【田園日記~農と人の物語~ Vol.33】海の幸と山の恵みをたっぷり詰めた「くるみ入り押しずし」
”農機のメンテはお任せ”の機械好き
四月初旬、一メートルほど積もった雪の姿は消えたものの、冬の空気が居座る秋田県大仙市。東の奥羽山脈真昼山地、西の出羽山地に挟まれています。この地が春を感じるのは、四月も下旬になってからです。
「今年は三月下旬になっても雪がかなり降っていました。雪も解け、ようやく畑の土づくりを始められます」
そう話すのは、アウトドアブランドのピンクのつなぎ服を着こなし、大型トラクターに乗り込む小松瑞穂さん(34)です。軽快に操って畑へと移動。シャベルで、籾殻をまいていきます。大の機械好きで、運転はもちろん、小型農機のメンテナンスまでお手のものです。
瑞穂さんは、二百年にわたって農業を営んできた家の十一代目です。
幼い頃から広々とした畑が遊び場でした、と話す瑞穂さん。友人と虫を捕まえたり、草花を摘んだり、クラスメートを集めて野球の試合をするなど、自然の中でのびのびと成長。よく農作業の手伝いもしていました。
「当時はウシを飼っていて、わたしの仕事は餌をあげることでした。また田植えや収穫の時期は、当然のようにお手伝い。ただ遊びの延長というか、家族で田畑にいるのが楽しくて、嫌だと思ったことは一度もなかったな」
農業に就くことを意識したのは中学生のとき。一人っ子として家を継がねばという責任感からではなく、自然の中で家族と共に働くっていいな、と思えたからです。
「ただ『なんで農業なの?』と、友人によく尋ねられました。おもしろみのない、とても過酷な仕事に思えたんじゃないかな(笑)」
岩手の県立農業大学校へ進学し、興味のあった野菜経営を専攻します。野菜栽培や農業経営を学び、トラクターの免許も取得。大学校生活でいちばん印象に残っているのは、岩手県のナス農家での二週間にわたる農業研修です。
「家族経営の農家で、家族で働くよさを改めて実感しました。ご夫妻からは『手間をかければ、いいものができる』という言葉をもらって、農業は自分の取り組み方しだいと教えてもらいました」
技術面では祖父とぶつかることも
平成二十三年、やる気満々で農業人生をスタート。当時、秋田県では”エダマメ生産日本一”をめざしていた時期であり、小松家でも栽培を始めた頃でした。野菜栽培を学んだ瑞穂さんが、主担当になります。
しかし学んだ知識を生かそうとしても、一義さんは聞き入れてくれません。瑞穂さんが植えつけたあと、すべてをやり直す姿に何度もけんかになった、と笑います。
「家族ですし、けんかしてもあとには残らないです。でもやっぱり悔しくて、信頼してもらえるよう栽培技術を上げていかねばならない、と思いました」
そこで瑞穂さんは、JAの講習会やエダマメ部会の勉強会へ積極的に参加。先輩農家の畑を視察しては、質問攻めにします。がんばる姿に周囲からの応援も得られました。
多くの支えや努力が実を結び、栽培三年めにはJA秋田おばこに、一定量を出荷できるまでになります。今ではエダマメの選別作業などに、地域の女性をパート雇用するまでになっています。
「パートの方に『やりがいになっている』と感謝されることもあり、うれしいのひと言です。JAエダマメ部会の役員にもなって、祖父も『今はこんなやり方か』と、わたしの話を聞いてくれるようになりましたね」
米やエダマメだけでなく、瑞穂さんは新しい農産物にも挑戦中です。それは、数年前にカフェで出合った”エディブルフラワー”。菓子を彩る鮮やかな花に感激したことがきっかけで、ハウスで栽培を始めました。
試行錯誤しながらも、販路を考えてSNSで栽培の様子を発信。すると県内のホテルやレストラン、カフェなどから、注文が寄せられるようになりました。
「行政や母校(中学校)の生徒と協力し、栽培や商品開発をしています。将来的には、地域に愛着を持てる特産品にしていきたいな」
また、地域の農業や郷土の文化を伝えるための活動にも、積極的に携わっています。その一つが、子どもとの農業体験。特別支援学校でのエダマメの栽培指導を引き受けたり、所属するJA女性部で小学生と田植えや稲刈りをしたりしています。収穫した米や野菜で振る舞う郷土食は、子どもたちに大人気だそうです。
もう一つは、近郊観光地で開催する月に一度の”マルシェ活動”です。
「秋田に住んでいても、農業に関わりのない人は多いです。次世代となる子どもに、地域を支えてきた農業や、食にふれる機会を増やしていきたいですね」
ワクワクする農業をめざし、仲間とともに
農業を始めて十五年になる瑞穂さん。地域や人に支えられた年月のなかで、ますます秋田のことが好きになっています。全国から秋田に人を呼び、郷土の食文化を伝えたいと、築百五十年の自宅を活用した農家民宿や、祖母の味を受け継いだ漬け物加工所を目下、構想中です。
「いろいろな活動を知った友人からは『いつも楽しそう』『農業はいい仕事だね』と言われることが増えました。中学生の頃を思えば、時代が変化したのを感じます。次世代もワクワクする農業を仲間と創っていきたい。”エダマメ生産日本一”も奪回したいし、やりたいことだらけです」
※当記事は、JAグループの月刊誌『家の光』2025年8月号に掲載されたものです。
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