鉄道に乗ったときの楽しみのひとつが駅弁ですが、JR東海道線の静岡駅の駅弁として昔から人気なのが東海軒さんの「元祖鯛めし」です。甘い鯛のでんぶが敷き詰められた見た目にとてもシンプルな駅弁ですが、それ故に鯛の味わいがストレートで至極ウマいのです。
静岡おでんの名店「おがわ」の味を再現!?『静岡おでん おがわ監修 静岡おでんの素』でおでん作ってみた
東海軒の名物駅弁「元祖鯛めし」の誕生秘話
リニアモーターカーによってますます移動時間短縮になっていこうとしているこの頃ですが、ゆっくり車窓を楽しんだり心地よい揺れを楽しんだりするのも電車旅の楽しみです。そんな電車旅のお供に欠かせないのが、駅弁です。今では大型デパートの催事場で「駅弁フェア」が行われて、日本中のけっこうな種類の駅弁を買うことができるようになりましたが、かつては実際に販売されている駅でしか買うことができませんでした。そのため、旅の楽しみやお土産としても喜ばれていたのが駅弁です。どの駅弁が日本最初の駅弁なのかには諸説あり未だにはっきりしていませんが、いずれにせよ19世紀後半だと言われています。
静岡駅が開業したのは1889年(明治22年)のことで、東海道本線の国府津駅―静岡駅間の開通と同時でした。実は、最初に「鯛めし」を製造・販売した東海軒の創業も同じ年。当時清水港を取り仕切っていた静岡では知らない人はいない清水の次郎長親分がやってきて、「鉄道工事が始まってお役人が大勢来るから食事の世話や材料の面倒をみてくれ」と頼まれたそうです。その功績が認められて駅構内での営業が許可されたのだとか。人が乗り降りする構内で営業できるというのは特別なことでしたので、周囲からはとても羨ましがられたようです。
創業から3年後の1892年、静岡大火が発生して東海軒の前身である加藤弁当店も焼けてしまい、このとき、火事のお見舞いに漁師さんから沖合で獲れる名物の甘鯛をもらいました。甘鯛は今でも高級魚ですが煮崩れしやすくて商品になりにくいので、煮崩れた甘鯛を家族で食べるためにご飯にかけました。するとその甘い味付けと舌触りが子ども受けし、ちょうど子ども向けの駅弁を考えていたタイミングでしたので商品化に取り組んだ結果、1897年に誕生したのが「元祖鯛めし」です。東海軒さんも、もし静岡大火がなかったら元祖鯛めしは生まれていなかったかもしれないと言っているそうです。
東海軒の「混ぜご飯の素」を使って「元祖鯛めし」作ってみた!
【材料】※小さいおにぎり1個分
ご飯…約80g
混ぜご飯の素…約5g
袋を開けて混ぜご飯の素をよく見ると、薄い茶色の顆粒とちょっと白っぽい欠片のようなものが見えます。顆粒をつまんで口に入れてみると、すぐに舌の上で溶けて甘い味が広がりました。原材料名の中に「粉末醤油、真鯛エキス粉末」とありますので、おそらくこれが味の要なのかと思います。白っぽい欠片もつまんでみるとこちらはサクッとスナック菓子のような食感で、「鯛?」と思いきや原材料名には「大豆蛋白、魚介エキス粉末」とありました。おそらくこれが、煮崩れた甘鯛の身を模したものなのだと思います。
【作り方】※調理時間:2分
1. お茶碗にご飯を盛り、混ぜご飯の素をかけてよく混ぜます。
2. ラップに乗せてくるんで成形し、器に乗せて出来上がりです。
80gなんて少量のご飯を量ったのはおそらく初めてのことですが、おにぎりにしてみてあまりの小ささに思わず「小っちゃっ!」と声が漏れてしまいました。パッケージの裏には「お茶碗にご飯を軽く一杯分(約80g)用意し、本品を大さじ一杯(約5g)混ぜます。1袋でおむすびが約6個作れます。」と記載されていましたが、この比率だと1袋で普通のご飯茶碗なら約3杯、ざっくりですが1.5合の鯛めしおにぎりができる計算です。
ラップを広げてご飯と混ぜご飯のもとがよく混ざるようにしながら握ると、ご飯の水分を吸った混ぜご飯のもとが次第にしっとりしてきてコンビニのおにぎりよりも小さなおにぎりが出来ました。確かに、子どもが食べるのにいい大きさかもしれません。食べてみると、間違いなく甘いおにぎりでした。子ども向けの駅弁だと知らずに食べたら、きっと「何でこんなに甘いんだろう?」と疑問に思うのは間違いありません。
わたしも子どもの頃は鉄道好きでしたが、さすがに鉄ちゃんではありませんでしたので、駅弁と言うと峠の釜めしやだるま弁当という認識しかありませんでした。大人になると駅弁よりもビールと肴の方に関心が移ってしまい駅弁を食べる機会もぐっと減ってしまいましたが、今回はちょっとそれっぽい容器も手に入りましたので、おにぎりと別にご飯に混ぜて駅弁っぽく盛り付けてみました。
東海軒さんの元祖鯛めしは、桜飯、鯛そぼろ、たくあん漬けというシンプルな3つの素材で出来上がっています。桜飯というのは関東では茶飯と呼ばれるしょうゆ味の炊き込みご飯のことで、それが弁当箱に一面敷き詰められ、その上に鯛そぼろが同じく一面敷き詰められています。そのため、フタを開けると一面明るい茶色が目に飛び込んできます。
駅弁と言うと開けた途端にたくさんの具が目に入ってきて驚くものが多くもちろんそれを狙って作られているのですが、この元祖鯛めしのように素朴ないかにも明治時代に作られた駅弁を見ると、ほっとするような安心感さえ覚えます。きっとこの駅弁を膝に乗せて食べている子どもの前にはお父さんが座っていて、横にはお母さんが座っているんだろうなあ…なんて想像してしまいました。
大人には若干甘く感じますが東海軒さんの元祖鯛めしが手軽に味わえますので、ぜひ試してみてください!
実は最近、その味が自宅でも味わえるようにと「混ぜご飯の素」が発売されたという情報をキャッチ!これは試さずにはいられません。さっそく入手してみました。
静岡おでんの名店「おがわ」の味を再現!?『静岡おでん おがわ監修 静岡おでんの素』でおでん作ってみた
東海軒の名物駅弁「元祖鯛めし」の誕生秘話
リニアモーターカーによってますます移動時間短縮になっていこうとしているこの頃ですが、ゆっくり車窓を楽しんだり心地よい揺れを楽しんだりするのも電車旅の楽しみです。そんな電車旅のお供に欠かせないのが、駅弁です。今では大型デパートの催事場で「駅弁フェア」が行われて、日本中のけっこうな種類の駅弁を買うことができるようになりましたが、かつては実際に販売されている駅でしか買うことができませんでした。そのため、旅の楽しみやお土産としても喜ばれていたのが駅弁です。どの駅弁が日本最初の駅弁なのかには諸説あり未だにはっきりしていませんが、いずれにせよ19世紀後半だと言われています。
静岡駅が開業したのは1889年(明治22年)のことで、東海道本線の国府津駅―静岡駅間の開通と同時でした。実は、最初に「鯛めし」を製造・販売した東海軒の創業も同じ年。当時清水港を取り仕切っていた静岡では知らない人はいない清水の次郎長親分がやってきて、「鉄道工事が始まってお役人が大勢来るから食事の世話や材料の面倒をみてくれ」と頼まれたそうです。その功績が認められて駅構内での営業が許可されたのだとか。人が乗り降りする構内で営業できるというのは特別なことでしたので、周囲からはとても羨ましがられたようです。
ちなみに創業のわずか4年後に清水の次郎長親分は風邪をこじらせて73歳で亡くなっていますので、東海軒とはなんとなく運命的なものを感じます。
創業から3年後の1892年、静岡大火が発生して東海軒の前身である加藤弁当店も焼けてしまい、このとき、火事のお見舞いに漁師さんから沖合で獲れる名物の甘鯛をもらいました。甘鯛は今でも高級魚ですが煮崩れしやすくて商品になりにくいので、煮崩れた甘鯛を家族で食べるためにご飯にかけました。するとその甘い味付けと舌触りが子ども受けし、ちょうど子ども向けの駅弁を考えていたタイミングでしたので商品化に取り組んだ結果、1897年に誕生したのが「元祖鯛めし」です。東海軒さんも、もし静岡大火がなかったら元祖鯛めしは生まれていなかったかもしれないと言っているそうです。
東海軒の「混ぜご飯の素」を使って「元祖鯛めし」作ってみた!

【材料】※小さいおにぎり1個分
ご飯…約80g
混ぜご飯の素…約5g
袋を開けて混ぜご飯の素をよく見ると、薄い茶色の顆粒とちょっと白っぽい欠片のようなものが見えます。顆粒をつまんで口に入れてみると、すぐに舌の上で溶けて甘い味が広がりました。原材料名の中に「粉末醤油、真鯛エキス粉末」とありますので、おそらくこれが味の要なのかと思います。白っぽい欠片もつまんでみるとこちらはサクッとスナック菓子のような食感で、「鯛?」と思いきや原材料名には「大豆蛋白、魚介エキス粉末」とありました。おそらくこれが、煮崩れた甘鯛の身を模したものなのだと思います。

【作り方】※調理時間:2分
1. お茶碗にご飯を盛り、混ぜご飯の素をかけてよく混ぜます。

2. ラップに乗せてくるんで成形し、器に乗せて出来上がりです。

80gなんて少量のご飯を量ったのはおそらく初めてのことですが、おにぎりにしてみてあまりの小ささに思わず「小っちゃっ!」と声が漏れてしまいました。パッケージの裏には「お茶碗にご飯を軽く一杯分(約80g)用意し、本品を大さじ一杯(約5g)混ぜます。1袋でおむすびが約6個作れます。」と記載されていましたが、この比率だと1袋で普通のご飯茶碗なら約3杯、ざっくりですが1.5合の鯛めしおにぎりができる計算です。

ラップを広げてご飯と混ぜご飯のもとがよく混ざるようにしながら握ると、ご飯の水分を吸った混ぜご飯のもとが次第にしっとりしてきてコンビニのおにぎりよりも小さなおにぎりが出来ました。確かに、子どもが食べるのにいい大きさかもしれません。食べてみると、間違いなく甘いおにぎりでした。子ども向けの駅弁だと知らずに食べたら、きっと「何でこんなに甘いんだろう?」と疑問に思うのは間違いありません。
わたしも子どもの頃は鉄道好きでしたが、さすがに鉄ちゃんではありませんでしたので、駅弁と言うと峠の釜めしやだるま弁当という認識しかありませんでした。大人になると駅弁よりもビールと肴の方に関心が移ってしまい駅弁を食べる機会もぐっと減ってしまいましたが、今回はちょっとそれっぽい容器も手に入りましたので、おにぎりと別にご飯に混ぜて駅弁っぽく盛り付けてみました。

東海軒さんの元祖鯛めしは、桜飯、鯛そぼろ、たくあん漬けというシンプルな3つの素材で出来上がっています。桜飯というのは関東では茶飯と呼ばれるしょうゆ味の炊き込みご飯のことで、それが弁当箱に一面敷き詰められ、その上に鯛そぼろが同じく一面敷き詰められています。そのため、フタを開けると一面明るい茶色が目に飛び込んできます。
そして弁当箱の端に数枚のたくあん漬けが、甘い弁当の箸休めとして添えられています。
駅弁と言うと開けた途端にたくさんの具が目に入ってきて驚くものが多くもちろんそれを狙って作られているのですが、この元祖鯛めしのように素朴ないかにも明治時代に作られた駅弁を見ると、ほっとするような安心感さえ覚えます。きっとこの駅弁を膝に乗せて食べている子どもの前にはお父さんが座っていて、横にはお母さんが座っているんだろうなあ…なんて想像してしまいました。
大人には若干甘く感じますが東海軒さんの元祖鯛めしが手軽に味わえますので、ぜひ試してみてください!
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