アニメ『美味しんぼ』に登場する、富井副部長。山岡さんの上司で甲高い声とチリチリパーマが特徴の名物キャラですよね。
【夏の自由研究】「そそぐと一瞬で凍る不思議なジュース」作ろう!その秘密は「過冷却」…って何だ何だ!?
【問題】小麦粉からどうやってガムを作るのでしょう?
画像出典:フォトAC
Thinking Time♪
↓
↓
↓
正解は「小麦粉に水を加えて捏ねてから、水で洗う」でした。
水を加えて捏ねるのは、パンやうどん、団子の生地を作るときの工程ですが、その生地を水で洗うとは…。水で生地を洗ったら溶けてなくなってしまいそう。けれど実際には、そうではないのです。
小麦粉に含まれるたんぱく質と水が結びつくと、ガムのような弾力性と粘り気を持つ「グルテン」という物質が形成され、水で洗うとグルテンだけを取り出すことが出来るんです。つまり、「小麦粉ガム」の正体はグルテンというわけ。
ちなみに、市販されている本物のガムの原料は、サポディラという木の樹脂「チクル」や、プラスチックの仲間「サク酸ビニール樹脂」などで、小麦粉のグルテンは使われていません。誤解なきよう(笑)。
『美味しんぼ』の富井副部長のエピソードのように、戦中戦後の物資が不足していた貧しい時代、子どもたちはガムの代わりにこの小麦粉(グルテン)ガムを食べていたそうですよ。
では、「グルテン」について、もう少し詳しく説明しておきますね。
小麦粉にはたんぱく質が10%ほど含まれていて、その約85%が弾性のある「グルテニン」と、粘性のある「グリアジン」という物質。小麦粉に水を加えて捏ねることで、このグルテニンとグリアジンが絡み合って、弾性と粘性を兼ね備えた「グルテン」という物質が形成されるそうです。
グルテンは網目構造になっていて、よく捏ねるとこの網目が細かくなり、弾性と粘性も強まるそうです。パンのもっちり感やうどんの”コシ”も、このグルテンのおかげ。
では実際に、「小麦粉ガム」を作ってみましょう。
『美味しんぼ』に登場した「小麦粉ガム」を作ってみた!
【用意するもの】
強力粉…50g
水…20ml
薄力粉より強力粉の方がたんぱく含有量が多いため、グルテンの力が強くなるそうです。
【作り方】
1. ボウルに強力粉を入れ、水を加えて、10分ほどよく捏ねます。
グルテンの性質として、よく捏ねるほど弾性と粘性が強まるとのこと。そこで今回は、捏ねる時間による違いを見るため、生地を2つに分け、ひとつは1分、もうひとつは10分捏ねることに。
左:10分捏ねた生地 右:1分捏ねた生地
左が10分捏ねた生地、右が1分捏ねた生地です。1分捏ねた生地の方が量が少ないのは、特に意味はありません。
左:10分捏ねた生地 右:1分捏ねた生地
2. 1を30分ほど放置します。
3. ボウルに水(分量外)をたっぷり入れて、生地をもみ洗いします。
まずは、10分捏ねた生地から。
水が白く濁ったら水を取り替え、濁りがなくなるまで、もみ洗いします。
10分ほど水を取り替えながらもみ洗いしたら、やっと濁らなくなりました。
これが、小麦粉ガム。つまり、グルテンです。
触ると、やわらかくてもちもちしています。ガムというより、お餅。
ちなみに、上の画像は出来立てすぐのグルテンで、表面が凸凹しています。30分ほど時間が経つと、表面がもっとつるつるになりました。
続いて、1分捏ねた生地も同じように水で揉み洗い…。
下の画像の、左が10分捏ねた生地のグルテン、右が1分捏ねた生地のグルテンです。触った感じでは、特に違いはなく、どちらもやわらかくてモチモチ。
左:10分捏ねた生地のグルテン 右:1分捏ねた生地のグルテン
どちらも洗う前に比べて、ひとまわり、いや、2~3まわりは小さくなったみたいです。
今さらですが、もみ洗いする前と後で重さを比べておけばよかったな…。
では、気を取り直して、小麦粉ガムを食べてみましょう!ちょっと勇気がいるけど(笑)。
「小麦粉ガム」を食べてみた!
まずは、10分捏ねた小麦粉ガム。
引っ張ってみると…。
おお~。
おおお~。
けっこう伸びます。すごっ。
ちなみに、上の画像は出来立て直後ではなく、10分ほど経ったグルテン。
出来立て直後にも、グルテンを伸ばしてみたところ、こんなには伸びず、すぐ、プチンと切れてしまいました。
そして、撮影してから30分ほど経ったグルテンは、表面がもっとつるつるになって、本物のガムを伸ばしたときのような見た目になりました(その様子は撮影していません…すみません)。
どうやら、グルテンは出来上がってすぐより、少し時間を置く方が、表面がつるつるになり、伸びやすくもなるみたいです。
では、いただきます。
あら、新食感(笑)。
食感は、つるん、もちっ、ぐにょ。不思議な食感です。
粘性も弾性もありますが、ガムとは別物。また、ガムのようにプク~ッと膨らませることも出来ません。
ただ、ガムと同じで、噛んでも溶けてなくなったりはしませんが、何度も噛んでいると嚙み砕かれて細かくはなります。
やわらかくてもちもちした、弱めの弾力。
グルテンはお麩の原料になるそうですが、小麦粉ガムの香りや風味もお麩に近い感じです。
まずくはないですが、わざわざ作って食べたくなる味ではないかな(笑)。
1分捏ねた小麦粉ガムを食べてみると、10分捏ねたものと比べ、なんとなく弾性が強く、粘性が弱いように感じました。
では、ここで味変。
ブルーベリーガムが個人的に好きなので、ブルーベリージャムを混ぜてみることに。すると、ガムとジャムは全然混ざり合わないのですが、味は意外とおいしい(笑)。小麦粉ガム自体の味が強くないので、ブルーベリージャムの味を邪魔しません。
駄菓子の粉末ジュースをまぶして、いろいろな味にして楽しむのもアリかなと思います。
今回、捏ねる時間を変えて比べましたが、自由研究では、薄力粉や中力粉で作ったガムと、粘性や弾性の違いを比べるのもいいかなと思います。また、時間が経つとグルテンの表面がツルッとして、よりガムっぽく伸びるようになりました。なので、時間経過による変化を見るのもいいかも。
ということで今回は、自由研究にもぴったりな「小麦粉ガム」を作りました。サラサラの小麦粉から、ガムのように伸びる奇妙な物体が生み出されるのは、子どもにとって新鮮な驚きがあるのではないでしょうか。
また、グルテンの性質を調べるだけでなく、戦後の貧しい時代にガムの代わりに食べていたというエピソードから、戦中・戦後の暮らしや食べ物について調べてもいいかもしれませんね。
個人的には、この小麦粉ガムを、戦中戦後の子どもたちがガムの代わりに食べていたと思うと、ちょっと心が痛くなりました。そして以前、お年寄りから「戦時中に飲んだ砂糖水が、今まで食べたものの中で一番おいしかった」という話を聞いたことを思い出したりもしました。…なんだか、いろいろ考えさせられますね。
参考文献
WEB
『Honda Kids~小麦粉からガムを作ろう~』
https://www.honda.co.jp/kids/jiyuu-kenkyu/upper/21/
そんな富井副部長の思い出の味が「小麦粉のガム」。戦後の貧しい時代、父親が幼い富井副部長と弟のために作ってくれたそうです。さて、ここで問題。小麦粉の”ある性質”を利用してガムのような食感を生み出すのですが、一体、どうやって小麦粉でガムを作るのでしょう?これ、夏休みの自由研究にもなりますよね♪
【夏の自由研究】「そそぐと一瞬で凍る不思議なジュース」作ろう!その秘密は「過冷却」…って何だ何だ!?
【問題】小麦粉からどうやってガムを作るのでしょう?

小麦粉
画像出典:フォトAC
Thinking Time♪
↓
↓
↓
正解は「小麦粉に水を加えて捏ねてから、水で洗う」でした。
水を加えて捏ねるのは、パンやうどん、団子の生地を作るときの工程ですが、その生地を水で洗うとは…。水で生地を洗ったら溶けてなくなってしまいそう。けれど実際には、そうではないのです。
小麦粉に含まれるたんぱく質と水が結びつくと、ガムのような弾力性と粘り気を持つ「グルテン」という物質が形成され、水で洗うとグルテンだけを取り出すことが出来るんです。つまり、「小麦粉ガム」の正体はグルテンというわけ。
ちなみに、市販されている本物のガムの原料は、サポディラという木の樹脂「チクル」や、プラスチックの仲間「サク酸ビニール樹脂」などで、小麦粉のグルテンは使われていません。誤解なきよう(笑)。
『美味しんぼ』の富井副部長のエピソードのように、戦中戦後の物資が不足していた貧しい時代、子どもたちはガムの代わりにこの小麦粉(グルテン)ガムを食べていたそうですよ。
では、「グルテン」について、もう少し詳しく説明しておきますね。
小麦粉にはたんぱく質が10%ほど含まれていて、その約85%が弾性のある「グルテニン」と、粘性のある「グリアジン」という物質。小麦粉に水を加えて捏ねることで、このグルテニンとグリアジンが絡み合って、弾性と粘性を兼ね備えた「グルテン」という物質が形成されるそうです。
グルテンは網目構造になっていて、よく捏ねるとこの網目が細かくなり、弾性と粘性も強まるそうです。パンのもっちり感やうどんの”コシ”も、このグルテンのおかげ。
では実際に、「小麦粉ガム」を作ってみましょう。
『美味しんぼ』に登場した「小麦粉ガム」を作ってみた!

材料
【用意するもの】
強力粉…50g
水…20ml
薄力粉より強力粉の方がたんぱく含有量が多いため、グルテンの力が強くなるそうです。
【作り方】
1. ボウルに強力粉を入れ、水を加えて、10分ほどよく捏ねます。
グルテンの性質として、よく捏ねるほど弾性と粘性が強まるとのこと。そこで今回は、捏ねる時間による違いを見るため、生地を2つに分け、ひとつは1分、もうひとつは10分捏ねることに。

生地
左:10分捏ねた生地 右:1分捏ねた生地
左が10分捏ねた生地、右が1分捏ねた生地です。1分捏ねた生地の方が量が少ないのは、特に意味はありません。
適当に2つに分けたので…。

生地
左:10分捏ねた生地 右:1分捏ねた生地
2. 1を30分ほど放置します。
3. ボウルに水(分量外)をたっぷり入れて、生地をもみ洗いします。
まずは、10分捏ねた生地から。

生地
水が白く濁ったら水を取り替え、濁りがなくなるまで、もみ洗いします。

生地
10分ほど水を取り替えながらもみ洗いしたら、やっと濁らなくなりました。

生地
これが、小麦粉ガム。つまり、グルテンです。

生地
触ると、やわらかくてもちもちしています。ガムというより、お餅。
ちなみに、上の画像は出来立てすぐのグルテンで、表面が凸凹しています。30分ほど時間が経つと、表面がもっとつるつるになりました。
続いて、1分捏ねた生地も同じように水で揉み洗い…。
下の画像の、左が10分捏ねた生地のグルテン、右が1分捏ねた生地のグルテンです。触った感じでは、特に違いはなく、どちらもやわらかくてモチモチ。

生地
左:10分捏ねた生地のグルテン 右:1分捏ねた生地のグルテン
どちらも洗う前に比べて、ひとまわり、いや、2~3まわりは小さくなったみたいです。
今さらですが、もみ洗いする前と後で重さを比べておけばよかったな…。
では、気を取り直して、小麦粉ガムを食べてみましょう!ちょっと勇気がいるけど(笑)。
「小麦粉ガム」を食べてみた!
まずは、10分捏ねた小麦粉ガム。
引っ張ってみると…。
おお~。

グルテン
おおお~。

グルテン
けっこう伸びます。すごっ。
ちなみに、上の画像は出来立て直後ではなく、10分ほど経ったグルテン。
出来立て直後にも、グルテンを伸ばしてみたところ、こんなには伸びず、すぐ、プチンと切れてしまいました。
そして、撮影してから30分ほど経ったグルテンは、表面がもっとつるつるになって、本物のガムを伸ばしたときのような見た目になりました(その様子は撮影していません…すみません)。
どうやら、グルテンは出来上がってすぐより、少し時間を置く方が、表面がつるつるになり、伸びやすくもなるみたいです。
では、いただきます。
あら、新食感(笑)。
食感は、つるん、もちっ、ぐにょ。不思議な食感です。
粘性も弾性もありますが、ガムとは別物。また、ガムのようにプク~ッと膨らませることも出来ません。
ただ、ガムと同じで、噛んでも溶けてなくなったりはしませんが、何度も噛んでいると嚙み砕かれて細かくはなります。
やわらかくてもちもちした、弱めの弾力。
先ほど、手で伸ばしたときはびよーんと伸びたので、粘性はあるのかなと思いましたが、実際に噛んでみると、そこまで粘性を強く感じません。
グルテンはお麩の原料になるそうですが、小麦粉ガムの香りや風味もお麩に近い感じです。
まずくはないですが、わざわざ作って食べたくなる味ではないかな(笑)。
1分捏ねた小麦粉ガムを食べてみると、10分捏ねたものと比べ、なんとなく弾性が強く、粘性が弱いように感じました。
では、ここで味変。
ブルーベリーガムが個人的に好きなので、ブルーベリージャムを混ぜてみることに。すると、ガムとジャムは全然混ざり合わないのですが、味は意外とおいしい(笑)。小麦粉ガム自体の味が強くないので、ブルーベリージャムの味を邪魔しません。
駄菓子の粉末ジュースをまぶして、いろいろな味にして楽しむのもアリかなと思います。
今回、捏ねる時間を変えて比べましたが、自由研究では、薄力粉や中力粉で作ったガムと、粘性や弾性の違いを比べるのもいいかなと思います。また、時間が経つとグルテンの表面がツルッとして、よりガムっぽく伸びるようになりました。なので、時間経過による変化を見るのもいいかも。
ご参考までに。
ということで今回は、自由研究にもぴったりな「小麦粉ガム」を作りました。サラサラの小麦粉から、ガムのように伸びる奇妙な物体が生み出されるのは、子どもにとって新鮮な驚きがあるのではないでしょうか。
また、グルテンの性質を調べるだけでなく、戦後の貧しい時代にガムの代わりに食べていたというエピソードから、戦中・戦後の暮らしや食べ物について調べてもいいかもしれませんね。
個人的には、この小麦粉ガムを、戦中戦後の子どもたちがガムの代わりに食べていたと思うと、ちょっと心が痛くなりました。そして以前、お年寄りから「戦時中に飲んだ砂糖水が、今まで食べたものの中で一番おいしかった」という話を聞いたことを思い出したりもしました。…なんだか、いろいろ考えさせられますね。
参考文献
WEB
『Honda Kids~小麦粉からガムを作ろう~』
https://www.honda.co.jp/kids/jiyuu-kenkyu/upper/21/
編集部おすすめ