピのように解凍してから水気を拭き取ることで解消できますのでぜひ試してみてください。ちなみに本来のピラフは炒めたご飯を炊き込む料理ですので、冷凍ピラフのように炒めて出来上がりというのは本当はピラフとは言いません。でも今や冷凍ピラフの方が一般的なピラフなのかもしれませんね。

いしりの香りがとてもいいピラフができますので、ぜひ作ってみてください!
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