生鮮食品をどのように保存するかは、消費者にとっても販売店にとっても重要なテーマです。できるだけ新鮮でおいしい状態で提供したいのはお店の本音ですし、消費者としてもできるだけ状態の良い食品を手に入れたいですよね。
そんなみんなの願いを叶えるかもしれない未来の保存技術を、テレビ番組「スーパーJチャンネル」で紹介していました。その名も「ZEROCO(ゼロコ)」。気になったので詳しく調べてみました!

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第三の鮮度保持技術「ZEROCO」とは?

【冷凍でも冷蔵でもなく…生野菜が半年以上も持つシン・保存技術】とは!?もう野菜高騰に困らないぞ!

画像出典:https://zeroco.co.jp/

梨やりんご、根菜類なら1年以上保存可能で、レタスも2か月経っても瑞々しい。
お寿司だって2か月保存でき、ネタに解凍した感じがない。
そんな夢のような保管庫として紹介されていたのが、「ZEROCO(ゼロコ)」です。

その秘密は、温度を徹底的に0℃にキープ、かつ湿度を100%弱にキープするという技術。
何でも、ほとんどの食材の保存について、最も良い結果を出す温度帯が0℃だそう。
何でもかんでも「とりあえず冷凍」派の筆者としては目から鱗。低すぎてもいけないんですね。

【冷凍でも冷蔵でもなく…生野菜が半年以上も持つシン・保存技術】とは!?もう野菜高騰に困らないぞ!

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雪国の雪室で長期間野菜を保存していることからヒントを得たということで、雪国で暮らしたことのない筆者としては、「へぇ、雪室で……」とこちらも目から鱗。
調べてみると、北海道など雪の多い地方では昔から親しまれている野菜の保存方法で、大根やキャベツ、にんじん、ごぼう、じゃがいも、長ねぎ、ほうれん草、小松菜などが適しているそうです。
雪の下や土の中で冬を越す(越冬する)ことによって、甘みが増すらしいですよ。


ちなみにそのメカニズムは、凍結を防ぐために野菜が細胞内の水分を糖分に変えるから甘くなる、というもの。
自然の力にはいつも驚かされますね。

ZEROCOが鮮度を保てる3つのポイント

ただ野菜などを長期間保存できるだけでなく、おいしさそのままに保存ができるというのが価格の安定には不可欠な要素。
それを実現してしまうZEROCOの力についてもっと詳しくみてみましょう。

1. ムラなく冷却することでドリップを抑える

ドリップというのは、冷凍解凍の際に細胞膜が破壊され流出してしまう水分のこと。
従来の冷凍では、細胞内にできた氷の結晶によって細胞膜が破れ、ドリップが出てしまっていました。
厄介なことにこのドリップには旨味や栄養が入っているため、とってももったいないことになっていたんですね。

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ZEROCOは食品の表面から中心まで、均一に0度に保たれるそうで、ムラがありません。
そのため、氷の結晶の発生を抑えることができ、ドリップを防げるということだそうです。

2. 冷凍焼けも抑える

冷凍焼けは、庫内で水分が蒸発してしまい、また食品が空気に触れて酸化することで起こるとのこと。
ZEROCOは湿度が高く保たれているので、食品の水分が保持されます。
変色や変質も防いでいて、冷凍焼けしないんです。


3. 結露を抑制

低温で高湿度の場合、結露が発生します。
これがカビや凍結の原因になる場合があったそうですが、ZEROCOは独自技術で結露の発生を抑えているとのこと。
これにより細菌の繁殖を抑制しているんです。
「湿度が高いと腐りやすそう」という筆者の素人考え、覆されました。

【冷凍でも冷蔵でもなく…生野菜が半年以上も持つシン・保存技術】とは!?もう野菜高騰に困らないぞ!

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これらの技術によって、ZEROCOは食品の鮮度を保っています。
雪室の温度は0℃前後、湿度は80%以上とされていますので、雪室と同じ条件を人工的に作り出しているんですね。
「冷凍でもない、冷蔵でもない、新しい保存の形」がZEROCOなのです。

ZEROCOに寄せられる期待

自然の力から学んで、人間の技術と混ぜ合わせてできたのがZEROCO。
これを活用することで野菜などを適正な時期に安定して供給できることから、安定した価格を実現し、生産者も消費者も守られるというわけです。

ZEROCOはすでに大規模な市場で実証導入が始まっています。
2025年5月には、熊本県・植木青果市場で国内初の大型設備を導入して実証実験を行なっているそうです。
さらに外食チェーンとも業務提携をして、食産業全体に展開しているというのですから、ZEROCOがわたしたちに身近なものになるのも時間の問題かもしれません。


【冷凍でも冷蔵でもなく…生野菜が半年以上も持つシン・保存技術】とは!?もう野菜高騰に困らないぞ!

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ZEROCOは採れたての一次産品をそのまま冷蔵・予備冷却して運搬が可能なので、物流コスト削減にも一役買います。
それだけでなく、一般的な休息冷凍庫と比べても、最大使用電力が低下するそうです。サステナブル!

冷蔵庫で変わり果てた野菜を見てはため息をついている筆者としては、業務用だけでなく、家庭用への応用もぜひ進んでほしいものです。
今後も技術の進歩には注目していきたいと思いました。
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