ワインの生産国としてフランス、イタリアについで世界第3位を誇るスペイン。実は、ぶどうの栽培面積としては世界一を誇るほどのワイン大国です。
赤ワイン・白ワイン共に、スペインならではの個性的なぶどう品種がのびのびと育っており、この国ならではの個性が感じられるのも特徴。また、スペインならではの酒精強化ワイン「シェリー」も有名で、世界中の愛好家に飲まれています。
今回はそんなスペインのワインを歴史や特徴を抑えつつ、ランキング形式でソムリエがご紹介します!
スペインのワインの歴史
スペインのワイン造りは紀元前1100年ごろからと言われています。そのため、約3000年ほどの歴史があると考えられます。当時スペインで造られたワインはローマ帝国全土で評判が高く、広く流通していました。しかしローマ帝国が衰退した後、イスラム教徒らが侵攻してきたことによって多くのぶどう園が破壊されてしまい、ワイン生産は停滞してしまいます。
その後、ワイン生産が本格的に再スタートされたのは11世紀初頭。レオン王国がムーア人をドゥエロ河まで後退させたことがきっかけでした。そして国土回復運動を経てワイン生産が増大していき、15世紀からのいわゆる「大航海時代」にスペイン全土でワインを生産するようになりました。
1700年代には酒精強化ワイン「シェリー」が開発され輸出が伸びていくものの、内戦が続いて国家が荒廃し、ワイン産業としてはイタリア、フランスから大きく出遅れる形になったのです。
スーパースパニッシュの誕生
1975年、カルロス一世の国王即位によって内戦が終焉し、ワイン産業の近代化が一気に進みます。
そして1990年以降に、品質向上が顕著で「スーパースパニッシュ」と呼ばれる高品質ワインが注目を浴び、さらに生産を伸ばしていくようになったのです。
ここ10年ほどの間に、 世界中の醸造学を学んだ新しい世代の醸造家たちによって、スペイン各地でワインの質がさらに向上しています。フランスのボルドーワインに似たタイプの上質なワインは、ワイン愛好家たちにとって目が離せない存在となっているのです。
スペインワインの味わい・特徴

スペインの国土は広く、それぞれの地方で栽培されています。大きく分けて5つの生産地域がありますが、それぞれ代表的な生産地を抑えておきましょう。
北部地方 リオハ
スペイン第一の銘醸地として知られ、1870年代におきたフィロキセラの害から逃れたボルドーの移民によって、樽熟の技術が伝えられた土地です。
黒ぶどうの栽培が75%を占め、テンプラニーリョとガルナッチャが有名。地域としては世界一の美食の街と呼ばれているサンセバスチャンもこの地域に入ります。食文化も最もレベルが高いエリアです。
地中海地方 ペネデス
バルセロナを中心都市とする地中海地方は、カタルーニャやバレンシアといった大きい都市がある一方、ワインの生産も盛んです。中でも最も注目すべきはスペインの代表的スパークリングワイン「CAVA」を生産しているベネデス。
この地域でCAVAの95%を生産しています。CAVAを造る主要品種であるマカベオ・チャレロ・パレリャーダの3品種はもちろんのこと、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネも有名な産地です。
内陸部地方 リベラデルドゥエロ
首都マドリッドの南部に広がる広大な地域で、スペイン国内の全生産料の約半分を占めるのが、内陸部地方です。
中でもスペインを代表する地であるリベラデルドゥエロはテンプラニーリョをはじめとしてカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロの銘醸地で、高品質な赤ワインが造られています。
大西洋地方 リアスバイシャス
大西洋沿いにあるリアスバイシャスは、入り組んだ海岸線を持っていて、魚の宝庫になっています。そこで造られたアルバリーニョはスッキリした飲み口で程よい酸味があり、魚介料理との相性が抜群に良いので、「海のワイン」と称されていることでも有名です。
降雨量が多いので、栽培方法は棚づくり。
南部地方 アンダルシア
地中海と大西洋に挟まれた地域で、ここでは酒精強化ワインとして知られる「シェリー」の栽培が有名です。
シェリーに使われるぶどう品種、パロミノ、ペドロヒメネス、モスカテルの栽培が盛んで、ドライな辛口タイプから、スウィートな甘口タイプまで、幅広く生産しています。
スペインワインで抑えるべきぶどう品種「テンプラニーリョ」

スペインの代表的なぶどう品種といえば、何と言ってもテンプラニーリョです。テンプラニーリョの栽培面積は世界4位ですが、そのうちのほとんど(約95%)がスペインとポルトガルにて生産されています。
しかしながら、ポルトガルではそのほとんどが「ポートワイン」を造る補助品種として使用されるため、「テンプラニーリョといえばスペインワイン!」といっても過言ではないのです。
また、同じぶどう品種でも名称が違うことを、ワイン業界では「シノニム」といいますが、テンプラリーニョは非常に多くのシノニムを持つぶどうとして知られています。
同じスペイン国内でも、地域によって「ティント・フィノ」「ティント・デル・パイス」「センシベル」「ウル・デ・リェブレ」などと呼ばれており、隣国のポルトガルでは、「アラゴネス」「ティンタ・ロリス」という名称で呼ばれています。
幅広い味わいのワインが造られる「テンプラリーニョ」
プラムやバナナのような熟した甘い果実の香りが特徴で、軽やかなミディアムボディのタイプもあれば、タンニンのしっかりある熟成されたコクのあるタイプまで、 幅広い味わいが楽しめるのがテンプラリーニョの特徴です。
スペインのワインは熟成期間表示が決められており、熟成期間によってテンプラニーリョで造られるワインの味わいやボディが決まります。少々細かいですが、覚えているとワインを選定する際の参考になるので便利です。
スペインワインの熟成期間表示
・ Joven(ホーベン) 樽熟成1年以下、または全く樽熟成を行わないワイン
・ Crianza(クリアンサ) 最低24ヶ月熟成(うち6ヶ月は樽熟成)
・ Reserva(レセルバ) 最低36ヶ月熟成(うち12ヶ月は樽熟成)
・ Gran Reserva(グランレセルバ) 最低60ヶ月熟成(うち18ヶ月は樽熟成)
デイリーワインとしてカジュアルに楽しめるのが、ホーベンorクリアンサ。少し価格は上がりますが、熟成を経たまろやかなワインがお好きならばレゼルバ。
そして60ヶ月以上熟成されて、複雑味が増した飲み口のワインを楽しみたければ、グランレゼルバを飲んでみてください。
ソムリエ厳選!3000円以下で楽しめるスペインワインランキングTop10
10位 グランリベンザ・ブリュット
まずはお手頃価格、1本700円程度で購入できる安旨CAVAをご紹介!
フランスのシャンパーニュと同じように、瓶内二次発酵にて造られるカヴァです。
フルーティな辛口タイプで非常に飲みやすく、この値段にしては泡持ちも素晴らしく良いです。ちなみに、私の自宅でのハウスワインはこちらです。
日常的に楽しめる、飽きの来ない定番の一本なのでぜひお試しあれ!

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9位 バサ テルモロドリゲス

スペインの土着品種であるヴェルデホを中心に、ヴィウラとソーヴィニョンブランをブレンドした1本「バサ テルモロドリゲス」。
青りんごなどや、グレープフルーツのような柑橘系の果実のアロマを感じ、酸味のバランスがよく、爽やかなキレのある辛口ワインです。
フルーツを使ったグリーンサラダや、バジルペーストを使った料理と合わせるのがおすすめですよ!

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8位 ボデガ ヴィネッセンス / セイン Sein
バレンシアで造られる、モナストレルとシラーをブレンドしたフルボディの赤ワイン。
樽熟由来のカカオやコーヒーのような芳醇なフレーバーがしてしっかりとした飲み口で余韻も長いです。
シンプルにグリルしたステーキや、味付けが濃いめのパスタやピザと合わせてカジュアルに飲める一本です。

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7位 クロ・モンブラン クワトロ・カヴァ スパークリング

クワトロはスペイン語で数字の"4"を意味する言葉。このワインは、4種類のブドウ品種、マカベオ・チャレロ・パレリャーダ、シャルドネを使って造られているためにこの名前がつきました。
マカベオ、チャレロ、パレリャーダにシャルドネを加えているCAVAは少なく、シャルドネをブレンドすることによって青リンゴやパイナップルのようなトロピカルなフレーバーが加わったこちらの1本。
シュリンプカクテルや白身魚のポワレなど、幅広く合わせることができる万能CAVAです。

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6位 トーレス セレステ クリアンサ

1870年に設立された、スペインを代表する名門ワイナリー「トーレス」。バルセロナ近くのペネデスを拠点として、140年以上にわたり家族経営でワインを造り続けています。
地中海地方で取れた出来の良いテンプラニーリョは、ベリー系の果実味がたっぷりで、芳醇な飲み口が特徴的。飲みごたえのあるフルボディですが、程よい酸味も感じられるため、飲みやすい印象です。

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5位 ビオンタ アルバリーニョ

スペインで有名な白ワイン産地であるリアスバイシャスで造られたアルバリーニョ。海辺の産地らしいミネラル豊富な味わいが特徴で、通称「海のワイン」と呼ばれています。
フレッシュな柑橘類を思わせるドライな辛口白ワインです。すっきりとした飲み口で、新鮮な魚介類や甲殻類によく合います。

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4位 オノロ ベラ

スペインの地ぶどう、ガルナッチャの特徴をうまく表した1本。タンニンと下に残る甘みのバランスがとても良いです。
ステンレスタンクで発酵後、フランスとアメリカのオーク樽で2ヶ月間熟成しています。 樽香は優しく、赤い果実を思わせる強い香りが特徴。
トマトソースを使ったパスタやピザとの相性は抜群です。コストパフォーマンスに優れている上、過去にはアカデミー賞のパーティーでも使用されていた実力派ワインです。

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3位 ミマオ ガルナッチャ
続いてこちらもスペインの地ぶどう、ガルナッチャを100%使用した赤ワインです。ジャミーで甘酸っぱい香りと、スパイシーな舌触りが特徴で、タンニンは非常に滑らか。
飲みごたえのあるフルボディのタイプなので、肉汁たっぷりのハンバーグやお肉の煮込み料理と合わせたい一本です。

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2位 トリデンテ・テンプラニーリョ
平均樹齢が70年以上の古木から生まれるパ、ワフルなテンプラニーリョを使っています。迫力のある飲みごたえで、アルコール度数も16%と高めです。
樽由来のバニラやカラメルのようなミルキーなアロマが食欲をそそります。

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1位 マルケス・デ・リスカル リスカル・テンプラニーリョ
第1位にセレクトしたのは、リオハ地方で造られるスペインの代表的ぶどう品種テンプラニーリョを使った「マルケス・デ・リスカル」。
バランスのとれたタンニンでしっかりとした味わい。1876年にはブリュッセル展示会で金メダル、1929年にはバルセロナ国際展示会でグランプリ賞を受賞し、古くからスペインワインのトップを走ってきた伝統的な造り手です。
価格もリーズナブルで、デイリーワインとしてカジュアルに楽しめるのも嬉しいポイント!お肉料理やチーズ、ピザなど、自宅でのパーティメニューに幅広く合わせることができます。

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まとめ

いかがでしたか?個性的なぶどう品種から造られる歴史のあるワインと、そしてリーズナブルに高品質な泡を楽しめるCAVAなど、今回は価格的にリーズナブルなものを中心に選定しました。
高級なワインや酒精強化ワイン、シェリーも素晴らしいので、この記事を呼んでスペインワインに興味を持った方は、ぜひ色々飲み比べてその魅力を存分に堪能してみてくださいね!