管理栄養士のともゆみです。しじみのみそ汁ってどうしてこんなにおいしいの、と毎回思うほど好きなのですが、たまにジャリッと砂を噛んでしまうことも。
もっと確実に砂抜きできないのかなと思っていたら、ニチレイフーズのホームページ内にあるサイト『ほほえみごはん』で漁師さん直伝のしじみの砂抜き方法を紹介しているのを発見しました。その方法で砂抜きをしてみそ汁を作ってみることに。

【生姜の保存】もうカピカピしない!水に浸けっぱなしで冷蔵なら1か月も鮮度とおいしさがキープできた!

冷凍食品でおなじみの「ニチレイフーズ」のホームページ内に『ほほえみごはん』という食サイトがあります。あらゆる食材の下ごしらえや料理を紹介していて、普段から参考にしています。その中から今回はしじみの砂抜きについて学びたいと思います。どうやら、確実に砂を抜くには、時間をかけることがポイントのようです。

しじみの砂抜きのポイント

確実に砂を抜くためにはポイントが2つあります。

1. 塩水をたっぷり使う。

2. 3~5時間かけてゆっくり砂抜きする。

確かに今まで砂抜きの時間、そんなに長くかけていませんでした。せいぜい30分くらい。ゆっくりと時間をかけて砂抜きをするのがポイントなんですね。


さらに、砂抜きをしたあと、水から出して3時間程度放置すると旨味がアップするそうです。つまり、食べる6時間ほど前に砂抜きを始めるのがいいんですって。

「しじみの砂抜き」のやり方

【準備するもの】
しじみ…適量
バット
バットに入る大きさのザル

塩(水1Lあたり塩3gを入れ、0.3%の塩水を作る)

※今回は100円均一で購入したザル付きバットを使用しましたが、ボウルとザルなどでも可

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


【砂抜き方法】
1. バットの中にザルを置き、しじみが重ならないように並べます。しじみ同士が重なると、上のしじみが吐き出した砂を下のしじみが吸ってしまいます。口をあけたまま触っても殻を閉じないものや、腐ったような匂いがするものは取り除きます。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


2. 塩水を作ります。水1Lに対し塩3gを入れてよく混ぜます。しじみがしっかり浸るように1に塩水をたっぷり入れます。たっぷり水があると、吐いた砂がとどまらず下に落ちやすくなります。ザルを使ってバットの底からしじみを離すと、吐き出した砂や分泌液を再び吸い込むことを防げます。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


3. 常温で3~5時間置きます。夏は3~4時間、冬は4~5時間が目安です。
夏で室温が高いときは冷蔵庫に入れます。振動で口を閉じることがあるので揺らさないように気をつけます。しじみが吐く水で周囲が濡れることがあるので、ザルや新聞紙などをかぶせます。今回は小さなまな板をのせました。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


4時間経過し、砂抜き完了です。バットの底にけっこう砂が溜まっていますね。すぐに食べる場合は、しじみをよく洗って調理に入りますが、時間があって旨味を増やしてから食べたい場合は、次の工程も行います。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


4. バットの塩水と砂を捨て、再度ザルとしじみをセットします。しじみがバットの底につかない状態で、濡れ布巾をかぶせてしじみが乾かないようにして3時間程度おきます。そうすることで旨味が増します。夏場は冷蔵庫に入れます。3時間程度おいたら、そのまま調理に使えます。


【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


水から出しておくと旨味がアップする理由
しじみ、はまぐり、あさりなどの二枚貝は、水がない環境では体内のグリコーゲンを燃焼させてエネルギーを得ますが、このときに旨味成分(コハク酸など)を多く生み出します。この代謝により、数時間空中放置している間に旨味が増えるといわれています。

しじみの冷凍保存

砂抜きしたしじみはそのままおくと弱ってしまうので、すぐに食べない場合は冷凍保存します。しじみを冷凍するとグルタミン酸、アラニン、オルニチンなどの旨味成分がさらに増加するそうです。

【冷凍/解凍方法】
1回使用分ずつジッパー付き保存袋に洗ったしじみを入れ、袋の口を閉じて金属製のバットの上で冷凍します。冷凍庫で3か月程度保存可能です。使用するときは解凍せず、必ず凍ったまま料理に加えて加熱します。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


プロの味「しじみのみそ汁」を作ってみた!

しじみから旨味が出るので、だしは使いません。また、酒を入れることで身がふっくらします。

【材料】(2人分)
しじみ…200g(砂抜き済み)
水…300ml
酒…大さじ2~3
みそ…大さじ1と1/3

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


【作り方】
1. 鍋に洗ったしじみと水、酒を入れ、中火にかけます。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


2. 沸騰したらすぐ弱火にし、アクをとります。
※火にかけてしばらくするとしじみが開き、水が白く濁りはじめます。
これはしじみの旨味成分が出たものなので、問題ありません。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


3. 貝が開き1~2分したらみそを溶き入れ、火を止めます。お椀によそい出来上がりです。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


食べてみると…感動レベル!

やっと食べられます。いただきます。わぁ、おいしい。しじみのだしの旨味が普段作っているものより明らかに濃いです。身も大きくふっくらとしています。いつものスーパーで買っただけなんですけど、まるで別物のようです。これは時間をかけたかいがありますね。「なんておいしいんだろう」って思います。もう感動レベルです。
もちろんジャリッもありません。

しじみについて調べていたら、しじみ粥という料理を見つけ、これはぜひ作ってみたい!ということで材料、分量などは自分で決めて作っていきます。

「しじみ粥」を作ってみた!

【材料】(2人分)
米…1合
水…1.2L
しじみ…150g(砂抜き済み)
かぶの葉…適量  
白だし…10g
塩…適量

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


【作り方】
1. 鍋にしじみとひたひたの水を入れて沸騰させ、弱火にして5~10分程度煮ます。しじみと煮汁を別々にしておきます。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


2. お米を洗い、内釜に米、1のしじみの煮汁、塩、1cm角に切ったかぶの葉の半分を入れて、残りの水を入れておかゆモードで炊飯します。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


4. おかゆが炊きあがったら、1のしじみ、かぶの葉の残り、白だしを混ぜ、5分ほど蒸らします。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


5. 器によそって完成です。

【漁師が教える“しじみの砂抜き”完全版】夏が旬です!実は旨味がアップする冷凍保存術も試してみた
null


やさしい味わい

しじみのだしで炊いたお粥、これは間違いないでしょう。お粥にしじみのだしが染み込んでおいしいです。ただ、水が多い割にしじみが少なかったのか、みそ汁のような濃厚なだしにはなりませんでした。もう少ししじみを増やした方がよかったかなと思います。体によさそうなやさしい味わいになりましたね。


しじみの成分

しじみに含まれるタウリンやオルニチンは、胆汁の分泌を促して肝臓での解毒機能をアップさせます。アルコールの分解を助け、二日酔い防止も期待できます。血液のもととなる鉄も多く含んでいるので、貧血対策にも。じゃがいもなどのビタミンCを多く含む食品と合わせると鉄の吸収が高まります。しじみの旨味のもとはコハク酸という成分。貝類では最も多く含むため、豊富な旨味を堪能できます。

6時間かけて下ごしらえをしたしじみのみそ汁は感動するほどおいしかったです。時間がある時は出来る限りこのやり方で作りたいと思いました。ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。

参考文献:
最新改訂版 知っておきたい栄養学 監修 白鳥早奈英 学研プラス
かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学 監修 新出真理 ナツメ社
編集部おすすめ