芸能界の裏事情などを巧みに織り込みながら、衝撃的な展開の数々で、視聴者の目を惹きつけたテレビアニメ『【推しの子】』。その待望の第2期がこの夏より放送開始となり、大きな話題となっています。

前期はYOASOBIの歌う主題歌「アイドル」の影響もあって、日本だけにとどまらず、海外でも高い人気を誇った本作ですが、あれから約1年。待ちに待った続編が放送開始となったことで、海外ファンはどのような反応を示しているのでしょうか?

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アニメ『【推しの子】』公式サイトより

海外ではあまり馴染みのない2.5次元舞台が題材となる今シーズンの【推しの子】に対する海外の反応をまとめてみました。

2.5次元舞台や実写化の苦悩を描く2期

赤坂アカ(原作)、横槍メンゴ(作画)原作による『【推しの子】』は、前世の記憶を持ったままトップアイドル・星野アイの子供として生まれ変わったアクアとルビーを主人公に話が展開していきます。

第2期では、母であるアイの死の真相を探るアクアが舞台『東京ブレイド』への出演を機に、劇団ララライの内部へと入り込みます。そこで俳優として成長しながら、アイの真実を知っていく様が描き出されます。

アニメ【推しの子】2期、海外は日本の実写化事情をどう見た?ハリウッドは権利を行使できない場合も「あの作品はどんなやりとりが…」

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アクアを初め、有馬かなや黒川あかねといった面々が舞台を通じて、俳優として成長していく姿が大きな見どころとなっており、2.5次元舞台特有の原作を演劇化する際の難しさであったり、原作者の強い思い入れなども同時に描かれ、漫画やアニメを“実写化”する各所の苦労も描かれていきます。

そんな【推しの子】第2期を海外ファンはどう見たのでしょうか? まずは、レビュワーの感想から見ていきましょう。

“Ham actor”のメルトの努力に称賛

アニメのレビューを数多く掲載するSCREENRANTのレビューでは、とあるキャラクターにフォーカスされています。面白いのは、それがアクアやあかねといった主要キャラではない点です。

同レビューが注目するキャラクター、それは鳴嶋メルトなのです。1期では、有馬かな主演の『今日は甘口で』に出演し、散々な演技を披露したことから酷評された彼。ですが、同レビュー冒頭で「メルトはシーズン2ですぐに挽回して魅せる」と綴られているのです。

「メルトはあくまでもサポートキャラクターであり、前シーズンはあまり登場しなかったが、再び登場し、鮮やかに輝く。

彼は『東京ブレイド』という2.5次元舞台で、観客だけでなく、制作スタッフや脚本家らの評価を肌で感じ、自身のイメージを刷新する機会だと捉えている」と、メルトが俳優としてしっかりとした演技を披露したいという心意気で舞台に臨んでいる点や、その努力を大きく評価しているようでした。

演技があまり上手でない大げさな演技ばかりを披露する俳優を日本では“大根役者”と呼びますが、英語圏ではそういった俳優を“Ham actor”と呼びます。同レビューではこの言葉が頻繁に登場していて、それも比較的、メルトを評価するための良い表現として使われている部分がとても面白かったです。

ハリウッドの“ヤバい”実写作品に思いを馳せる…

それでは、海外の反応と言えばこの人たち! リアクターの皆さんは、どのようなリアクションを見せてくれているのでしょうか?

リアクターたちが特に印象的なリアクションを見せたエピソードは第2話「伝言ゲーム」と第3話「リライティング」。今回もYouTubeにリアクション動画を投稿しているアニメ大好きマイケル・アンジェロさんは、漫画原作者と実写化作品の現場とで複雑な関係性であることを初めて知ったようで「なるほど」と頷きながら視聴していきます。

話が進むと、原作者から舞台の脚本家にメッセージが伝わるまでには何人ものパイプ役がおり、その都度、言葉がやわらげられていくと言及される場面。

ここでアンジェロさんは、かつてハリウッドで実写化された“ヤバい”作品たちを例に挙げて語り始めます。

「『デスノート』の原作者とNetflixの関係者はどんなやり取りを繰り広げたんだろうな…。こうなってくると想像しちゃうよ…。『ドラゴンボール エヴォリューション』もそうだったな」と、ハリウッド史上最低最悪の実写映画化の呼び声高い2作品を引き合いに出します。

その後、「こういう姿勢でいてくれるのは良いことだ。気持ちはわかるよ。完璧にしたいんだ」と、『東京ブレイド』原作者である鮫島アビ子に共感し、改めて、実写化の大変さを痛感させられたようでした。

ハリウッドと日本の実写化事情の違い

今回の2.5次元舞台化とハリウッドにおける実写化に関しては、状況が異なるのかなと思います。

そもそもハリウッドにおける原作映画化権の契約条項には「映画化に際して変更を加えることがあります」という文面があり、最初から原作者に対して改変を納得させるものになっているのです。

そのため、映画化してみたら全く違う作品になっていて酷評されることも多々あるのですが、中には、改変されたことで「これはこれで傑作だ!」と原作者が大喜びするパターンもしばしば。

『【推しの子】』でも言及された「著作者人格権」というものが行使できない場合が多いようで、かつて『ドラゴンボール』の鳥山明先生が実写化の際に発したコメントのように、ハリウッドにおいては原作と映画はあくまでも別物と考えるのが普通なのかもしれません。

しかしながら、最近ではNetflixオリジナル『ONE PIECE』のように、原作者と製作陣が密にコミュニケーションを取り続けることができる契約も増えてきているようで、ハリウッドも過去の失敗から多くを学び、契約形態の変化が見られるようになっていると言います。

実写化に対する気持ちは世界共通のよう

少し話が横道に逸れてしまいましたが、続いて、第3話「リライティング」に対するリアクションを見てみましょう。

同エピソードでアビ子が『今日は甘口で』のドラマ化が失敗したことに触れるシーンがあります。そこで女性リアクターのJamiUwUは「確かに原作者がガッツリ関わった作品と比べると、評判が悪いことが多い」とコメント。やはり、このような考え方は世界中どこからでも飛び出す意見のようです。

その後、アビ子と『今日は甘口で』原作者の吉祥寺先生の激論シーンになると、特に興奮したご様子。ガールズファイトの仲裁に入る第三者のように一言一言に対して反応を示します。そしてアビ子が吉祥寺に対してとどめの一言を発すると「それが言いたくてずっと我慢してたでしょ!?」と一言。

それに対する吉祥寺の対応を見るや「そうよ、言ってやんな!」と、まるで喧嘩を楽しんでいるかのように見えます。最後には「溜まった怒りは吐き出さないとね」と、こういった意見のぶつけ合いも時には大切だと納得している様子でした。

このアビ子と吉祥寺の激論シーンに海外ファンは大喜びしている印象で、FreshestAnimeのジョーさんも、面白いリアクションを見せてくれました。

身を粉にしてマンガを描き続けるアビ子を見かねた吉祥寺が手伝おうとする場面で「アビ子が辛辣なことを言うような気がするよ」とすでに悪い予感がしている様子…。その予感が案の定的中すると「ほら来たぞ…きたきた…こうなると思ってた」とコメント。それに吉祥寺が反論すると「YES!YES!言い返してやれ!言わせたままにするな!」とガッツポーズ。

身体全体を使って興奮している様子を表現。「そうだ、もっと言い合え!」とテンションMAXで激論を見守ります。

しかし、途中であまりにもヒートアップしているのを見かねてか、ジョーさんは「おいおいおい、ちょっと落ち着こうか。やり過ぎじゃないか? 泣いちゃったじゃん」と心配した様子も見せていました。

『バクマン。』を思い出す?

動画の途中で漫画の制作過程や漫画家の日常を知りたければ『バクマン。』を見ろ!と激推ししているジョーさん。彼にとっては、こういう舞台裏が見られる作品はものすごく楽しめるものなのかもしれません。

まだまだ物語の幕は上がったばかり。

ほとんど導入部と言っても過言ではない『【推しの子】』第2期ですが、すでに海外のファンは大熱狂しているようです。今後の衝撃展開などに対しては、一体どんなリアクションを見せてくれるのでしょうか。

(執筆:zash)

アニメ【推しの子】作品概要

<INTRODUCTION>

「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」
地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。
ある日"推し"のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。
彼女はある禁断の秘密を抱えており…。
そんな二人の"最悪"の出会いから、運命が動き出していく―。
<STAFF>
原作:赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成・脚本:田中 仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
サブキャラクターデザイン:澤井 駿
総作画監督:平山寛菜、吉川真帆、渥美智也、松元美季
メインアニメーター:納 武史、沢田犬二、早川麻美、横山穂乃花、水野公彰、室賀彩花
美術監督:宇佐美哲也(スタジオイースター)
美術設定:水本浩太(スタジオイースター)
色彩設計:石黒けい
撮影監督:桒野貴文
編集:坪根健太郎
音楽:伊賀拓郎
音響監督:高寺たけし
音響効果:川田清貴
アニメーション制作:動画工房

<CAST>
アイ:高橋李依
アクア:大塚剛央
ルビー:伊駒ゆりえ
ゴロー:伊東健人
さりな:高柳知葉
アクア(幼少期):内山夕実
有馬かな:潘めぐみ

<公式サイト>
https://ichigoproduction.com/

<公式Twitter>
https://twitter.com/anime_oshinoko

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