以前、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』で紹介していた、訪日外国人の疑問。なぜ、焼きそば入りのお好み焼きを「モダン焼き」というのか?英語でmodernは「現代的な」という意味ですが、外国の方からすると、モダン焼きのどのあたりがmodernなのか、疑問に思うそうです。
【鉄道クイズ】日本の鉄道には「ライオンの糞を撒いてある路線」がある!え、ライオンの糞!?それはナゼ?
「モダン焼き」の”モダン”とはナニ?
本日は、日本にやってきた外国の方が抱く、粉もんの疑問、なぜ、焼きそば入りのお好み焼きを”モダン焼き”というのか?について、深堀りいたします!
画像出典:photoAC
番組では、”モダン”の秘密について、1946年(昭和21年)に大阪市玉出に創業したお好み焼きの老舗「ぼてぢゅう」の北浦晋也部長が教えてくれました。実は、この「ぼてぢゅう」が「モダン焼き」発祥のお店らしいです。諸説あるそうですけどね。
北浦部長によると、「モダン焼き」は、戦後の高度経済成長期、「従業員たちをお腹いっぱいにしてあげたい」とのぼてぢゅう創業者の思いが詰まった”まかないメシ”が、原点になっているそうです。
どんな”まかないメシ”かと言うと、当時、貴重だった卵や輸入品のメリケン粉といったお好み焼きの材料に、焼きそばと、その日に余った肉や魚介、野菜などを入れた”もりだくさんなお好み焼き”だったそうです。
そうなんです!モダン焼きのモダンは、”modern”ではなく、”もりだくさんなお好み焼き”を略した”モダン”だったのです。
まかないメシだった”もりだくさんなお好み焼き”が、なじみ客用の裏メニューに。それが、いつしか「もだん焼き」という名称でメニューに加わりました。
そして、宝塚のタカラジェンヌたちがわざわざ食べに来るほど、「もだん焼き」は人気メニューに。そのタカラジェンヌたちは当時、時代を先取りする”モダンガール”の象徴だったことから、「もだん焼き」が、カタカナの「モダン焼き」になったそうです。
もともと、”もりだくさん”の意味だった「もだん焼き」でしたが、偶然にも同音異義語だった、モダンガールの”モダン=現代的”の意味が、後からプラスされたんですね。おもしろっ。
モダン焼きのモダンには、”もりだくさん”と”モダンガール”、この2つの言葉の意味が含まれているというわけです。
…とここまでは、「ぼてぢゅう」のモダン焼きのお話。
”諸説ある”と但し書きがあるように、調べたところ、「モダン焼き発祥の店」と言われるお店が、「ぼてぢゅう」のほかにもありました。
それは、神戸市長田区にある「お好み焼き 志ば多」。大阪ではなく兵庫県です。
いい雰囲気の店構え。
画像出典:新長田本町筋商店街HP
「志ば多」は1947年(昭和22年)に創業し、創業当初から「モダン焼き」を提供しているそうです。
考案したのは、初代女将。当時は、焼きそばの麺ではなく、”うどん”を使用していたそうです。
この”うどん入りモダン焼き”が誕生したきっかけについては、お客さんからのリクエストだったのか、偶然だったのかはわからないそうです。「モダン焼き」という名前の由来も、不明とのこと。残念。
創業から80年近く経っているので、当時のことを知る人はいないのかもしれませんね。
1946年に大阪で創業した「ぼてぢゅう」と、1947年に神戸で創業した「お好み焼き 志ば多」。どちらが発祥の店かという議論は、まぁ、ナンセンスかな(笑)。
当時は、現代のような情報社会でもないし、戦後の貧しい時代に作ることが出来るものって限られていただろうし。お腹を満たすために、お好み焼きと麺を組み合わせるのも自然なアイデアだったはず。なので、個人的には、どちらも発祥の店でいいのかなと思います。
ここで、ひとつ余談ですが、モダン焼き発祥の店については、こんな情報も発見。
2018年の「日本うどん学会第16回全国大会」で発表された「神戸風モダン焼きからみたモダン焼きとご当地お好み焼きの分化」というタイトルの研究レポートに、『神戸市長田区にある1933年(昭和8年)創業の「お好み焼 みずはら」では、戦前からモダン焼きがあり、初期は焼きそば麺でもうどんでもなく、そば粉のそばの麺を使用していた』と書いてありました。
日本そばとは、さすが戦前という感じですね。ただ、こちらのお店は現在も営業中ですが、発祥の店とは謳っていないそうです。
ちなみに、日本うどん学会は、讃岐うどんブームをきっかけに設立したうどんを食文化、栄養、産業などの様々な観点から研究する学術目的の団体だそうですよ。
さて、ここからは外国の方ではなく、わたしの超個人的な”粉もんのハテナ?”を解決することに。
わたしは、ずっと「モダン焼き」=「広島風お好み焼き」だと思っていたのですが…。
先日、テレビで、広島出身の有吉弘行さんが、広島風お好み焼きをモダン焼きだと言った人に対して、「モダン焼きと広島のお好み焼きはぜんぜん違うから!!!」と大憤慨。それを見て、この2つが違うものだということを初めて知ったんです(笑)。
一体、何が違うんでしょう?みなさん、ご存じですか?
「モダン焼き」と「広島風お好み焼き」の違いはナニ?
お店によっていろいろなスタイルのモダン焼きや広島風お好み焼きがあると思うので、あくまで一般論になりますが…。
一般的なモダン焼きは、生地にキャベツなどの具を混ぜて焼いたお好み焼きに焼きそば麺をのせ、さらに卵でフタをするというスタイルだそうです。
生地と具材を混ぜてから焼く”混ぜ焼き”スタイルのお好み焼きは、大阪の主流、いわゆる「関西風(大阪風)お好み焼き」です。そのため、モダン焼きは、関西風お好み焼きと焼きそば麺の組み合わせということになります。
イメージはこんな感じ。
画像出典:日新製粉ウェルナ公式HP
一方、広島風お好み焼きは、生地と具材を混ぜない”重ね焼き”が特徴。生地を薄くクレープ状に焼き、その上にキャベツやもやし、豚バラ肉などの具を重ねていき、さらに焼きそば麺と卵を合体させて、ミルフィーユのように焼き上げます。
画像出典:photoAC
イメージはこんな感じ。
画像出典:photoAC
つまり、「モダン焼き」と「広島風お好み焼き」の違いは、同じような材料を使いながらも、キャベツや生地の量、焼き方などに違いがあるようです。
…とここで、もう少し深掘り。
先ほど紹介した日本うどん学会のレポートに「神戸風モダン焼き」とありましたよね。
神戸風のモダン焼きって、どんなモダン焼きなのでしょう?
どうやら、先ほど紹介したモダン焼き(関西風お好み焼き+焼きそば麺)は、大阪風モダン焼きと呼ばれるもので、神戸風モダン焼きは、それとはちょっと違うみたいです。ややこしいですね(笑)。
モダン焼きに「大阪風」と「神戸風」がある?
大阪風モダン焼きや広島風お好み焼きは、焼きそば麺に具を加えません。けれど、神戸風モダン焼きは、焼きそば麺に肉やキャベツなどの具を加えて炒め、ソースで味付けした、いわゆる”焼きそば”の完全態を入れるんですって。
薄く焼いた生地に”焼きそば”をのせ、その上から再び生地をかけて焼くスタイルなんだそうです。
「モダン焼き発祥の店」のひとつ、神戸市長田区の「お好み焼き 志ば多」のモダン焼きも、このスタイルみたいです。
新長田本町筋商店街HPの「お好み焼き 志ば多」の紹介ページにのっていた画像を見ると…。
画像出典:新長田本町筋商店街HP
確かに、具入りのソース焼きそばが、薄い生地の上にのっています。
そして、この焼きそばの上から再び生地をかけて焼くと、神戸風モダン焼きになるわけです。
画像出典:新長田本町筋商店街HP
広島風お好み焼きに近いスタイルのモダン焼きですよね。
けれど、材料や見た目が似ていても、各地域によって具や作り方には、それぞれ”こだわり”が。やっぱり、”同じ”ではないんですよね。
大阪風、広島風、神戸風とつくように、日本各地には、手を変え品を変え、様々なスタイルの粉もんグルメが存在します。広島風お好み焼きひとつとっても、麺ではなくお米を入れる「庄原焼き」、生地に日本酒や酒粕を入れて焼く「竹原焼き」など、地域によっていろいろあるみたいです。
日本の”粉もん”の世界は、外国人はもとより、日本人にさえ計り知れないくらい、深くて広いのです。
そして、”粉もん”への愛情も実に深い。
余談にはなりますが、広島県民のプライドと”お好み焼き愛”がわかる、こんなエピソードをひとつ。
10年ほど前、NHKのバラエティ番組『サラメシ』で広島が特集された際、お好み焼きに「広島焼き」というテロップを表示したところ、広島県民から抗議が殺到!再放送では、「お好み焼き」とテロップを修正したそうです。
広島の人たちは、「お好み焼きというのは広島でみんなが食べているもの。それを広島焼きなんて呼ぶのは許せない」「フランス人が自国のパンをフランスパンと呼ばないでしょ!」「『広島を焼いた』みたいに聞こえるのも気分が悪い」「広島風は百歩譲って我慢するが、広島焼きは絶対許せない」などと思ったのだそうです。
テレビ局に抗議するというアクションをわざわざ起こすくらいなので、本当に許せないことなんでしょうね。
また、”広島風”お好み焼きと呼ばれることについても「大阪人に広島風と言われたら、必ず大阪風と言い返す」「本流に対して亜流というニュアンス。
”広島風”に納得のいかない方も、いるようです。
広島の人たちにとっては、自分たちが食べているものこそがスタンダードな「お好み焼き」なんですものね。
ただ、他県のわたしからすると、”広島風”とつけるのは、亜流というニュアンスではなく、関西風とはまったく別のお好み焼きという、スペシャルな意味を込めているんですけどね。
とりあえず、広島の人には”広島焼き”と言わないようにするのが、礼儀かも(笑)。
ということで今回は、モダン焼きの”モダン”についての謎を解きつつ、余談もはさみながら、関西風(大阪風)お好み焼き、広島風お好み焼き、大阪風モダン焼き、神戸風モダン焼きについて、ざっくりとご紹介しました。
あくまで”ざっくり”とした紹介で、細かく見ていくと、キャベツの切り方や具の種類、麺の太さ、焼き方、使うソース、マヨネーズを使う・使わないなど、それぞれこだわりがあるようです。違いを知るには、実際に本場に行って、食べてみるのが一番ですね。日本の”粉もん”の世界はおもしろい♪
<参考文献>
WEB
『テレ朝news~「食べ放題、なぜバイキング?」「モダン焼き、どこが現代的?」外国人のハテナを追跡~』
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/900022888.html
『ぼてじゅう公式サイト~発祥 モダン焼~』
https://botejyu.co.jp/flavor_modan/
『クックドア~関西風でそばが入っている!?モダン焼きの魅力~』
https://www.cookdoor.jp/okonomiyaki/dictionary/21309_okono_009/
『クックドア~関西風と広島風お好み焼きの違いとは~』
https://www.cookdoor.jp/gurublo/444/
『神戸風モダン焼きからみたモダン焼きとご当地お好み焼きの分化』
https://www.researchgate.net/publication/333797511_shenhufengmodanshaokikaramitamodanshaokitogodangdeohaomishaokinofenhua
『キャリコネニュース~広島人はなぜ、「広島焼」にマジギレするのか?~』
https://news.careerconnection.jp/lifestyle/128737/
『note:中国新聞U35~「お好み焼き愛」の裏返し? 呼び方問題に広島県民たちから異論反論200件~』
https://note.com/chugokunp_u35/n/ne8933ff101f5
実は…このモダン焼きの”モダン”には、超意外な事実が秘められていたんです!そこで今回は、「モダン焼き」について深掘りすることに!
【鉄道クイズ】日本の鉄道には「ライオンの糞を撒いてある路線」がある!え、ライオンの糞!?それはナゼ?
「モダン焼き」の”モダン”とはナニ?
本日は、日本にやってきた外国の方が抱く、粉もんの疑問、なぜ、焼きそば入りのお好み焼きを”モダン焼き”というのか?について、深堀りいたします!

モダン焼き
画像出典:photoAC
番組では、”モダン”の秘密について、1946年(昭和21年)に大阪市玉出に創業したお好み焼きの老舗「ぼてぢゅう」の北浦晋也部長が教えてくれました。実は、この「ぼてぢゅう」が「モダン焼き」発祥のお店らしいです。諸説あるそうですけどね。
北浦部長によると、「モダン焼き」は、戦後の高度経済成長期、「従業員たちをお腹いっぱいにしてあげたい」とのぼてぢゅう創業者の思いが詰まった”まかないメシ”が、原点になっているそうです。
どんな”まかないメシ”かと言うと、当時、貴重だった卵や輸入品のメリケン粉といったお好み焼きの材料に、焼きそばと、その日に余った肉や魚介、野菜などを入れた”もりだくさんなお好み焼き”だったそうです。
そうなんです!モダン焼きのモダンは、”modern”ではなく、”もりだくさんなお好み焼き”を略した”モダン”だったのです。
まかないメシだった”もりだくさんなお好み焼き”が、なじみ客用の裏メニューに。それが、いつしか「もだん焼き」という名称でメニューに加わりました。
そして、宝塚のタカラジェンヌたちがわざわざ食べに来るほど、「もだん焼き」は人気メニューに。そのタカラジェンヌたちは当時、時代を先取りする”モダンガール”の象徴だったことから、「もだん焼き」が、カタカナの「モダン焼き」になったそうです。
もともと、”もりだくさん”の意味だった「もだん焼き」でしたが、偶然にも同音異義語だった、モダンガールの”モダン=現代的”の意味が、後からプラスされたんですね。おもしろっ。
モダン焼きのモダンには、”もりだくさん”と”モダンガール”、この2つの言葉の意味が含まれているというわけです。
…とここまでは、「ぼてぢゅう」のモダン焼きのお話。
”諸説ある”と但し書きがあるように、調べたところ、「モダン焼き発祥の店」と言われるお店が、「ぼてぢゅう」のほかにもありました。
それは、神戸市長田区にある「お好み焼き 志ば多」。大阪ではなく兵庫県です。
いい雰囲気の店構え。

しばた
画像出典:新長田本町筋商店街HP
「志ば多」は1947年(昭和22年)に創業し、創業当初から「モダン焼き」を提供しているそうです。
考案したのは、初代女将。当時は、焼きそばの麺ではなく、”うどん”を使用していたそうです。
この”うどん入りモダン焼き”が誕生したきっかけについては、お客さんからのリクエストだったのか、偶然だったのかはわからないそうです。「モダン焼き」という名前の由来も、不明とのこと。残念。
創業から80年近く経っているので、当時のことを知る人はいないのかもしれませんね。
1946年に大阪で創業した「ぼてぢゅう」と、1947年に神戸で創業した「お好み焼き 志ば多」。どちらが発祥の店かという議論は、まぁ、ナンセンスかな(笑)。
当時は、現代のような情報社会でもないし、戦後の貧しい時代に作ることが出来るものって限られていただろうし。お腹を満たすために、お好み焼きと麺を組み合わせるのも自然なアイデアだったはず。なので、個人的には、どちらも発祥の店でいいのかなと思います。
ここで、ひとつ余談ですが、モダン焼き発祥の店については、こんな情報も発見。
2018年の「日本うどん学会第16回全国大会」で発表された「神戸風モダン焼きからみたモダン焼きとご当地お好み焼きの分化」というタイトルの研究レポートに、『神戸市長田区にある1933年(昭和8年)創業の「お好み焼 みずはら」では、戦前からモダン焼きがあり、初期は焼きそば麺でもうどんでもなく、そば粉のそばの麺を使用していた』と書いてありました。
日本そばとは、さすが戦前という感じですね。ただ、こちらのお店は現在も営業中ですが、発祥の店とは謳っていないそうです。
ちなみに、日本うどん学会は、讃岐うどんブームをきっかけに設立したうどんを食文化、栄養、産業などの様々な観点から研究する学術目的の団体だそうですよ。
さて、ここからは外国の方ではなく、わたしの超個人的な”粉もんのハテナ?”を解決することに。
わたしは、ずっと「モダン焼き」=「広島風お好み焼き」だと思っていたのですが…。
先日、テレビで、広島出身の有吉弘行さんが、広島風お好み焼きをモダン焼きだと言った人に対して、「モダン焼きと広島のお好み焼きはぜんぜん違うから!!!」と大憤慨。それを見て、この2つが違うものだということを初めて知ったんです(笑)。
一体、何が違うんでしょう?みなさん、ご存じですか?
「モダン焼き」と「広島風お好み焼き」の違いはナニ?
お店によっていろいろなスタイルのモダン焼きや広島風お好み焼きがあると思うので、あくまで一般論になりますが…。
一般的なモダン焼きは、生地にキャベツなどの具を混ぜて焼いたお好み焼きに焼きそば麺をのせ、さらに卵でフタをするというスタイルだそうです。
生地と具材を混ぜてから焼く”混ぜ焼き”スタイルのお好み焼きは、大阪の主流、いわゆる「関西風(大阪風)お好み焼き」です。そのため、モダン焼きは、関西風お好み焼きと焼きそば麺の組み合わせということになります。
イメージはこんな感じ。

モダン焼き
画像出典:日新製粉ウェルナ公式HP
一方、広島風お好み焼きは、生地と具材を混ぜない”重ね焼き”が特徴。生地を薄くクレープ状に焼き、その上にキャベツやもやし、豚バラ肉などの具を重ねていき、さらに焼きそば麺と卵を合体させて、ミルフィーユのように焼き上げます。

お好み焼き
画像出典:photoAC
イメージはこんな感じ。

お好み焼き
画像出典:photoAC
つまり、「モダン焼き」と「広島風お好み焼き」の違いは、同じような材料を使いながらも、キャベツや生地の量、焼き方などに違いがあるようです。
…とここで、もう少し深掘り。
先ほど紹介した日本うどん学会のレポートに「神戸風モダン焼き」とありましたよね。
神戸風のモダン焼きって、どんなモダン焼きなのでしょう?
どうやら、先ほど紹介したモダン焼き(関西風お好み焼き+焼きそば麺)は、大阪風モダン焼きと呼ばれるもので、神戸風モダン焼きは、それとはちょっと違うみたいです。ややこしいですね(笑)。
モダン焼きに「大阪風」と「神戸風」がある?
大阪風モダン焼きや広島風お好み焼きは、焼きそば麺に具を加えません。けれど、神戸風モダン焼きは、焼きそば麺に肉やキャベツなどの具を加えて炒め、ソースで味付けした、いわゆる”焼きそば”の完全態を入れるんですって。
薄く焼いた生地に”焼きそば”をのせ、その上から再び生地をかけて焼くスタイルなんだそうです。
「モダン焼き発祥の店」のひとつ、神戸市長田区の「お好み焼き 志ば多」のモダン焼きも、このスタイルみたいです。
新長田本町筋商店街HPの「お好み焼き 志ば多」の紹介ページにのっていた画像を見ると…。

モダン焼き
画像出典:新長田本町筋商店街HP
確かに、具入りのソース焼きそばが、薄い生地の上にのっています。
そして、この焼きそばの上から再び生地をかけて焼くと、神戸風モダン焼きになるわけです。

モダン焼き
画像出典:新長田本町筋商店街HP
広島風お好み焼きに近いスタイルのモダン焼きですよね。
けれど、材料や見た目が似ていても、各地域によって具や作り方には、それぞれ”こだわり”が。やっぱり、”同じ”ではないんですよね。
大阪風、広島風、神戸風とつくように、日本各地には、手を変え品を変え、様々なスタイルの粉もんグルメが存在します。広島風お好み焼きひとつとっても、麺ではなくお米を入れる「庄原焼き」、生地に日本酒や酒粕を入れて焼く「竹原焼き」など、地域によっていろいろあるみたいです。
日本の”粉もん”の世界は、外国人はもとより、日本人にさえ計り知れないくらい、深くて広いのです。
そして、”粉もん”への愛情も実に深い。
余談にはなりますが、広島県民のプライドと”お好み焼き愛”がわかる、こんなエピソードをひとつ。
10年ほど前、NHKのバラエティ番組『サラメシ』で広島が特集された際、お好み焼きに「広島焼き」というテロップを表示したところ、広島県民から抗議が殺到!再放送では、「お好み焼き」とテロップを修正したそうです。
広島の人たちは、「お好み焼きというのは広島でみんなが食べているもの。それを広島焼きなんて呼ぶのは許せない」「フランス人が自国のパンをフランスパンと呼ばないでしょ!」「『広島を焼いた』みたいに聞こえるのも気分が悪い」「広島風は百歩譲って我慢するが、広島焼きは絶対許せない」などと思ったのだそうです。
テレビ局に抗議するというアクションをわざわざ起こすくらいなので、本当に許せないことなんでしょうね。
また、”広島風”お好み焼きと呼ばれることについても「大阪人に広島風と言われたら、必ず大阪風と言い返す」「本流に対して亜流というニュアンス。
関西のものがスタンダードで、広島は二番と言われているようで…」などなど。
”広島風”に納得のいかない方も、いるようです。
広島の人たちにとっては、自分たちが食べているものこそがスタンダードな「お好み焼き」なんですものね。
ただ、他県のわたしからすると、”広島風”とつけるのは、亜流というニュアンスではなく、関西風とはまったく別のお好み焼きという、スペシャルな意味を込めているんですけどね。
とりあえず、広島の人には”広島焼き”と言わないようにするのが、礼儀かも(笑)。
ということで今回は、モダン焼きの”モダン”についての謎を解きつつ、余談もはさみながら、関西風(大阪風)お好み焼き、広島風お好み焼き、大阪風モダン焼き、神戸風モダン焼きについて、ざっくりとご紹介しました。
あくまで”ざっくり”とした紹介で、細かく見ていくと、キャベツの切り方や具の種類、麺の太さ、焼き方、使うソース、マヨネーズを使う・使わないなど、それぞれこだわりがあるようです。違いを知るには、実際に本場に行って、食べてみるのが一番ですね。日本の”粉もん”の世界はおもしろい♪
<参考文献>
WEB
『テレ朝news~「食べ放題、なぜバイキング?」「モダン焼き、どこが現代的?」外国人のハテナを追跡~』
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/900022888.html
『ぼてじゅう公式サイト~発祥 モダン焼~』
https://botejyu.co.jp/flavor_modan/
『クックドア~関西風でそばが入っている!?モダン焼きの魅力~』
https://www.cookdoor.jp/okonomiyaki/dictionary/21309_okono_009/
『クックドア~関西風と広島風お好み焼きの違いとは~』
https://www.cookdoor.jp/gurublo/444/
『神戸風モダン焼きからみたモダン焼きとご当地お好み焼きの分化』
https://www.researchgate.net/publication/333797511_shenhufengmodanshaokikaramitamodanshaokitogodangdeohaomishaokinofenhua
『キャリコネニュース~広島人はなぜ、「広島焼」にマジギレするのか?~』
https://news.careerconnection.jp/lifestyle/128737/
『note:中国新聞U35~「お好み焼き愛」の裏返し? 呼び方問題に広島県民たちから異論反論200件~』
https://note.com/chugokunp_u35/n/ne8933ff101f5
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