今や世界のいたる所で高品質なワインが作られ、日本にいる私たちもさまざまな国のワインを楽しめるようになりました。それでもやはり、ワイン界におけるフランスの地位はいまだ不動のものです。
今回の記事では、そんなフランスワインの中から、日本でも手に入れやすいおいしいワインを10本ご紹介します。「フランスワインの基本」として産地ごとの特徴も簡単に解説しますので、ワイン選びの参考にしてくださいね。
フランスワインの産地と味わいの特徴
フランスには、個性豊かなワイン産地がたくさんあります。したがって、フランスワインを広く知るためには、まず何よりも産地ごとの個性を知っておくのが大切です。
以下では、フランスに広がる有名なワイン産地について、順番にご紹介していきます。
シャンパーニュ地方
フランスで最も重要なスパークリングワインの産地であるシャンパーニュ地方は、パリの東側に位置する冷涼な地域です。
発泡性ワイン「シャンパーニュ」は、白ぶどうのシャルドネ、黒ブドウのピノ・ノワールやムニエを主に用いて、瓶内二次発酵で造られます。シャンパーニュ地方独特の白亜質土壌から生み出される、ほかの産地の発泡性ワインにはなかなか出せない風味は、昔も今も世界中で愛されています。
アルザス・ロレーヌ地方
アルザス・ロレーヌ地方は、ドイツとの国境沿いにある産地。かつてドイツ領だったこともあって、文化的にもドイツの影響を色濃く受けており、栽培されている品種やラベルの表記、ボトルの形などがドイツワインに似ています。
リースリングやピノ・ブラン、シルヴァネール、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネールやミュスカなどを使った白ワインが有名。酸とミネラル感がしっかり感じられる、爽やかなワインが生み出されています。
ブルゴーニュ地方
「ワインの王様」と言われるブルゴーニュワインが生み出されているのは、シャンパーニュより少し南のフランス北東部。4世紀にはすでに銘醸地として有名でした。
ブルゴーニュでは、シャルドネによる白ワインと、ピノ・ノワールによる赤ワインが造られています。
特に、コート・ドール(黄金の丘)と呼ばれる地域は、高品質なワインが造られることで有名。そのほか、シャブリ地方では、キンメリジャンという土壌からミネラル感たっぷりの白ワインが生まれます。
ボージョレ地方
「ボージョレ・ヌーヴォー」でおなじみのボージョレ地方は、ブルゴーニュのすぐ南に位置する産地。ボージョレでは、赤ワイン用ぶどうとして、ピノ・ノワールではなくガメイという品種が使われています。
ガメイはピノ・ノワールに少し似ていますが、ピノ・ノワールに比べて少し骨格があり、親しみやすい果実味を持つワインになることが多いです。
ジュラ・サヴォワ地方
ブルゴーニュのすぐ東側、スイスとの国境近くにジュラ・サヴォワ地方は位置する地域。冷涼な地域で、さっぱりとした白ワインが多く生まれています。
この地方で特に有名なのは、ジュラ地方の「ヴァン・ジョーヌ」と「ヴァン・ド・パイユ」でしょう。ヴァン・ジョーヌは「黄ワイン」の意で、産膜酵母下で酸化的に熟成させて造り、シェリーのような味わいに仕上がります。
ヴァン・ド・パイユは「藁ワイン」の意。陰干ししたぶどうを藁の上に敷いて乾燥させたことからこの名がついた、甘口ワインです。
ローヌ渓谷地方
ボージョレの南、ローヌ川の流域に広がるのがローヌ渓谷地方です。かつて法皇の宮殿があったアヴィニョンもこのローヌ地方にあります。
ローヌでは、シラーやグルナッシュといった黒ぶどうからスパイシーな赤ワインが生まれます。
非常に長期間熟成できるワインが造られることもしばしば。ヴィオニエなどの白ぶどうから造られる、リッチな白ワインもおいしいです。
プロヴァンス地方・コルシカ島
南仏のプロヴァンス地方は、リゾート地としても人気の場所。地中海性気候のこの地域は、ロゼワインの一大生産地として知られています。プロヴァンスで造られるワインのなんと89%がロゼワインなのです。プロヴァンスのロゼは基本的に辛口で、フルーティーなものが多いのが特徴です。
その近くに浮かぶコルシカ島は、ナポレオン生誕の地としても有名です。イタリアのサルデーニャ島にほど近い場所にあり、かつてイタリアの都市国家に支配されていた時期もあったことから、ワインにもイタリアの影響が見られます。
コルシカ島では、スパイシーでありながらも飲みやすい赤ワインが多く造られています。
ラングドック・ルーション地方
ラングドック・ルーションは、プロヴァンスの西側に広がる地中海沿岸の産地です。グルナッシュ・ブランやグルナッシュをはじめ、白ぶどう・黒ぶどうともに、さまざまな品種が栽培されています。
かつては大量生産ワインの供給地でしたが、1980年代頃から高品質なワイン造りへと方向転換。今ではすばらしいワインが次々と生み出されるようになりました。
太陽の恵みをしっかり受けて育ったぶどうから、果実味豊かでジューシーなワインが造られています。
南西地方
南西地方は、その名の通りフランス南西部一帯を指す広大な産地です。土壌も気候も多様で、個性豊かなワインが造られています。
白ぶどうでは、ボルドー品種に加えて青りんごのようなアロマを持つモーザックや黄色い果実の香りを感じるラン・ド・レルなどが、黒ぶどうではカベルネ・フランやマルベック、力強いタンニンを持つタナなどが栽培されています。
造り手の世代交代に伴い、洗練されたワインが続々登場している産地です。
ボルドー地方
「ワインの女王」ボルドーワインを生み出しているのは、南西地方の北、太平洋沿いに広がる地域です。ボルドーでは、多くの場合「シャトー」と呼ばれるワイナリーでワインが醸造されており、一般的には複数品種をブレンドしてワインを造ります。
パリ万博が開催された1855年、現在まで続くボルドーワインの格付けがおこなわれました。この格付けをきっかけにして、ワインは単なる飲み物という枠を超え、嗜好品としての価値を持ち始めたと言われています。
品種は、赤ワインであればカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カベルネ・フランなどの黒ぶどうが使われ、白ワインにはソーヴィニヨン・ブランやセミヨンなどが用いられます。ボディのしっかりしたワインが多く、赤ワインではタンニンも強め。長熟に向くワインも多数造られます。
ロワール渓谷地方
ロワール渓谷地方は、フランス最大の川であるロワール川に沿って、東西に広がる産地です。ボルドー地方の北、ブルゴーニュの西にあたる場所に位置しています。
幅広い産地であるためにワインの種類も多種多様で、軽めの赤・ロゼからしっかりした赤まで、また白ワインは辛口から極甘口の貴腐ワインまで造られており、発泡性ワインも有名です。
冷涼感があり、高い完成度を持ちながら普段の食事にも合わせやすいワインが多く見られます。
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第10位:クローズ・エルミタージュ・ルージュ/E.ギガル
まずご紹介するのは、ローヌ地方のスパイシーな赤ワイン。造り手は、ローヌを代表する生産者のギガルです。平均樹齢35年のシラーを使用しており、凝縮感が楽しめます。
チェリーのような果実感に、樽熟成由来のバニラのニュアンスが深みを与えた1本は、きめ細かいタンニンと心地よいスパイス感、血液のような要素もあり、エレガントでありながらも力強いワインです。

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第9位:クレマン・ド・ロワール/モンムソー
シュナン・ブランを主体として、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られるロワール渓谷のスパークリングワインです。
こちらのクレマン・ド・ロワールは、フランスのワイン専門誌で何度も紹介され、某航空会社のビジネスクラスで採用された実績もある実力派。それでいて価格はお手頃なのが嬉しいところです。
柑橘類や軽く煮詰めた黄りんごを思わせる豊かな果実感に、白い花やはちみつの香りが混ざった味わい。しっかりとした酸にバターとミネラル感がほのかに加わり、なめらかな泡と共に、まろやかかつ華やかな味わいを作り上げています。

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第8位:ミラヴァル・ロゼ/ミラヴァル
続いては、5つ星生産者のミラヴァルが手掛けるロゼ。南仏・プロヴァンスにあるこのワイナリーのオーナーは、ハリウッドスターのブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーです。
このワインは、数々のワイン批評誌で高評価を受け、毎年のリリースが多くのファンに待ち望まれている人気のロゼ。100%オーガニック栽培で、セニエ法と直接圧搾法を使い分けながら、ぶどう本来のおいしさを引き出しています。
いちごやラズベリー、桃のようなフレッシュな果実感。

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第7位:ル・マルキ・ド・カロン・セギュール/シャトー・カロン・セギュール
第7位では、ハートのラベルが有名なボルドーの格付けシャトー「カロン・セギュール」から、手に入れやすいセカンドラベルをセレクトしました。品種は、メルロとカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランといった一般的なボルドー・ブレンドです。
お手頃なラインとは言え、その味わいはすばらしいもの。カシスやプラム、カカオや黒鉛にスモーキーなニュアンスが加わる複雑なアロマ。豊かな果実味となめらかなタンニンを心地よい酸が引き締め、余韻も華やかです。
熟成を要する高価なファーストと比べて、若いうちから楽しめるというメリットもあります。一流シャトーのエッセンスを気軽に味わいたい方におすすめです。

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第6位:シャンパーニュ・ブリュット・プルミエ/ルイ・ロデレール
フランスのスパークリングワインといえば、やはり一番有名なのがシャンパーニュでしょう。
手頃なものから高価なものまで多くのシャンパーニュがありますが、今回選んだのは、「No.1シャンパーニュメゾン」「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド2020」など数々の賞に輝いた実績を持つルイ・ロデレールのスタンダード・キュヴェ。
トーストやアーモンドの香ばしくてほのかに甘い香り。きめ細かい泡と豊かな果実味、きれいな酸味とリッチなコクが見事に調和しています。食事の最初から最後まで楽しめる万能なシャンパーニュで、ギフトにもおすすめです。

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第5位:ブルゴーニュ・ルージュ/ルー・デュモン
日本人醸造家の仲田晃司氏が手掛ける、ブルゴーニュ・ルージュをご紹介。ルー・デュモンのワインはいつも人気で、テレビ番組で取り上げられた直後などは、たいへん品薄になったこともあります。
平均樹齢30年のピノ・ノワールを使用しており、そのうち20%はジュヴレ・シャンベルタンとオー・コート・ド・ニュイのぶどうです。天然酵母のみで発酵させ、シャトー・ディケムでも使用している貴重な樽で熟成させたあと、無清澄・ノンフィルターで仕上げています。
フレッシュな赤い果実とクローブを思わせるニュアンス。酸とタンニンがなめらかに溶け合い、複雑味のある心地よい余韻が長く続きます。

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第4位:バロナーク/ドメーヌ・ド・バロナーク
続いては、ラングドックの赤ワイン。17世紀にその起源を持つ名生産者、ドメーヌ・ド・バロナークによる、いくつものワイン専門誌で非常に高い評価を受けたキュヴェです。
メルロー、カベルネ・フラン、シラー、マルベック、カベルネ・ソーヴィニヨンと、さまざまな品種がブレンドされて、見事なバランスを生み出しています。
ブルーベリーやブラックベリーなどの黒系果実に、リコリスやクローブなどの甘くスパイシーなアロマが特徴。アタックからしっかりとした凝縮感があり、熟した果実や黒コショウのような味わい、エレガントなタンニンが感じられます。

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第3位:シャトー・ギロー/シャトー・ギロー
第3位には、ボルドーのソーテルヌで造られる貴腐ワインをセレクトしました。格付け第1級シャトーとしてディケムに次ぐ高評価を得ているシャトー・ギロー。品種はセミヨンとソーヴィニヨン・ブランです。
上質なアカシアはちみつのような甘やかさの中に、アプリコットを思わせる酸味があります。ロースト香とかすかに香るバニラのニュアンスがエレガントな、素晴らしい貴腐ワインです。
こちらのワインはじっくり熟成させるのがおすすめ。フォアグラやブルーチーズ、バニラアイスなどに合わせて時間をかけて味わいたいですね。

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第2位:アルザス・ブラン/マルセル・ダイス
第2位に選んだのは、アルザスにおける自然派ワイン界の巨匠、マルセル・ダイスによる白ワイン。
ワイナリーの本拠地ベルクハイムに育つ、ピノブラン、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノノワール、ピノグリ、ミュスカ、シルヴァネールといった7つもの白ぶどう品種をブレンドして仕上げた「アルザスを代表する白ワイン」です。
アプリコットを思わせる芳醇な香り。ジューシーな果実感に蜜のようなかすかな甘みが加わり、余韻には心地よいミネラルのほろ苦さが感じられます。体にすーっと染み込むような、優しい味わいのワインです。

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第1位:シャトー・シャロン・ヴァン・ジョーヌ/ピエール・ラモット
1位としてご紹介するのは、ジュラ地方の伝統的な白ワインである「ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)」です。品種はサヴァニャン。産膜酵母がワインの液面を覆った状態で熟成させるため、辛口のシェリーのようなニュアンスを持ちます。
ヘーゼルナッツのような香りとトリュフを思わせる芳醇なアロマは、繊細でありながら複雑な他のワインにはない味わい。
ヴァン・ジョーヌは、100年の熟成にも耐えると言われている長寿のワイン。コンテやモンドールなどのチーズと好相性です。ぜひ、お好きなタイミングで抜栓し、貴重な味わいを楽しんでください。

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フランスワインの多彩な魅力を味わおう!

今回の記事では、フランス国内のなるべく幅広い産地から、おすすめのワインをご紹介してきました。
フランスワインと一口に言っても、その特徴はワインによってさまざまです。赤・白・ロゼ、そしてスパークリングワインやデザートワインと、フランスでは多彩なワインが造られています。フルーティーなものや樽を効かせたもの、熟成感を味わいたいものまで、ワインのタイプも幅広く、それぞれに魅力があります。
本記事をきっかけに、今まであまり飲んだことのないタイプのフランスワインをぜひ味わってみてください。